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バレーボール コラム 2025年7月1日

東京グレートベアーズのカスパー・ヴオリネン監督が続投。チームをさらなる飛躍へと導く

SVリーグコラム by 坂口 功将
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カスパー・ヴオリネン監督(東京グレートベアーズ)

「大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)」の東京グレートベアーズは6月23日、カスパー・ヴオリネン監督の2025-26シーズンの契約を発表した。2023-24シーズンから指揮を執り、3季目の戦いに臨むことになる。

2022年に前身のFC東京から全体譲渡される形で、装い新たに活動をスタートさせた東京GB。プロクラブとしてスポーツエンターテイメントを追求し、ホームゲームの演出や様々なイベントに注力、2024-25シーズンには目標としていた「ホームゲーム来場者数10万人」を達成した。

と同時に年々、チームの競争力も高まっている。2023-24シーズンにはプレーオフ進出まであと一歩まで迫り、翌年には発足3季目にして初のチャンピオンシップ出場を果たした。

エンターテイメントを追求する東京グレートベアーズ

その躍進を支えたのがカスパー監督である。フィンランド出身で、現役時代はセッター。「代表でいえば3、4番手の実力でした」と本人は明かすが、ポジション柄、試合の戦術や状況の応じた解決策を練るのが好きだったそうで、結果的に35歳まで現役としてプレーするも「20歳の頃には指導者になることを考えていた」という。

実際に現役選手と並行して、フィンランド代表女子のアシスタントコーチを務めていた経歴もある。引退後はコーチ業に身を投じ、韓国リーグを経て、2023-24シーズンから来日した。

「革新的なバレーボールを繰り出したい」

それは東京GBの監督に就任してきた当初から口にしてきた言葉であり、プロクラブとしてのチームのありかたそのものにもリンクしていた。

同じくしてアウトサイドヒッターの柳田将洋や、セッターの深津旭弘ら実力派選手が加入。セッターを軸にスピード感あふれるコンビバレーを展開、それでいてアタッカーたちはダイナミック。掲げたスタイルは徐々に実現されていく。

そうして2024-25シーズンはホームの開幕節こそ連敗を喫するも、第2節からは5連勝をあげた。その5連勝目は、カスパー監督体制下でもハイライトの1つに数えられるゲームとなった。

昨年11月3日に有明アリーナで開催されたサントリーサンバーズ大阪戦。東京2020五輪以降で、国内リーグ戦としては初となる有明アリーナでのバレーボールの公式戦、さらには前年度リーグ王者と、東京をホームとするクラブによる対戦カード、と注目度も高く、会場には1万1599人の観客が詰めかけた。

そこで東京GBはサントリーをフルセットの末に破ったのである。その翌日はストレートで敗れたものの、試合後の記者会見でカスパー監督は2日間を振り返り、感動を隠さなかった。

「私自身、選手として幾度となくチャンピオンシップ(各国のリーグ戦)を戦い、そこでいろんな経験をして、成功も味わってきました。そうして東京GBの監督として素晴らしい機会をいただいているわけですが、昨日の勝利は私のコーチングキャリアにおいて、1、2に入るものでした」

「そして、勝てたことも嬉しかったですが、大勢のバレーボールファンでアリーナを埋め尽くしてくれたことがありがたかったです。それもまたコーチングキャリアのなかでも素晴らしい瞬間でしたね。サントリーが上回り、今日は勝てませんでしたが、それでもファンの方々が盛り上がってくださり、1万人を超える観客のなかで戦えたことが光栄でした」

その後もチームは着実に勝ち星を重ねて、初のチャンピオンシップ進出を遂げたのであった。

戦況を見つめるヴオリネン監督(左)

契約継続のリリースにてカスパー監督は、「チームは毎シーズン少しずつ前進しており、これからも歩みを止めることなく、さらに成長を重ねていきたいと考えています」とコメントした。

すでに2025-26シーズンに向けては、ウルフドッグス名古屋で2022-23シーズン優勝の立役者となったポーランド代表オポジットのバルトシュ・クレクの入団が決定。

さらに、現在は日本代表としてネージョンズリーグを戦っている村山豪や、イタリア・セリエAで腕をならしてきたスロベニア代表のヤン・コザメルニクのミドルブロッカー勢も新たに加わる。選手層は厚みを増し、それに伴ってチームの戦闘力も高まることは必至だ。

「オープンマインド。何でも吸収する姿勢を日本にきてから学んでいます」と言ってやまないカスパー監督が、新戦力をまじえたチームをさらなる飛躍へと導くか。2025-26シーズンのみどころの1つである。

文/写真:坂口功将

坂口 功将

スポーツライター。1988年生まれ、兵庫県西宮市育ち。
「月刊バレーボール」編集部(日本文化出版)で8年間勤めたのち、2023年末に独立。主にバレーボールを取材・執筆し、小学生から大学生、国内外のクラブリーグ、そしてナショナルチームと幅広いカテゴリーを扱う。雑誌、ウェブメディアへの寄稿のほか、バレーボール関連の配信番組への出演やイタリア・セリエAの解説も務める。

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