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激闘を制したクインシーズ刈谷
2時間35分に及んだ激闘を制した瞬間、まるで優勝が決まったかのように、クインシーズ刈谷のコートに歓喜の輪ができた。
3月8日、刈谷のホームゲームで、大阪マーヴェラスに2セットを先取されてから3セットを取り返す逆転勝ち。劇的な結末に喜びが一層高まったことに加えてもう1つ、格別の勝利だった理由を酒井新悟監督が明かす。
「今シーズン、フルセットの試合を何度もしてきましたが、勝った試合は1つだけ。5セット目に入る前、選手たちに向けて『ここまでリーグを戦ってきて、成長した証を見せよう』と話をしました。まさにこうして形に示すことができただけでなく、大阪マーヴェラスという素晴らしいチームを相手に最後まで諦めず、勝ち切った。選手にとっても、自信になる勝利でした」
大同生命SVリーグ 2025-26 男子
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第18節 クインシーズ刈谷 vs. 大阪マーヴェラス(3/7)
J SPORTSオンデマンドで見逃し配信中
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第18節 クインシーズ刈谷 vs. 大阪マーヴェラス(3/8)
J SPORTSオンデマンドで見逃し配信中
攻守のバランスに長けた両チームらしさを象徴するように、試合の中では何度も長いラリーが展開された。1本では決まらず、何度も何度も攻守が目まぐるしく変わる。序盤からラリーの応酬が繰り返される中、最も会場が沸いたのは第5セット、5-5の場面だ。
鴫原ひなた(青)と中村悠(白)
佐藤 彩乃のサーブから、刈谷はソフィア・クズネツォワや鴫原 ひなたが打ち、大阪MVも田中 瑞稀、リセ・ファンヘッケのスパイクで応戦。両チームが誇る強打者たちのスパイクが次々放たれる中、刈谷はリベロの中村 悠、大阪MVもリベロの西崎 愛菜、林 琴奈が好守を連発、ボールが落ちず、どちらが得点を取るのか。
1分にも及ぶのではないかというほど長いラリーを制したのは、鴫原のレシーブだ。振り返りながら思わず鴫原が「ホントに長かった」と苦笑いを浮かべるラリーの最後、必死に伸ばした手に当たったボールがそのまま大阪MVのコートに落ちた。
大同生命SVリーグ 2025-26 女子
【ハイライト動画】第18節 クインシーズ刈谷 vs. 大阪マーヴェラス(3月7日)
大阪MVの田中が「決まった、っていうボールでも何とかして拾ってつないで、どんな形でも返してくる。それもつなぐの?それも返ってくる?という状況が多くて、体力面もきつかったけれど、粘り強さとしつこさでメンタルを削られた」と振り返る、流れを変えた場面を鴫原はこう言う。
「ボールをつなぎに行って、自分がカバーしようと思っていたんですけど、中村が触ってラストボールだったので、とにかく必死に返さなきゃ、と腕を振ったら返った。とにかくこの1球にかけるそこまでの熱量が相手にもあったし、自分たちも『絶対に落とさない』という気持ちがあって、白熱したラリーでした。自分個人も、どんな形でもつなげたいと思っていたし、みんながそう思って必死で動いて1点につながった。どんな形でも1点になったのはすごく大きかったです」
同様に、何度も繰り返したロングラリーを振り返り「めちゃくちゃ疲れました」と苦笑いを浮かべたのは大阪MVの林も同じだ。
鴫原ひなた(左)と横田紗椰香
「どれだけ続くんだろう、と思いながら動いていた」と冗談交じりで振り返り、「負けると余計に堪える」と述べながらも翌日に気持ちを切り替えていたが、実は林こそがロングラリーを展開させる張本人、というのは刈谷のミドルブロッカーで攻守にわたり存在感を発揮した横田 紗椰香だ。
「練習や、他の試合だったら決まったと思うスパイクも、林さんが全部レシーブする。しかもただ上げるだけじゃなく、次につなげられる質でレシーブするから全然終わらないし、そもそもボールが落ちない。だからロングラリーにしているのは、林さんなんです(笑)」
林 琴奈(大阪マーヴェラス)
翌日も前日に続いてフルセットの激闘となったが、制したのは大阪MV。そしてこの日も序盤から終盤までロングラリーの応酬が何度も繰り広げられた。選手から名指しにされた林の好守はもちろんだが、攻撃力を欠いて決まらない結果ラリーになる、打ち切れずにラリーが続くというのではなく、どちらも高い攻撃力を存分に発揮し合っているのにラリーが続く理由は何か。
両チームの監督はどちらも現役時代はリベロ。なぜ上質なラリーが展開されるのか。両監督の見解は「お互いに(スパイクを)打つコースにリベロがいるシーンが多いので、そこからハードヒットできている。(ラリーにしないためには)プッシュやロールショットなどのアクセントも必要」(大阪MV・酒井大祐監督)。
田中瑞稀(大阪マーヴェラス)
「(刈谷は)上から打つ傾向が高い攻撃に対して、林選手、田中選手のポジション6での守備力、リーディングが素晴らしい」(刈谷・酒井新悟監督)。
クォーターファイナル、セミファイナルをホームゲームで開催するためには1つでも順位を上げたいという思惑もあり、互いにとって残りの8試合の勝敗も注目だが、次の試合ではどんな攻防、どんなラリーが展開されるか。それもまた、バレーボールを楽しめる大きなポイントになるはずだ。
文/写真:田中夕子/写真:(C)SV.LEAGUE
田中 夕子
神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、月刊トレーニングジャーナル編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。WEB媒体、スポーツ専門誌を中心に寄稿し、著書に「日本男子バレー 勇者たちの奇跡」(文藝春秋)、「高校バレーは頭脳が9割」(日本文化出版)。「夢を泳ぐ」「頂を目指して」(徳間書店)、「絆があれば何度でもやり直せる」、凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること」(カンゼン)など、指導者、アスリートの著書では構成を担当
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