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バドミントンの五輪出場権獲得レース(以下、五輪レース)に動きが出てきた。スイスのバーゼルで行われていた世界選手権が現地25日に閉幕。五輪レースに関わる動きが見られたのは、男女のダブルスだった。
2020年東京五輪の出場権は、来年4月末の世界ランクで決まる。今年4月末からの1年間で各大会の順位毎に設定されたランキングポイントを獲得し、上位ポイント10大会分でランクは決まる。当然、上位ほど出場権獲得に近付くわけだが、1カ国に複数の上位選手がいる場合には、同国勢間の順位争いも重要になる。東京五輪は、各種目で1カ国最大2枠しか出場権が与えられないからだ。
顕著な例が、日本の女子ダブルスだ。20日更新の世界ランクでは、1位から3位までが日本勢。借りにこの順位のまま来年4月末を迎えた場合、世界ランク3位という上位成績でも国内3番手となり、五輪出場がかなわないということになる。上位3強が臨んだ、五輪レースにおいて最もポイントが高い世界選手権で、どのような差が出るのが注目された。結果は世界ランク1位の松本麻佑/永原和可那(北都銀行)が優勝。同3位の福島由紀/廣田彩花(アメリカンベイプ)が準優勝。同2位の高橋礼華/松友美佐紀がベスト8。五輪レースで出遅れていた松本/永原がポイントを大きく加算。他の2ペアとの差を縮め、これまで以上に混戦となった。
ただし、松本/永原は、12月に中国で行われるBWFワールドツアーファイナルズ(以下、ファイナルズ)の優先出場権を獲得したことで、抜け出すチャンスを得た。ファイナルズは、世界選手権に次ぐ高ポイントの大会で、年間成績上位8組、同国勢は2組まで出場できない。日本は3強の争いだが、この大会に出場できなかったペアが、置いて行かれる可能性がある。そのため、ファイナルズの出場1枠が埋まった意味合いは、大きい。他の2組は、今後の成績によっては、ファイナルズの出場権を獲得するため、格付けの低い大会でワールドツアーランキングを上げることも考えなければならないだろう。
一方、2強体制に変化が生まれそうなのが、男子ダブルスだ。日本3番手の保木卓朗/小林優吾(トナミ運輸)が世界選手権で準優勝。世界ランク4位の園田啓悟/嘉村健士(トナミ運輸)、同5位の遠藤大由/渡辺勇大(日本ユニシス)を追いかけるチャンスを手に入れた。保木は「この1回だけでは、五輪はまだ無理。次の中国オープンは、スーパー1000の大会でとても大事」と上位入賞の継続性を重視した。残念ながら優勝でファイナルズの出場権を得ることはできず、今後も2強を上回り続ける結果が必要だ。ただし、7月のインドネシアオープン(スーパー1000)でも4強入りするなど、着実に力を付けている印象で今後が楽しみだ。
バドミントン日本A代表は、今後、9月に中国オープン(スーパー1000)、韓国オープン(スーパー500)を連戦。10月は、デンマークとフランスでスーパー750の連戦があり、11月に中国福州オープン(スーパー750)と戦いが続き、五輪レースはさらに活発になる。どんな動きが出てくるのか、目が離せない。
写真・文:平野貴也
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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