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バレーボール コラム 2026年1月29日

野中瑠衣、移籍1年目の葛藤と成長。『沼』を抜け出し輝きの舞台へ

SVリーグコラム by J SPORTS 編集部
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野中瑠衣(ヴィクトリーナ姫路)

バレーボール『エムット presents SVリーグ オールスターゲームズ 2025-26 神戸』の女子は、1月31日(土)に『GLION ARENA KOBE』(兵庫県神戸市)で開催される。選手28名はファン投票とリーグ推薦によって決定され、ヴィクトリーナ姫路野中 瑠衣は2年連続でオールスターに選出された。

SVリーグ オールスターゲームズ 2025-26 神戸

秋田北高校を卒業後、Astemoリヴァーレ茨城に5季在籍し、この2025-26シーズンから姫路に移籍加入した野中。Astemo時代は主にオポジットでプレーしてきたが、この姫路ではアウトサイドヒッターに就き、ポイントゲッターのカミーラ・ミンガルディと、エース対角を形成。

攻守で活躍する野中瑠衣

オールスターゲームを控えたレギュラーシーズン第14節を終了した時点で、総得点374はカミーラの438に次ぐチーム2番目。また、サーブレシーブ成功率ではリベロの福留 慧美の46.7%を上回る47.0%の数字を残している。今季の姫路における、まさに攻守の要というわけだ。

そんな野中だが、姫路に合流した頃はある種の “沼”にハマっていたと明かす。

エムット presents SVリーグ オールスターゲームズ 2025-26 神戸

「2025年度の日本代表活動が終わって9月ごろにチームへ合流したのですが、当初は代表で出た課題に取り組むことにワクワクしていました。ワクワクしていたのですが…、新しいチームにおける自分の立場や、過ごし方がだんだん明確になるなかで、少し戸惑う部分が出てきました。

というのもポジションを変えたことで、そこでうまくいかないことが出てきたときに、自分の中での対処法や立ち返る場所を見失っていたんです。慣れているポジションなら大体は解決策がわかるのですが、それがいまいち見つけられずにいました」

そこでは姫路に同年代の選手がいなかったこと、さらに自身にとって初の移籍だったことも影響した。「身近で気楽に話す相手がいなくて…。でも、決して仲が悪いわけではありませんよ(笑)。私自身、周りに頼るのが苦手なので」。1人で抱えこんでしまっていたわけだが、そんな野中の救いとなったのは姫路という環境そのものだった。

移籍1年目の野中瑠衣

「このチームは苦しいときにサポートしてくれるスタッフや、仲間が本当にたくさんいるんです。そうやって私が悩んだときに、何名かのスタッフと話す機会を設けていただいて、そこで初めて私が思っていることを吐き出せました。感じていた不安や寂しさ、それにプレーのことも話せて、久しぶりに泣いて、そこで『1人じゃないんだ』と実感できました。

仲間も環境も変える決断をして、『強くいなければ』と考えていたのですが、姫路の皆さんに支えられて今は過ごせているなと思います」

それは2025-26シーズンを戦うにあたって、まちがいなくエネルギーとなった。

「誰かのために、という気持ちは1人で抱え込んでプレーするよりも、ずっとずっとパワーが湧きますよね。たとえ調子が悪くても、周りが応援してくれていると思うと頑張れるものですから。私自身、そうやって必要以上に自分に熱いところがあるんです(笑)。でも、だからこそプレーや結果でしっかりと恩返しができたらいいなと思っています」

チームに合流してまもなく入り込んでしまった“沼”。やがてシーズン最初のタイトルを目指した昨年12月の「令和7年度皇后杯 全日本バレーボール選手権大会」で、野中は「そこから抜け出すきっかけにしたい」と考えていた。

NECレッドロケッツ川崎との準決勝では途中出場に始まり、2セットを落としてあとがなくなった第3セットは開始時からコートへ。しかし、攻守で気を吐くも勝利に導くことはかなわかった。

ブロックに飛ぶ野中瑠衣

「やるぞ!!という気持ちはあったのですが、どこか試合に入り込めていない自分がいて、まず(準決勝の)センターコートを楽しむことができなかった心残りがあります。準備はしていましたが、『もっとできる、もっとできる』と思う分、できていない自分に対して厳しくしすぎて落ち込む、という連鎖が起きていました」

周囲に頼らず抱え込むこともそう。自分に厳しくあろうとすることもそう。それらは野中の強みであると同時に、ときに大きな反動となって己を苦しませる。とはいえ、敗れた試合の中でも光明は差した。第3セット、相手の組織的な守備にチームとしても攻めあぐねるなか、野中はレフトからストレート方向へ鮮やかなスパイクを決めている。成長を示す1本だったのでは。

「そうですね。前の自分だったら、あそこでフルスイングはまずできなかったと思いますから。反省点はありますが、気持ちの面でもしっかりと叩くことができました。たとえ1本でも2本でも確実に成長したのかなと。欲張りすぎずに、でも欲張りたい。完璧主義なので、もっと頑張りたいと思ってしまうのですが、目の前のことにコツコツ取り組みながら成長したいです」

成長するために、移籍という選択をした。そこでは苦悩に直面した。皇后杯で抜け出せたかと言われれば、「今も苦しい期間は続いている」と大会を終えて野中は言う。けれども―。

「ここで下を向いてしまったり、引いたら結局変わらないと思いますから。これを乗り越えた先の自分に会えないと思いますし、苦しみを感じながらも向き合って、乗り越えて、さらに成長して…、自分に自信を持って。自分を認めながら突き進んでいきたいです」

オールスターでの活躍も期待したい

昨年に続いて出場を果たすオールスターゲームでは、その祭典を楽しむように野中はキラキラとした笑顔を浮かべることだろう。それが終われば、いよいよシーズンは佳境へと向かっていく。彼女自身の内なる戦いは、まだまだ続く。

文:坂口功将/写真:(C)SV.LEAGUE

大同生命SVリーグ 2025-26

J SPORTS編集部

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