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バレーボール コラム 2025年12月19日

東京女子体育大学のエース佐藤彩夏、日本一を目前に確かめた自身の成長。スーパーカレッジバレー

バレーボールコラム by 坂口 功将
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佐藤彩夏(東京女子体育大学)

『ミキプルーンスーパーカレッジバレー2025 秩父宮妃賜杯 第72回全日本バレーボール大学選手権大会 女子』(以下、全日本インカレ)は12月7日に閉幕し、東京女子体育大学が決勝で鹿屋体育大学を下して、第23回大会以来となる日本一に輝いた。その決勝でMIP賞に輝いたのが3年生エースの佐藤彩夏である。

スーパーカレッジバレー2025

パワフルなアタックを武器にエースを務めてきた佐藤は、入学してからこのかた、母校を東京の名門・下北沢成徳高校で同じくするキャプテンの菊田美優、ミドルブロッカーの小園瞳、セッターの二宮みずきといった4年生メンバーと「日本一を目指したい」という思いで過ごしてきた。

いざコート上では、彼女ら先輩たちから最後にボールを託されるポジション。「4年生たちが、自分を信じてボールを持ってきてくれることはわかっていたので、期待に応えようという一心でした。決勝でも『優勝』を変に意識せず、まずは目の前の1点をいかに掴むかに集中して全力でプレーしました」と佐藤は胸の内を明かす。

決勝でMIP賞に輝いた佐藤彩夏

決勝では第1セットを落としたものの冷静に対応し、第2セット以降は相手を20点台に到達させない盤石の戦いぶりで頂点にたどりついた。

「コートの中では『まだまだ』という声かけを欠かさずにいました。とはいえ、1点1点が日本一に近づいている実感はありました。そこは焦らず、みんなで一致団結して戦えました。4年生たちを勝たせたい、4年生には日本一を経験してから卒業してもらいたい、という思いがあったので嬉しかったです」

募らせた思いが最高の形で実を結び、喜びもひとしおだった佐藤。と同時に、自身にとっても今回の全日本インカレは自身の成長を感じられる舞台でもあった。

スーパーカレッジバレー2025

【ハイライト動画】女子決勝 東京女子体育大学 vs. 鹿屋体育大学(12月7日)#c_volleyball

今年7月、ドイツで開催された大学生世代の国際大会『FISUワールドユニバーシティゲームズ2025(ライン-ルール)』に日本代表メンバーとして佐藤は参加した。優勝を目指したチームは着々と勝ち上がり、2大会連続での決勝進出を決める。

イタリアとの決勝はセットカウント1-2となり、第4セットで14-24と相手のマッチポイントに立たされる。その場面でボールが上がってきた佐藤はライト方面からインナー側へスパイクを放つも、ボールはコートの外へ。銀メダルは立派な成績だが、最後は自らのアタックミスで大会を終えていたのである。

ワールドユニバーシティゲームズでの佐藤彩夏

「あのように負荷がかかった状態で、自分のレベルはこの程度なんだ、と実感しました。そうした状況は日本でも何度もあるわけですし、あのドイツでのミスを決して忘れることはありませんでした。ほんのわずかな部分なのですが、そこを絶対にミスしない、最後を任された以上はしっかりと応えることを帰国してからも常に意識してきました」

いかにプレッシャーがかかろうとも、託されたボールをミスせずに得点につなげる。その心持ちは、シーズンの集大成となる全日本インカレで活かされた。

佐藤の告白。「決勝の第3セットに、少しトスが割れた場面があったんです。アタックで跳んだときに、ユニバーシティゲームズのあの場面を思い出しました。『あ、これだ。これで自分が成長したか、していないかが分かる』と思いながらスパイクを打ちました」

そのアタックは得点に。「自分が成長しているんじゃないかな、という手応えはありますね」と佐藤はほほえんだ。

「糧になるようなことばかりだった」という国際大会での経験を踏まえ、自チームを日本一に導き、MIP賞とベストスコアラーに輝いた佐藤は全日本インカレをこう総括した。

東京女子体育大学は55年ぶり2回目の優勝

「来年も自分を筆頭に得点を決めていきたいと思います。一方で、自分につなぐまでに1本目のレシーブや、2本目のパスを精度高く上げてくれたのは今年の4年生たちでしたから。4年生が多く抜ける分、来年は自分がその役目を担っていかなければなりません。そのためにもどんどん成長していかなければと感じた今年の全日本インカレでした」

来る大学生活ラストイヤー。成長の道筋と、自身がやるべきことははっきりと見えている。

文・写真:坂口功将

大同生命SVリーグ 2025-26

坂口 功将

スポーツライター。1988年生まれ、兵庫県西宮市育ち。
「月刊バレーボール」編集部(日本文化出版)で8年間勤めたのち、2023年末に独立。主にバレーボールを取材・執筆し、小学生から大学生、国内外のクラブリーグ、そしてナショナルチームと幅広いカテゴリーを扱う。雑誌、ウェブメディアへの寄稿のほか、バレーボール関連の配信番組への出演やイタリア・セリエAの解説も務める。

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