大谷翔平はMLBで通用する　～黒木知宏　スペシャルインタビュー vol.2

大谷翔平の北海道日本ハムファイターズ入団と同じ2013年に投手コーチに就任し、5年間コーチを務めた黒木知宏氏。「世界で一番の選手になりたい」とついに夢の舞台に立つ大谷翔平へのエール、そして大谷の人柄やプロ野球選手としての凄さについて話を聞いた。

――　大谷選手はメジャーでどれくらい通用すると思いますか？

僕は通用すると思っています。なぜなら日本で一番のピッチャーで、彼が目指しているのは世界一ですから。それだけの能力を持っているし、1イニングから9イニング完投するまで、150キロ中盤から後半を投げられるピッチャーなんていないでしょう。

ただ、それだけのピッチングは負担がかかるので、身体の強化をしっかりしてくれればいいと思う。今年は環境や初めての経験ということもあり、いろいろあるはずです。でも、それに対応する能力はあるので、出来上がったときに、世界一の称号をもらえると思います。

――　期待する数字はありますか？

今年は1年間ローテーションを守ってほしい。それが出来たら必ず数字はついてくる。2つのポジションをやると、おそらく1年間ローテーションを守るのは相当苦しくなってくると思う。

日程が過密になって、登板間隔を詰めてしまうと苦しい。それを乗り越えるだけの体力強化であったりとか、鍛錬をする選手だと思う。そこをやりながら1年間乗り切ってほしい。

――　バッターとしてはどうですか？

バッターとしても素晴らしいですよね。監督、チームスタッフ含めて、彼をどういう風に起用していくのかなと。でも、日本でやっていた通りにはいかないと思います。どちらにしても相当能力が高い選手だと思います。

――　もし、黒木さんが大谷選手に投げるとしたらどうですか？

まず、力のある球をどういう風にさばいていくのか。それからちょっと内側を意識させて、沈む系の球だったり、いろんな球を駆使して、どう対応するのかを見たい。

――　背中の筋肉が大きくなったと言っていましたが、大谷選手の身体つきはどうですか？

投げている感じを見ると、自主トレはそれなりにやってきているなと感じた。背中の筋肉の張り具合が、少し大きく見えた。相当トレーニングしないと、背中の筋肉は大きくならないし、ちゃんと練習してきていると思いました。

――　今後、強化した方がいいと思う部分はありますか？

2つのポジションをやるイコール、投げ終わった後に、身体に相当な負担がくる。一番気を付けなくてはいけないのは、リカバリー。その時間、期間がどれくらいとれるかどうか。そこが一つのポイントになると思う。

――　大谷選手の課題はどこでしょうか？

まず、1年やってみないと分からないと思う。本人はやれるという自信の元でやるけれど、預かっているチームは、ちょっとしんどいと思ったら、そこで止めてあげることも必要。本人とチーム全体で、どうマネージメントしていくのかが重要。まず課題は、1年間どれくらいできるかどうか、それを回りがどうマネージメントしていくか。

――　サイ・ヤング賞を取るのはいつでしょうか？

それは期待します。彼の能力で1年間ローテーションを守り、イニングも、220～240投げ、最高のパフォーマンスを1年間続けたら、一番勝つでしょう。そのくらいの能力を持っている選手。しかし、それが上手くいかないときもあるのが、長いペナントレース。そこをどうやって調整していくかが一番の課題。出来ることなら1年でも早く、サイ・ヤング賞を取るのを見たい。

――　どの選手との対戦が見たいですか？

僕はイチロー選手とやってもらいたい。イチロー選手は僕らの年代から、日本でいいピッチャーと言われる選手と戦ってきた。メジャーに行って、よその国の凄い選手達と戦ってきた。

とにかくボールを見る目や、ピッチャーが向かってくる体感や圧力を感じ取れる選手だと思っている。どういう風にイチローが大谷を感じるか、イチロー選手のコメントに期待したい。すごい経験をしてきた選手が、大谷がどういう選手かと感じるのかを聞きたい。それは実現してほしい。