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バドミントン コラム 2023年1月16日

躍進した奈良岡功大、世界のトップ争いで知った「勝負所の気持ちの強さ」

バド×レポ by 平野 貴也
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奈良岡功大選手

バドミントン日本男子シングルスの新エースは、21歳の奈良岡功大(IMG)だ。2022年の6月に日本A代表へ昇格。 シーズン後半は国際大会で上位に入り続け、成績上位者のみ参加できるBWFワールドツアーファイナルズに出場してベスト4。21年東京五輪と22年世界選手権を制した王者ビクター・アクセルセン(デンマーク)と接戦を展開し、トップ争いに食い込んだ。21年のBWF年間アワードでは、将来有望な選手に贈られるMost Promising Player賞を受賞。世界ランクは1年で47位から7位へと大幅に上がり、同種目で日本勢最上位となった。奈良岡とは、一体どういう選手なのか。目覚ましい躍進を見せた1年、世界王者との対戦を振り返るとともに、2024年パリ五輪への展望を含めて、話を聞いた。
(取材日:2022年12月20日)

――ファイナルズの準決勝、世界王者アクセルセン選手との試合は、ネット前の攻防で主導権を握るなど良い展開も多く大接戦でした。どのような手ごたえがありましたか
正直、勝てるとは思っていなかったですし、1ゲーム取れるとも思っていませんでした。ただ、やるからには食らいついていきたいと全力で行った結果、相手の長所を出させないプレーができ、 ファイナルゲームの18点まで追い詰めることができたので、良かったと思います。(相手選手の)上からのショットがすごく良いので、できるだけ打たせない、良い体勢で落下点に入らせないように、気をつけながらロブなどを打ちました。自分の得意なショットとして(ネット前からネット前に落とす)ヘアピンがあるので、ネット前で勝負ができて良かったです。

――アクセルセン選手とは10月のフランスオープンで1度、今回のファイナルズで2度、対戦。慣れた部分もあるのでは?サービスレシーブでボディへのアタックを何度か受け、やり返す場面もありました。駆け引きの面ではいかがでしたか
3回対戦している分、少しずつ(球筋が)読めているので、さらにもう何回か対戦したいです。サービスに関しては、相手は身長が高い分、前にプレッシャーをかけやすいでしょうし、こちらがプレッシャーをかけても、後ろに打たれても(リーチが長いので)届くという選手。打たれても仕方がないと割り切っていました。打たれるなら、自分も打つなど対策をしていました。

バドミントン

【インタビュー動画】奈良岡功大選手(IMG)

奈良岡功大選手

――シーズン後半、急激に世界のトップへ迫りましたが、収穫や課題は?
トップの選手は、競った場面で、自分より強気できます。 気持ちが強い。シーズンの前半は(A代表ではなく)試合がなかったから分かっていませんでしたが、だんだん対応できるようになってきました。今後は、勝負所の強さを、試合をやりながら磨いていきたいですし、技術は通用したと思うので、もっと精度を高めるイメージでやっていきたいですね。

――今後は、研究される場面も増えそうですね
シーズンの終盤、豪州オープンやファイナルズのときは、もう研究されているように感じました。スマッシュを打つ場所や、ヘアピンを打つタイミングが相手に読まれていて、強打をカウンターで返されて追い込まれたり、ヘアピンをプッシュされる場面がありました。ただ、カウンターレシーブがきても飛びつけるようにしたいですし、僕は会場の環境に合わせてプレーを変えられるので、相手が持っているデータの逆を突いていけるように練習していきたいです。

――21年と比較して、スピードを上げた状態を長く保てている印象です。 フィジカル面の強化や手応えは?
ランニングやウエイトトレーニングは、週に2回ほど、1時間程しています。軽くベンチプレスをやったり、肩を鍛えたり。 体が軽いと、スマッシュとかが強く打てなく、試合が長くなったときに疲れやすくなってしまうので、筋力強化で2キロほど体重を増やしました。スマッシュも速くなりましたし、スピードも保てるようになりました。手応えは、かなりあります。 あと、一番大きいのは、国際大会の経験です。試合でしか身につけられない体力やメンタルの部分がありますし、無駄な動きがなくなってきていると感じています。

奈良岡功大選手

――2022年で最も印象に残っている試合は?
7月のシンガポールオープンです。今年最初の韓国オープンでジョナタン・クリスティー選手(インドネシア)にボコボコ(16-21、11-21)にされて敵わないと思ったのですが、雪辱できましたし、H.S.プラノイ選手(インド)やツァオ・ジュンペン選手(中国)といった強い選手に初めて勝てたので、すごく嬉しかったです。自信になった大会です。

――その少し前の5月には、まだB代表でしたがトマス杯(男子団体戦)のメンバーに選出され、準決勝の最後の試合を戦いました(※奈良岡選手が敗れて日本が敗退)
すごく良い経験をさせてもらいました。あの緊張がMAXで、あれ以上の緊張はまだありません。おかげでファイナルズなどで緊張しても自分を戻せるようになりました。あの試合がなければ今の自分はありません。負けたのはすごく悔しかったですけど(起用してもらって)感謝しています。

――夏に日本で開催された世界選手権、ジャパンオープンでは、大きな期待を感じたのでは?
海外とは応援の数が違いますし、太鼓の音とかも聞こえて、気持ちよく試合ができました。期待感はあったと思いますし、プレッシャーを少し感じてしまうこともあって、できるだけ感情を表に出さないように試合をしていましたが、応援のおかげで、負けていても逆転してやろうと思えたし、良かったです。

