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バドミントン コラム 2024年8月13日

【ジャパンオープン開幕直前SP】桃田賢斗本人が振り返る ジャパンオープン2018特別編 「応援のおかげで自分の力以上のものが出せたジャパンオープン。すごく楽しかった」

バド×レポ by J SPORTS 編集部
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笑顔で当時を振り返る桃田選手

笑顔で当時を振り返る桃田選手

日本男子初のシングルス世界ランク1位。世界選手権連覇など、数々のタイトルを獲得した桃田賢斗選手が、初めてジャパンオープンで優勝した2018年大会を振り返ります。

後編では、初優勝を手にしたジャパンオープン2018の決勝戦を桃田選手と一緒に観戦。当時の心境を思い出しながら、激闘の記憶を振り返っていただきました。(インタビュアー:足立清紀)

決勝戦まですべてストレート勝ち

足立:さて、ここからは桃田賢斗選手が初優勝した2018年のジャパンオープン決勝の映像を一緒に見ていきたいと思います。こうして自分の試合を見る機会はありますか。

桃田:自分の試合を見ることはありますけど、カメラが回っている前で試合を見ながら話すことは、ほとんどありません。何を話そうかと思っていますが……(映像を見て)懐かしいですね。

足立:2018年の男子シングルス決勝。会場は武蔵野森総合スポーツプラザです。相手はコシット・フェトラダブ選手。タイの選手で、世界ランキングは当時26位でした。彼との対戦成績は、それまで桃田選手が全勝です。同い年なんですよね。

桃田:同じ年ですね。アジアジュニアや世界ジュニアでも彼の試合は見ていました。

足立:当時の桃田選手は世界ランキング4位。ただこのシーズンに、280位台から一気に上がっていきました。大会に向けたご自身の状態はどうだったのでしょうか。

桃田:ずっと試合をしていたイメージだったので、練習をすごくしたというよりは、ずっと試合をしていたなというイメージです。

足立:勝ち上がりを見ると、全部ストレート勝利。アントンセン選手、ゲムケ選手、リンダン選手、アクセルセン選手。そして決勝でした。ものすごい勝ち上がり方ですよね。

桃田:相手がすごいですよね。言い方が悪いですけど、決勝戦の相手が一番ランキングは低かったのかもしれないです。

足立:それでは、第1ゲームをハイライトで見ていきたいと思います。結果としては21-14で第1ゲームを取りましたが、覚えていますか?

桃田:上からのショットのタイミングが違うなと思っていました。でも1ゲーム目の終盤あたりからラリーを嫌がっている印象はあったので、このまま行けるだろうなとも思いました。

足立:映像は第1ゲーム、8-8で並ばれたところです。この辺りで「いけるな」という感じはありましたか?

桃田:この時は、ずっと緊張していました。初優勝がかかっていましたし「勝ちたい、勝ちたい」という気持ちで、ちょっと焦っていたかもしれないです。

自分が崩れずに我慢できれば大丈夫

足立:第2ゲームが始まりました。積極的に相手がきますね。

桃田:1ゲーム目は僕が取ったので後がない状況ですし、2ゲーム目の出だしは上げてくると思っていました。ただ、2ゲーム目の出だしで離されてしまうとファイナルゲームのことが、ちょっと頭をよぎります。なので「ここは点数を離されないようについていこう」というイメージでした。

足立:フェトラダブ選手は、この大会でシー・ユーチー選手とチェン・ロン選手に勝って、決勝まで勝ち上がってきています。不気味さみたいなものはありましたか。

桃田:この時はあまりなかったですね。

足立:久々の対戦でしたが、第1ゲームを戦って印象の変化はありましたか。

桃田:球の強さ、ディフェンス、ショットの精度は対峙した時に大体分かります。なので、自分が崩れずに我慢できれば大丈夫かなというイメージもありました。

足立:桃田選手は、ショットセレクションがラリーの中でも早いですよね。打つまで分からないですし。

桃田:普段の練習からもそれはやっていて、自分の中でも意識していました。僕は、体もあまり大きくないですし、スマッシュが特別に速いわけでもない。ちょっとでも相手にストレスを与えるためにはどうしたらいいかなということは常に考えながらプレーしてきました。

足立:その中で、第2ゲームの出だしは追いかける展開になりました。

桃田:僕はスロースタートタイプなので、出だしにリードされることは結構あるんです。なので、そんなに慌てる感じではなかったですね。

足立:スマッシュもめちゃくちゃ切れている印象です。

桃田:クリアに対しての入りが、相手のイメージよりワンテンポ速いのかなと思います。スマッシュが速いわけではなく、自分がいい体勢で打っている分、相手が迷ってくれているのかなと。

