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バレーボール コラム 2026年10月23日

島村春世、新天地で放った「名刺代わりの一発」。群馬グリーンウイングスで示した信頼関係とベテランの存在感

SVリーグコラム by 坂口 功将
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島村春世(群馬グリーンウイングス)

まさに「名刺代わりの一発」という表現がぴったりだった。

『大同生命SVリーグ 2026-27 女子』を戦う群馬グリーンウイングスは10月17日、Astemoリヴァーレ茨城との開幕戦に臨んだ。その第1セットはAstemoのサーブで始まり、群馬は髙相 みな実の返球が、S(セッター)の山下 遥香の元へピタリと収まった。

大同生命SVリーグ 2026-27 女子

「相手のブロックを見て、攻撃を決めようと考えていました。ただ、パスが入れば(サーブレシーブがきれいに返ること)、きっとクイックが通るだろう、得点できるだろうなと自信を持ってトスを上げました」

そうして山下がチョイスしたのはMB(ミドルブロッカー)、島村 春世へのAクイックだった。「島村選手なら絶対に決めてくれるだろうと信頼していましたから」。そう話す山下が明かすに、島村は「どんなトスでも得点につなげて、失点にならないようにコースを打ち分けてくれる」という。

存在感を放つ島村

全幅の信頼を寄せて上げたトスだったわけだが、一方で、こちら打ち手としては少々ヒヤリとしていた様子。島村は振り返る。

「いやぁ、正直、相手のブロックが割とガッツリ目の前にきていたので、トスが上がってくるとは思っていなかったんです(笑)。でも、セッターがポジション6(後衛センター)にいるローテーションでサイドアウトを取るパターンは練習でも取り組んでいたので、そこでは腕を振り抜くだけだと考えていました。

そうしてボールがきたので振り抜いて、相手ブロックも少し遅れて跳んできたのでボールが吸い込まれたというわけです。あれは私としても、ホッとした1点でした」

今季から群馬に移籍した島村

練習どおり、とはいえ予想外。少しばかり苦笑いを伴う、セッターとアタッカーの信頼感が形となった得点で群馬の2026-27シーズンは幕を開けたのであった。

その島村は今季、自身のキャリア初となる国内移籍で群馬に加入した。地元・神奈川の川崎市立橘高校を卒業後、NECレッドロケッツ川崎で15シーズンを過ごした。2025-26シーズンは『韓国Vリーグ』へ海外挑戦を果たしていた。そうして新天地となる群馬へ。そこでは強い思いを抱いてプレーしている。

「チームが勝つために何ができるかを常に考えながら、このメンバーで絶対に優勝を成し遂げたいです」

すでに国内リーグでの実績は十分。2020-21シーズンには通算230試合出場を果たし、『V.LEAGUE』(当時)の『Vリーグ栄誉賞』を手にしている。チームを勝利に導く姿勢にキャリアの浅い深いは関係なく、群馬においても島村は変わらぬ存在感を放っている。ともに戦う山下の言葉はこうだ。

「『この状況ではブロックをこのようにつこう』といった周りへの指示や、チームの雰囲気に対しても声かけをしてくださるので、一緒にコートに入っていて心強い存在です」

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そんな島村がベテランだと実感する場面が、この開幕戦ではあった。第3セット、16-16の場面でAstemoはボジャナ・ブティガンに代えて、渡邊 彩をコートに送り込んだ。そのときに島村と渡邊は2人で申し合わせたかのように満面の笑みを浮かべていたのである。その理由を島村はこう語った。

「この年齢になってくると同年代の選手が少なくなってきますから。(渡邊は)お互いに刺激しあえている、ほんとうにいい仲間だと思っています。そういう面でも相手をリスペクトすることが大事だと考えていますし、あのときは目が合ったのでニコリと。『お互いに頑張ろうね』という気持ちでコミュニケーションをとっていました」

試合後、握手を交わす島村(左)と渡邊

真剣勝負の中で、とびきりの笑顔にエールをこめる。島村は1992年3月生まれ、渡邊は1991年4月生まれと同年代であり、ともに長らく第一線に立ち続けている。ベテランだからこそ醸し出せる空気が、確かにそこには流れていた。

社会人として17シーズン目に、ゆかりある真紅のジャージから一転、鮮やかな緑色のユニフォームを着てSVリーグの舞台に立つ島村。「私の強みは、どういうトスが上がってきても決めきるところ。その姿を見てほしい」という口ぶりは実に頼もしい。

シーズンのファーストプレーで挨拶は済ませた。群馬の背番号11番、島村 春世。いざ、参る--。

文/写真::坂口功将

坂口 功将

スポーツライター。1988年生まれ、兵庫県西宮市育ち。
「月刊バレーボール」編集部(日本文化出版)で8年間勤めたのち、2023年末に独立。主にバレーボールを取材・執筆し、小学生から大学生、国内外のクラブリーグ、そしてナショナルチームと幅広いカテゴリーを扱う。雑誌、ウェブメディアへの寄稿のほか、バレーボール関連の配信番組への出演やイタリア・セリエAの解説も務める。

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