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野球 コラム 2018年5月5日

【楽天好き】コンディショニング部が選手に徹底する「シンプル」なこと

野球好きコラム by 松山 ようこ
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今季から東北楽天ゴールデンイーグルスに新設されたコンディショニング部。選手のデータを蓄積し、共有し、見える化することで、ケガの一歩手前のサインを読み取りやすくしている。

ギリギリで戦う選手にとって、どこまで行くとケガに至るのかという、超えてはいけないラインの感覚や、コンディショニングへの意識を高めることについて、部長の安部井寛さんに話を伺った。

◆「張ってるよ」「張ってますね」の危険信号

安部井さんは言う。「基本的には、トレーナーが危ないなって思ったり、選手がしんどいなって感じたりする時は、あまりデータに基づいていないんです」。

つまりは、”感覚”という聞き慣れた、つかみどころのないフレーズに回帰するのだ。こちらの疑問符が浮かんだのを察知したように、安部井さんは続ける。

「でも、その感覚というのは、すごく大事なんですね。トレーナーが実際に触ってみて『これちょっと張ってる』と言って、トリートメントを受けた選手も『張ってますね』と合致したら、それは危険信号とするには十分なんです」。

最新鋭のデータと感覚の融合。そして、それらを生かすためには、加えて日々のコミュニケーションが不可欠という。

「ケガを未然に防ぐためには、監督一人が状態をわかっていてもいけないし、コーチ陣だけに伝えてもだめ。チームとして、首脳陣とわれわれスタッフが全員で、例えば『この選手はちょっと黄色信号』という認識を持っていないといけないと思うんです」。

ケガに対するアンテナが広がることで、抑止効果にもなる。「例えば、出場中のある選手が黄色信号だとして、試合の後半にワンサイドになったような場合、ちょっと変えようっていう選択にもなりますから」。

アメリカに渡ってスポーツトレーナーになるべく学び、球団通訳を務めた経験もある安部井さんは、そうした選択肢を促すことになる、現場で働くトレーナーの人々の気持ちも代弁する。

「言いづらい時もあるし、彼らの気持ちもわかる。ならば、一緒に監督に説明に行こうというのは常にあります」。チームで取り組むべく、コミュニケーションを円滑にするのも、安部井さんが殊更に気をつけていることだという。

◆究極はシンプル。水分、栄養、睡眠をしっかりとる

選手のコンディションを整えるため、スタッフからの進言も積極的に取り入れる。「星(洋介)トレーナーが『睡眠の重要性』についての話を持ってきてくれたので、今年からは選手の睡眠時間をモニタリングするようになりました」と安部井さん。

「理想の睡眠時間は8時間から9時間ですが、ナイトゲーム明けのデーゲームだと6時間未満の選手も多くなるんですね。ならば、その事実を受けて、コーチたちが練習時間や内容を調整するという連動が生まれるんです」。

栄養についても、管理栄養士の長坂聡子さんの意見を採用した。「長坂の提案なんですが、選手にマルチビタミンを1日1錠、飲んでもらうことを課しました」。

「そうすると、食べ物の好き嫌いがある選手も、足りないビタミンが補充されます。そうすれば、肉離れが防げるかもしれないし、インフルエンザが出ないかもしれない」。

「あとは、お水を飲みなさいと。やはり、飛行機の移動も多い。そうすると機内でかなりの水分が失われているんですね。だから、ゲートで水を1本ずつ渡すようにしました」。

「お茶やアイスコーヒーを好んで飲む選手も多いんですが、それでは水分不足を促してしまうので、半ば強制的に水を飲んでくださいとしています」。

新しいことを取り入れ、試行錯誤を続けることに変わりはない。だが、その上で、大切にするべき根幹はとても単純なのだという。

「寝なさい、水を飲みなさい、栄養をちゃんと摂りなさいっていう。結局のところ、すごくシンプルなことを徹底させることが、重要になると思っています」。

もちろん、どんなに健康に気遣っていても病気になる時にはなってしまうように、どれほど気をつけていても不意にケガを負ってしまうことは往々にしてある。

だが、戦力ダウンにならないよう、ケガ人を1人でも出さないため、コンディショニング部は設置されたのだ。

仕事内容は多岐に渡るが、けが人を出さないことがゴールかと思いきや、安部井さんは最終ゴールを口癖のように言った。

「勝つことですから」。

松山ようこ

松山 ようこ

フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。Twitter @yokobooboo

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