人気ランキング
コラム一覧
古市梨乃(KUROBEアクアフェアリーズ富山)
『大同生命SVリーグ 2026-27 女子』は、11月1日(日)に第3節を終了した時点で、KUROBEアクアフェアリーズ富山が東地区の首位に立っている。現在5勝1敗、上々の出だしだ。
その強さの要因の1つにはサーブがあげられる。チーム全体のサーブ効果率はリーグトップの13.8%(第3節終了時点)。2024-25シーズンが同10.8%で全体11位、2025-26シーズンが同11.3%で全体6位と着実に向上を図り、今に至る。チームを指揮する川北元(かわきた・げん)HC(ヘッドコーチ)は話す。
「チームとしても、また個人としても自身ののびしろを生かすような取り組みを夏場はしてきました。それが今、非常に発揮できているのではないかと感じています」
大同生命SVリーグ 2026-27 女子
-
KUROBEアクアフェアリーズ富山 vs. 埼玉上尾メディックス(11/07)
11月7日(土)午後1:55 J SPORTSオンデマンドでLIVE配信
-
KUROBEアクアフェアリーズ富山 vs. 埼玉上尾メディックス(11/08)
11月8日(日)午後1:55 J SPORTSオンデマンドでLIVE配信
その代表格が、入団3季目のOH(アウトサイドヒッター)古市 梨乃(ふるいち・りの)だ。現在、サーブ効果率17.9%は第3節を終えた時点でリーグ4番目の数字となっているが、その直前までは20%台の数字を残しており、堂々のリーグトップに名前を連ねていた。
そうしてNECレッドロケッツ川崎のホームに乗り込んだ第3節のGAME1(10月30日)では第1セット、サーブが回ってきた2巡目でサービスエースを奪うと、第3セットにはノータッチエースを決める。
また、第1、第2セットはいずれも終盤でサーブが回ってくると、効果的に相手を崩して味方の得点を演出。セット獲得の引き金となってみせた。その試合後、古市本人にサーブの手応えを聞くと、うれしそうにこう語ってくれた。
「やはりサービスエースをとればとるほどチームの雰囲気もよくなりますし、こちらの流れに持っていきやすくなりますから。サーブで崩すことはもちろん、サーブポイントが取れればいいなと思いながら打っています」
いまや立派な武器となったサーブだが、実のところ古市にとっては到底自信があるものではなかった。本人は告白する。
好スタートを切った富山
「私自身、これまでサーブは強みではなくて、ミスを出してしまったり、相手に1本でサイドアウトを奪われることが多くありました。それをなくしたくて、(トスが)片手でのジャンプフローターサーブからまずはハイブリッドサーブに変えることにしたんです。これが一番の大きな変化でした」
川北HCの言葉にも出てきたように、自身の「のびしろ」と向き合ったというわけだ。その手応えをほかでもない古市自身が感じている。
「どういう軌道で打てば相手が捕りづらいのか。このように打てばこうして着弾する。それらを夏場にたくさん練習してつかんできました。これまではサーブ順が回ってきたら、不安要素をたくさん抱えていましたが、今は自信を持って『決めてやるんだ』という強い気持ちで打つことができています」
そうして成長を遂げた姿を、指揮官も喜んだ。「彼女自身、昨シーズンまでは苦労していた部分でしたから。そのなかでも自分なりに練習を積んできた、それが成果につながっているのではないかと思います」と川北HCは目を細める。
チーム全体を見ても古市のみならず、看板選手であるミドルブロッカーの山口 真季(やまぐち・まき)キャプテンもサーブ効果率16.0%でリーグ全体8位にランクイン。
畑 葵(KUROBEアクアフェアリーズ富山)
さらにリリーフサーバーとして投入される畑 葵(はた・あおい)も、相手の攻撃を絞り自チームのブロック力の高さを生かしてブレイクにつなげるサーブで貢献している。その畑は、チームに備わっている「空気」を強調した。
「私は(リリーフとして)監督に呼ばれたときも、ど緊張していて(笑)、視界が狭まるほどドキドキしています。ですがコート上の5人やアップゾーンでも仲間全員が『いけるよ!!』と言ってくださり、自分がサーブに集中できる環境をつくってくれるので。『この1本に集中するぞ』という気持ちでサーブを打てています」
仲間の背中を押すような声かけに込めた思いを、山口キャプテンもこのように語った。
「2枚替えもそうですし、リリーフサーバーやレシーバーたちも試合の流れを変えるためにコートに入ってくれているので。私たちはそれを果たしてくれると信じて、声をかけています」
お互いを信じ合うこと。それもまた今の富山に宿る強さの1つだろう。
川北HCを中心に盛り上がるチーム
振り返れば昨季は開幕6連勝で序盤戦は「台風の目」となったが、後半は最大6連敗を喫するなど失速した(最終成績はレギュラーシーズン11位)。その苦い経験があるからこそ川北HCは、個々の持つ力を引き上げることに注力してきたという。
「今季のチームをつくるにあたって大事にしたのは、選手が自分たちから、それぞれの持っている強みを発揮してチームとして生かせるように、ということです。とはいえ、まだまだシーズンはこれからなので。1戦必勝で、それぞれがベストを尽くせるように、私もサポートしながらがんばりたいと思います」
それぞれの強みをチームに還元する。そのために古市は自ら成長を願い、確かな成果を手にした。この先も各々が自分のベストを尽くし続ければ、おのずとチームの好成績にもつながるはず。そのときこそ富山は、「台風の目」から上位争いの「本命」となる。
文/写真:坂口功将
坂口 功将
スポーツライター。1988年生まれ、兵庫県西宮市育ち。
「月刊バレーボール」編集部(日本文化出版)で8年間勤めたのち、2023年末に独立。主にバレーボールを取材・執筆し、小学生から大学生、国内外のクラブリーグ、そしてナショナルチームと幅広いカテゴリーを扱う。雑誌、ウェブメディアへの寄稿のほか、バレーボール関連の配信番組への出演やイタリア・セリエAの解説も務める。
あわせて読みたい
ジャンル一覧
J SPORTSで
バレーボールを応援しよう!
