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バレーボール コラム 2025年10月10日

【SVリーグ 女子が今日開幕!】 9年ぶりに中田久美監督が就任したSAGA久光など、今季の注目は『新たな指揮官』たち

SVリーグコラム by 坂口 功将
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オープニングカンファレンスで揃った女子14チーム

いよいよ10月10日(金)から幕を開ける『大同生命SVリーグ 2025-26 女子』。注目の1つに挙げられるのが、指揮官たちの存在だ。選手の移籍は活発化する傾向にあるが、今季に向けては監督人事においても同様だった。

大同生命SVリーグ 2025-26

まずはSAGA久光スプリングスで、9年ぶりに指揮を執る中田久美監督。前回の監督時には、2012年からチームを3度のリーグ優勝と、4度の皇后杯制覇に導いた実績を持ち、2017年から女子日本代表監督を務めたのちは第一線から退いていた。

その間にチームは世代交代が進み、今や前回の監督時代を知らない選手が大半を占める。その1人、ミドルブロッカーの荒木彩花に印象を聞くと、「小さなことでアドバイスをもらうときにも『彩花なら絶対にできるから』という言葉を必ずかけてくれる。いっそう意欲を沸かせてくれる監督だと感じます」と明かした。

中田監督自身は今年6月の就任会見で、「リーグ優勝は通過点。世界で戦える選手を1人でも多く輩出したい。選手たちの夢をサポートできるように」と意気込んでいた。SAGA久光の実力派メンバーたちを、さらなる高みへ導くだろう。

大同生命SVリーグ 2025-26 女子

そして、それまでSAGA久光を指揮していた酒井新悟氏は今季、クインシーズ刈谷の監督に就任した。

これまで対戦相手として見ていた刈谷の鴫原ひなたキャプテンは、「試合中もiPadを手にしていらしたので、俯瞰して分析するような…冷静沈着な人柄だと想像していました」と言いつつ、「接してみると、とても温かい方でした」と微笑む。

日々の練習で技術的なアドバイスは、コーチが主体となって行うそうで、酒井監督は「ぐいぐい発言するわけでなくて、『最近どう?』とそっと話しかけていただき、そこで選手からの相談や意見を受け入れたうえで、ご自身の考えを提示してくださる」(鴫原キャプテン)のだそう。

SAGA久光時代しかり、酒井監督のそんな寄り添う姿勢が、伸びしろを秘めた若手選手たちが飛躍する土壌をつくっているのだ。

一方で、中田監督が率いて東京2020五輪を戦った女子日本代表において右腕を務めていた相原昇氏が、この2025-26シーズンからはAstemoリヴァーレ茨城で指揮を執る。

大分の名門・東九州龍谷高校を、数えきれないほどの全国制覇に導いてきた名指導者だ。東九州龍谷高校時代は高速コンビバレーが代名詞であり、Astemo茨城においても速さは追い求めている部分。けれどもアウトサイドヒッターの長内美和子キャプテンはその実態をこう説明する。

「『速い=低いトス』という印象があるかもしれませんが、実際はそうではなくて。それぞれのアタッカーの打点に合わせて、速いトスを持っていく、という考え方でした。トスが早いので、アタッカーとしてはまだまだあたふたしてしまう部分もありますが…(笑)」

そう語ったのは10月12日の開幕記者会見。「まだまだ作り上げている段階なので、選手ながらどうなるか楽しみです」とどこかうれしげに口にした。

そのAstemo茨城から新天地へ移ったのは中谷宏大監督。今季から采配を振るうのは、昨季リーグ準優勝のNECレッドロケッツ川崎である。

中谷監督の印象について「熱くて、勝ちにこだわる気持ちがとても伝わってきます」と語るのは、こちらも今季からキャプテンを務めるミドルブロッカーの山田二千華

新指揮官を迎え入れる体制は選手側でも整えてきており、「監督にとっては新しい環境でわからない部分もあると思うだけに、コミュニケーションを大事にしていきました。自分がキャプテンということもありますが、ほんとうに毎回の練習が終わったあとには、その日の感想や次への活かし方を話せています」と山田は振り返る。

「自分たち選手と監督、それぞれの良さを取り入れて、いいチームを作っていく」(山田)、その先にV奪還はある。

最後に、昨季はチーム最下位に終わった群馬グリーンウイングスは、坂本将康GMが今季から監督に転向。PFUブルーキャッツ時代から“師弟関係”にある高相みな実(高ははしご高)キャプテンは、その指導スタイルをこのように説明する。

「ロジカルなバレーボールを展開するのが、私の中での坂本監督らしさ。そのうえで相手の虚を突くような戦術を繰り出すことや、選手にそれぞれのポジションに応じたやりがいを持つように促すこともそう。バレーボールの知識が絶えないですし、一緒に過ごしてとても楽しいです」

計7年に及ぶ関係性があるからこそ。高相はいたずらっぽく笑顔を浮かべて、今季に懸ける思いを口にした。

「他のチームの選手から『怖そう』と言われるのも、坂本監督らしいなと思いますけれど(笑)。昨季までのGMをされていたときのほうが顔つきは優しかったと思いますが、今は勝負師の顔です。バレーボールに真摯に向き合って、自分たち選手にも愛を持って接してくれるので、それに応えたいという気持ちはずっとあります」

トップリーグ参戦2季目、群馬は勝負師に導かれてジャンプアップを目指すのだ。

実績ある監督たちが新たな環境で振るう采配やその手腕に、ご注目を。

文:坂口功将/写真:J SPORTS 編集部

坂口 功将

スポーツライター。1988年生まれ、兵庫県西宮市育ち。
「月刊バレーボール」編集部(日本文化出版)で8年間勤めたのち、2023年末に独立。主にバレーボールを取材・執筆し、小学生から大学生、国内外のクラブリーグ、そしてナショナルチームと幅広いカテゴリーを扱う。雑誌、ウェブメディアへの寄稿のほか、バレーボール関連の配信番組への出演やイタリア・セリエAの解説も務める。

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