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バレーボール コラム 2025年12月16日

【ハイライト動画あり】早稲田大学、今季の大学バレーを締めくくった圧巻の完全優勝。スーパーカレッジバレー

バレーボールコラム by 田中 夕子
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胴上げされる前田凌吾主将(早稲田大学)

派手さはないが、確実に強い。2年ぶりに全日本インカレ(全日本バレーボール大学男子選手権大会ミキプルーンスーパーカレッジバレー2025)を制した早稲田大学が、圧巻の強さを見せつけた。しかも5試合を戦い、落としたセットは1つもない。『失セット0』での完全優勝だ。

スーパーカレッジバレー2025

国士舘大学との決勝戦でも、その強さを随所で見せつけた。第1セット、まず先行したのは国士舘大だ。関東春季リーグは9位だが、秋季リーグで4位と躍進。

全日本インカレでもノーシードながら、3回戦で東日本インカレを制した筑波大学、準々決勝で秋季リーグ2位の明治大学、準決勝では日本代表の甲斐優斗擁する専修大学を打破した勢いそのままに、主将でエースの工藤築(4年、埼玉栄)の攻撃や,定山蒼昊(1年、埼玉栄)のサービスエースで1-5、早稲田大から4点のリードを得るスタートダッシュを切った。

強者を倒すにはサーブで主導権を握る、という姿勢を前面に打ち出し、定山や工藤だけでなく前原蓮(4年、東海大菅生)のサーブでも得点し、チャンスボールからの攻撃は今季日本代表登録選手にも選出されたセッターの竹松魁柊(2年、岡谷工)が自在に展開。国士舘大が6-12とリードを広げる。

ここまでの戦いぶりを象徴するような、素晴らしい攻めの姿勢を前に劣勢スタートとなった早稲田大だが、ここからが強かった。

主将の前田凌吾(4年、清風)のサーブから、エースの小野駿太(2年、聖隷クリストファー)のブロック、スパイクで連続得点。さらに小野のサービスエースとローゼンマーク有廉ジュニアのブロックで一気に追い上げ、14-14の同点とすると、絶妙なタイミングで前田が小野のバックアタックを選択し、ついに逆転。最後も小野がサーブで崩した後に自らバックアタックを決め、25-20、逆転で第1セットを先取した。

こうなれば流れは渡さないとばかりに、第2セットはオポジットでSVリーグの東京グレートベアーにも所属する川野琢磨(1年、駿台学園)のスパイクや、ブロック、途中出場のアウトサイドヒッター徳留巧大(2年、松本国際)のスパイク、ミドルブロッカー菅原啓(3年、山形南)の速攻で得点した早稲田が中盤からリードを広げる。

『完全優勝』を果たした早稲田大学

第1セットと同様に小野のサービスエースでセットポイントを握り、最後は国士舘大のミスで25-18、第2セットも早稲田大が連取した。

勝利まであと1セット。第3セットもタレント揃いのチームの中で、まさに『エース』として頼もしい姿を発揮し続けたのが小野だ。サーブで攻め、前衛、後衛を問わず高い攻撃参加意識を最後まで維持し、要所は必ず決める。

スーパーカレッジバレー2025

【ハイライト動画】男子決勝 :早稲田大学 vs. 国士舘大学(12月7日)#c_volleyball

U21日本代表のエースとして、今夏は世界選手権にも出場したエースで、攻撃力の高さは高校時代から定評があったが、今季の小野は波が少なく、常に安定した力を発揮し続けた。おそらく誰が見ても「すごい」と思うプレーの連続なのだが、小野自身も「自分でもわかるぐらい今年は成長した」と手ごたえを示す。

「心の部分も含めて、最後に決める、攻めることができるようになったというのは自分でも成長できたところだと思います。でもそれができたのは、4年生が自分に託してくれたり、3年生の先輩や同期、1年生たちが支えてくれたから。このチームがあったから成長できたんだと思います」

チーム全員に感謝を示す小野が、特に「支えられた」と言うのが前田だ。決勝でも、ここぞという勝負所では離れた位置からのロングセットを小野に託す。前田の武器でもあるパス力も光るが、主将として、セッターとして、チームを勝たせるために決めてくれ、と言わんばかりのトスに込められた思いを小野も受け取っていた。

「打ちやすいのはもちろんですけど、心のつながり方が違う。凌吾さんが支えてくれるので、すごくやりやすかったです」

20-18と早稲田大が2点をリードして迎えた終盤、途中出場の麻野堅斗(3年、東山)のサーブで崩し、連続得点で24-19とリードを広げたところで梶村颯汰(4年、安田学園)、板垣慧(4年、洛南)、2人の4年生を投入。最後は前田からのトスを板垣が決め、25-20、まさに全員の力を結集させて早稲田が2年ぶりの日本一に輝いた。

表彰を受ける早稲田大学

MVPに選出された前田が言った。

「MVPが取れたのはみんなのおかげなので、本当に嬉しい。日本一になって、チームメイトや対戦してきた仲間たち、みんなから『おめでとう』と言われる存在になれたらいいな、と思っていたので、最後に勝つことができてよかったです」

最強早稲田が最後に見せた、最高のフィナーレだった。

文::田中夕子/写真:坂口功将

大同生命SVリーグ 2025-26

田中夕子

田中 夕子

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、月刊トレーニングジャーナル編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。WEB媒体、スポーツ専門誌を中心に寄稿し、著書に「日本男子バレー 勇者たちの奇跡」(文藝春秋)、「高校バレーは頭脳が9割」(日本文化出版)。「夢を泳ぐ」「頂を目指して」(徳間書店)、「絆があれば何度でもやり直せる」、凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること」(カンゼン)など、指導者、アスリートの著書では構成を担当

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