気持ちは一生切らさない、終わるまで

足立:インターバルが明けて、会場も桃田選手の優勝を意識し始めている中での応援です。

桃田:この時、僕もめちゃくちゃ意識していたと思いますし、力も入っているかな。

足立:クロスも強烈ですが、相手もしっかりと返してきます。お互いに1発ずつパンチを出し合って、我慢のラリーになってきました。

桃田:しんどいですね(苦笑)。でも、気持ちが強い。相手がカットを打ってくるまで、自分は弱気なカットを打たない。ラリーが長くなってもクロススマッシュを打って、足を使って走ろうという強い気持ちですよね。ただ、自分は思いきり打っていないので「まだまだラリーをしてやるぞ」っていうぐらいで打っているかなと。

足立:全体で見ても大事なラリーでのポイントですね。

桃田:そうですね。相手のスタミナも削れたと思います。逆にこちらは「これは来たんじゃないかな」と思えるぐらいの1ポイントになりました。

足立:16ポイントまで来て、差は5ポイント。まだ気持ちは切らさない。

桃田:気持ちは一生切らさないです。終わるまで。

足立:だんだん会場の声も手拍子も大きくなっていきます。

桃田:これはいった(勝った)んじゃないかという雰囲気は出てきていますよね。相手もちょっとそう思っているのではないかなと思います。相手の気持ちが下がっているのもどんどん感じます。逆に、自分はこうなったら疲れを感じなくなるんです。今までしんどかったのに、 大事なところで4連取などをすると、いきなり疲れがなくなったりするんですよね。

足立:発汗量はお互いにあるような感じですけれども、スタミナ面ではだいぶ違うようです。そして、桃田選手の連続ポイント。相手に思ったバドミントンさせずに、チャンピオンシップポイントです。

桃田:スタミナに関しては、僕の方が生き生きしているように見えますね。さらに9点差なので、優勝したら何をしようかなって考えているのかな。ここまでくると、もう自信しかないですね。なので、どのショットで決めようかなって思っているかなと(笑)。最後は、フルスマッシュだったので、決めに行っていました。

足立:深々としたお辞儀もありましたが優勝が決まった瞬間の気持ちは?

桃田:めっちゃくちゃうれしかったですね。会場中のみなさんが拍手してくださって。でも、点差があったので、まだ冷静ですね。これで2点差くらいだと、めちゃくちゃ喜んでいると思います。

ジャパンオープンは「感謝」の大会

当時を回想し、したためた言葉は「感謝」

当時を思い出して色紙にしたためた言葉は「感謝」

足立:日本人選手として初めて、男子シングルスでジャパンオープン制覇。この大会の前までにはいろいろなことがあったと思います。ツアーも一旦離れた時期があり、そこから国内大会で優勝して、国際大会に挑む。そして、この優勝です。改めて振り返るといかがですか。

桃田:本当にずっと優勝したかった大会だったので、すごく自信になりました。これで(世界ランキング)1位になったんでしたっけ。

足立:はい。これで世界ランキング1位になります。

桃田:ダブルで自信になって、どんどん勢いづいていったかなと思います。

足立:200位台後半から一気に世界の頂点まで駆け上がりました。2018年はどのような1年でしたか。

桃田:もちろんたくさんの方のサポートもありましたし、無我夢中でバドミントンを、すごく楽しんでいた1年だったと思います。

足立:今の桃田さんから、この時の桃田選手に声をかけるとしたら何と言いますか?

桃田:なんて言うかな……「まだまだだぞ!」「調子に乗るなよ!」って伝えます。

足立:最後に、このジャパンオープンとは何かというのを書いていただきます。

桃田:「感謝」です。試合に出られない時期に本当にたくさんの人にサポートいただき、応援していただきました。そして、また試合に戻ってくることができて、たくさんの方々に応援していただくことができました。ジャパンオープン連覇は自分でもびっくりしています。まさか自分がこんなことをできると思っていなかったので、本当に周りの方々や応援のおかげ。それがあってこそ残せた結果だと思っています。なので、この言葉にしました。

足立:ちなみに先ほどは何を見ていらっしゃったのですか。

桃田:シューズです。シューズに名前と背番号と「感謝」という文字を入れてもらっているんです。漢字を忘れちゃったので見ちゃいました(苦笑)。

足立:今年も日本バドミントンの祭典、ジャパンオープンがやってきます。J SPORTSでは、8月20日1回戦から25日の決勝まで全コート、全155試合をライブ配信します。

桃田:え、すごい!

足立:桃田選手は観戦する立場になります。改めてどんなことを期待されますか。

桃田:やっぱり、日本人選手に優勝してもらいたいです。そして世界のトップ選手たちのプレーが生で見られる機会は多くありません。そういった面でも試合を楽しんでもらいたいと思います。

足立:ジャパンオープンを楽しみにされているバドミントンファンへも一言、お願いします。

桃田:僕はもう国際大会には出場しませんが、次は違う角度からバドミントン界を盛り上げていきたいと思いますので、引き続き応援よろしくお願いします。

足立:ゆくゆくはJ SPORTSの放送席に。

桃田:考えておきます(笑)。

足立:よろしくお願いします。桃田選手、どうもありがとうございました。それでは8月20日、ジャパンオープンでお会いしましょう!

文:J SPORTS編集部

J SPORTS編集部

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