奈良岡功大選手

――A代表中心で見ている方には、まだ奈良岡選手のキャラクターを把握し切れていない部分があると思います。特にポーカーフェイスでプレーするタイプなので、実際とは違ったイメージで捉えられることもあると思うのですが、そういうものは感じますか
感じますね。試合のときしか見てもらえないので、僕のキャラクターのようなものが分からないので勘違いされるのかもしれません。話してみて「あれ、普通だね」と言われることがあります(笑)。

――そのキャラクターを知るために、少年時代の話も振り返りながら、奈良岡選手のパーソナリティに迫っていきたいと思います。お父さんの浩さんがバドミントンの指導者なので競技を始めるのは自然だったと思いますが、いつから?
気付いたら、やっていました。小学校に入る前です。父が監督やコーチをやっていたので、そこに遊びに行っていました。小学校の低学年の頃は、学校の授業が終わったら、すぐに宿題をやってから遊びで友だちと野球もやっていましたけど、変化球を投げていたら肩がおかしくなりそうだったので、やめました。バドミントンはずっと好きでやっていて、宿題をやっておかないと練習に参加させてもらえないので、遊びより優先でした。

――小学生の頃から何度も日本一になっていますが、幼少期の一番の思い出は?
小学2年生で全国小学生ABC大会(2学年区切りで行う全国規模の大会)を優勝したこと。上を狙えるのかなという感覚になりました。いっぱい勝てて、もっと勝ちたいと思いましたし、練習にも意識的に取り組むようになった記憶があります。

――奈良岡選手が思う、バドミントンの魅力は?
選手が一生懸命にプレーしているところが、一番の魅力。 ギリギリ取れるか取れないかの球にダイブするプレーとかは、盛り上がると思う。僕もテクニックを使って、会場を盛り上げることが最近はできているので、そういうところも魅力かな。トリッキーなショットを打つと、会場が「うぉーっ!」となって鳥肌が立つし、気持ちよくなれますね。

――未来の日本代表を目指す子どもたちへのアドバイスは?
小学生のうちは(身体作りの)トレーニングはあまりしないで、とにかく羽根をいっぱい打って楽しくできればいいと思います。あとは、トップ選手の動画を見ておくと、イメージがついて真似もできると思います。僕は、インドネシアのタフィー選手(2004年アテネ五輪で金メダルを獲得したタウフィック・ヒダヤット)を見ていました。ヘアピンを打ってスマッシュとか、バックハンドの速いスマッシュとか。 すごい格好良くて、ファンでした。

奈良岡功大選手

――試合に負けて落ち込んだときの、気持ちの切り替え方法は?
できるだけ、すぐに次の試合を考えることは意識しています。 負けた試合を見ると、こうしたら良かったとか結果論になってしまうので、次の試合に向けてもっと頑張ろうという意識に変えています。あとは(遊びモードで)楽しくバドミントンをやるとか、かな。

――オフの過ごし方は?
本当に疲れているときは、ずっと寝ていますけど、YouTubeで「コムドット」とか流行りの物を見ます。 あとは、アニメ。最近ならサッカーの「ブルーロック」。 外出は…… ボーリングとかはあまりやらないですし、カラオケももう3年くらい行ってないですね。声が低い方なので、歌える曲が限られるし。服を買いに行ったり、映画を見たりかな。映画はホラー系を誘って観に行きます。あとは、アニメの「名探偵コナン」が大好きで、映画は全作品見てます。お気に入りは「11人目のストライカー」(2012年公開)です。

――声質の話がありましたが、実はコンプレックスを感じていることや、ほかの選手を羨ましく思うことはありますか
身長が173センチしかないので、178センチくらいあったらなと思うくらいですね。羨ましいと思うのは、身長とか、パワーとか、スピード。 もっと足が速かったらいいのにと思うことは、あります。日本代表の合宿だと、西本拳太さん(ジェイテクト)がめちゃくちゃ速いです。シャトルランとか、3~6キロ走とか、僕も食らいついて全体で3、4番手にはなるんですけど、負けたくない(笑)。

――ところで、J SPORTSから、少し変わった質問があるのですが「24時間以内に起きた、ちょっと嬉しかった出来事」は何でしょうか?
昨晩、お母さんに作ってもらったご飯が美味しかったです。手羽先が好きなので、いつも焼いてくれるんですけど、昨日はそれもあって、ほかに初めて出てきた生ハムとチーズと何か…… の料理があって美味しかったので「またお願い!」って言いました。

――最後に、競技の話に戻りますが、2023年は5月から2024年パリ五輪の出場権獲得レースが始まります。 どんな1年にしたいですか
世界ランキングで日本の最上位になっても、まだ下っ端なので気にせずにやっていきたい。 先輩たちの方が(これまでの)成績や経験もあるので、追いつけるように頑張っていきたいです。23年は1月からスーパー1000、750、500(マレーシアOP、インドOP、インドネシアM)と大きな大会が続くので、できるだけ多く勝ちたいです。パリ五輪に関しては、あまり意識しないようにしています。それよりも目の前の試合の方が今は大事で、コツコツとランキングを上げて、気がついたら五輪の出場権を獲得していたというのが理想。 周りから何を言われても、自分でプレッシャーをかけないようにしています。

奈良岡功大選手

――パリ大会に限らずに言うと、奈良岡選手にとって「五輪」はどんな大会ですか
昔からの夢でもあり、目標です。前までは夢でしたけれど、今は目標に変わっています。五輪の舞台に立って、できればメダル、金メダルを取りたいし、多く勝ちたいと思っています。

――最後にファンへのメッセージをお願いします
昨年1年、すごく応援してもらえて嬉しかったですし、ありがとうございました。今年は五輪レースも始まるので、今後とも応援をよろしくお願いします。

文:平野 貴也
平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

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