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工藤有史(信州松本トライデンツ)
2026年7月1日、クラブ名が『信州松本トライデンツ』へ変更された。新キャプテンに就任したのがトライデンツ4シーズン目となるOH(アウトサイドヒッター)の工藤有史だ。
「昨シーズンまでは、長野という大きな枠組みでしたが、松本という地名が入り、よりコアになったと思います。実際、今年の夏、熊本地震の募金活動を松本駅前で行ったときには、僕らのことを知っている人が少なかったです。
どうしても松本といえば『松本山雅FC』さんのサッカー、『信州ブレイブウォリアーズ』さんのバスケットの法が今は有名で、まだまだ、もっと僕らも認知度を上げていかなければいけないと痛感しました。その両チームに追いつき、追い越せの気持ちで、時間をかけて積み重ねていきたいですね」
より深く地域に密着し、歩んでいこうという意思の表れだ。そしてトーマス・ラーナー新監督も迎えた。工藤はチームの変化をこう語る。
「もちろん技術的な指導などにも小さな変化はあったのですが、僕自身は一番、考え方が変わったと思います。これまでの競技人生で沁みついていた『ミスを恐れる』という日本人的な考え方を一旦、崩されましたね。
監督は『ミスすることよりも、ミスを恐れてプレーするほうがいけない』という考え方。サーブやハイセットのスパイクを打つときに、昨シーズンよりもミスを恐れずにプレーできていると感じます」
ミスを減らすことに時間を割くよりも、ミスを恐れず攻めたときの効果の大きさを説かれるという。同時に、チーム内でのコミュニケーションを密にすることも心がけているという。
「外国人選手も増えましたし、新しくチームに加入した選手も多いので、チームのみんなでごはん食べたり、一緒に過ごす時間が増えました。
ときには練習後、選手の家族を呼んでみんなで体育館で卓球大会を開いたり……。和やかな雰囲気で活動できています。そういう意味では、すごく良いチームを築けているのではないかと思います」
昨シーズンは10チーム中で最下位。25連敗も経験した。
「監督が休養せざるを得ない状況にしてしまったという責任を感じましたし、しんどい状況から抜け出せない苦しさを味わいました。本当に週末が来るのが怖かったです」
シーズンを通して、前向きにバレーボールに取り組めなかったと振り返る。そんななかでも、古田博幸監督代行(今シーズンはコーチ)の一言でチームに一筋の光が差し込んだ。
「古田さんから口酸っぱく言われたのは『勝ち負けも大事だけど、とにかく楽しむことを忘れないようにしよう』ということ。その上で、戦術や、プレーの精度を上げる練習のことなどを考えるようにしました。勝てないなかでも、少しずつ試合の内容がよくなっていった。そういう試合が増えてきたのが唯一の救いでした」
「楽しむ」という気持ちは今シーズンも変わらないという。
今シーズンからデイビッド・スミスとのダブルキャプテンに就任したが「新監督と選手との関係を築いていくために、自分が前に立って行動するべきだと思った」と意欲も十分だ。
「今シーズンからミドルブロッカーに外国籍選手が増えて、よりセンター戦を生かす攻撃が大事になります。そのためにはサーブレシーブ精度を上げたいと思っています。自分が一番、武器にしたい守備でチームに貢献したい」
信州松本トライデンツ、開幕戦は広島サンダーズと対戦
チーム名は変わったものの、従来のトライデンツのファンが好きだと即答する工藤。
「トライデンツはファンの年齢層が広いんです。年配の方や小さな子供もいるし、家族連れも多い。僕たち選手を、自分の子どもや孫のように応援してくださる方も多いです。温かい雰囲気のなかでプレーしています」
そんな家族のようなファンに1つでも多くの勝利を見せることが工藤の目標だ。
開幕戦は10月24日(土)、『エア・ウォーターアリーナ松本』での『広島サンダーズ』戦となる。新生トライデンツの初陣に注目したい。
市川忍
スポーツライター・編集者。神奈川県川崎市出身。日本エディタースクール夜間部卒業。
「Number」「Number Web」(文藝春秋)「Sportiva」(集英社)等で埼玉西武ライオンズを中心とした野球関連、バレーボールのコラムを執筆中。大同生命SVリーグ公式プログラムでも記事を執筆。2008年の男子バレーボールチーム16年ぶり五輪出場を追った著書「復活~全日本男子バレーボールチームの挑戦」(角川書店)がある。
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@ichikawashino
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