人気ランキング
コラム一覧
東レアローズ静岡、正念場の直接対決
チームの危機を、チャンスに変える。
東レアローズ静岡、山田 大貴は久々に訪れた出場機会に懸けていた。2月21・22の両日、有明コロシアムでの東京グレートベアーズ戦、山田はオポジットとしてスタメン出場した。
「チームにとってはマイナスの状況でしたけど、自分としてはなかなか出場機会がない中で、アピールするチャンスだった。攻撃はもちろんですけど、ディフェンス面でも違いを見せられたら、と思ってコートに入りました」
山田があえて“マイナス”と話すのには理由がある。ここまで東レ静岡で最多得点を挙げて来たオポジットのキリル・クレーツが欠場した。長期離脱に及ぶものではないが、プレーオフ進出をかけ、1つでも多く勝利をつかみたい中で得点源を欠くのは、確かにプラスの状況とは言い難い。
大同生命SVリーグ 2025-26 男子
-
第15節 東レアローズ静岡 vs. 日本製鉄堺ブレイザーズ(2/28)
2月28日(土)午後1:55 J SPORTSオンデマンドでLIVE配信
-
第15節 東レアローズ静岡 vs. 日本製鉄堺ブレイザーズ(3/1)
3月1日(日)午後1:55 J SPORTSオンデマンドでLIVE配信
だが、そんな危機的状況も、出場機会が巡ってきた選手にとっては大きなチャンス。言葉通り、第1セット序盤、1本目のサーブから山田は攻めの姿勢を貫き、次々スパイクも決めて見せた。
拮抗した展開が続いた第1セットを31-29で制し、幸先いいスタートを切ったが、第2セットからはグレートベアーズが主導権を握る。第1セットは決まった攻撃もなかなか通らず、マッチアップするルチアーノ・ヴィセンティンにブロック得点を献上する場面も目立ち、セットカウント1-3での逆転負け。
「スパイク効果率を高められなかった。直接失点がなくなれば、もっと違う展開になった」と反省を述べた山田は、翌日もオポジットでスタメン出場。
セッターの新 貴裕がミドルのテイラー・エイブリルの攻撃を効果的に使い、要所ではバックライトから山田が決める。チーム最多の33本のスパイクを放ち54.5%、バックアタックは78.6%と高い数字を残す活躍を見せた。
オポジットで山田を抜擢した阿部裕太監督も「爆発力に期待した。ディフェンス面でもチームで協力しながらボールを落とさない姿勢を見せ続けてくれた」と評価し、巡ってきたチャンスで求められたパフォーマンスは発揮した。
だが、1-3、0-3と連敗を喫し、勝ち点獲得もならず。2戦を終えた山田も「昨日(21日)よりもバックアタックはいいポイントで打てた」と手ごたえを示しながらも、「フロントでの決定力に欠けた。今後どういう起用のされ方になるかわからないけれど、どんな状況でもチームに流れ、勢い、プラスの力を与えられるようになりたい」と課題を口にした。
勝利を求めた後の連敗、阿部監督も2戦目は「完敗だった」と口にしたが、プラスの要素がなかったのかと言えばそうではない。どんな出場機会でも力を尽くして勝利を求める。そんな姿勢を体現して見せたのが、第2セット終盤に投入され、3セット目もそのまま出場した主将の藤中 優斗だ。
交代直後、マッチアップして目の前に立つブロックはバルトシュ・クレク。十分な助走が取り切れず、スパイク得点にはなかなかつながらなかったが、その分も、とばかりにまずは守備面で貢献した。
前日の試合では4本のサービスエースも記録し、20.7%と高いサーブ効果率を残したヴィセンティンの強烈なサーブを直接失点、相手コートへダイレクトで返すのではなく自チームのコート内に上げ、攻撃につなげ、立て続けにディグも上げる。数字に残るばかりではない活躍と存在感を称えたのは、大学の先輩後輩でもある山田だ。
「優斗さんがいるだけでチームが落ち着く。3セット目はスタートからコートにいてくれたので、守備面はもちろん、チームをまとめることも優斗さんに任せて、自分ができることを意識して挑むことができました」
外国籍選手の枠が増え、これまで以上に前衛時のブロックとスパイクのマッチアップで対峙する場面が増えた。高さが圧倒的に有利な競技であるとはいえ、その差を補うテクニックや状況判断で、確実に得点する巧さを持つ選手の代表格とも言えるのが藤中だ。
とはいえ、矛盾するようだがそれでもやはり高さという圧倒的な武器の前に、出場機会を失うのも事実。これまで以上に、限られたプレー時間の中でいかにチームのために貢献できるか。難しい役割が求められているが、それも自分の仕事、と前を向く。
「1選手として与えられた時間の中で結果を残さないといけない立場。結果的に試合を落としてしまったのはまだまだ力不足、ということだし、チームが苦しい状況でキャプテンという立場で、どうアプローチするか。言葉だけでなく、プレーでも引っ張らないといけない。
外国籍選手の人数が増えて、全体のレベルが上がる中だからこそ、自分の立ち位置や役割は明確になっていると思っているし、今日(22日)もハイボールが上がった時に決めるのか、リバウンドか。
その状況判断もできていなかったし、マークが薄い中で決めきれず、レセプション(サーブレシーブ)でもダイレクトで返してしまうケースもあったので、個人としても課題が残りました。与えられた時間で勝ちにつなげていけるように、個人としてももっともっと成長していきたいです」
今週末、2月28日(土)と3月1日(日)は同勝敗で並び、セット率の差で順位を争う日本製鉄堺ブレイザーズとの直接対決に臨む。キリルの復帰も濃厚だが、オポジットとしても存在感を見せた山田や、頼れる主将としての姿を見せた藤中がどんな活躍を見せるか。プレーオフ争いの行方も含め、見逃せない戦いになりそうだ。
文:田中夕子
田中 夕子
神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、月刊トレーニングジャーナル編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。WEB媒体、スポーツ専門誌を中心に寄稿し、著書に「日本男子バレー 勇者たちの奇跡」(文藝春秋)、「高校バレーは頭脳が9割」(日本文化出版)。「夢を泳ぐ」「頂を目指して」(徳間書店)、「絆があれば何度でもやり直せる」、凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること」(カンゼン)など、指導者、アスリートの著書では構成を担当
あわせて読みたい
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
ジャンル一覧
J SPORTSで
バレーボールを応援しよう!
