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バレーボール コラム 2025年4月2日

入団2季目の亀山拓巳、東京グレートベアーズの『極厚サイド陣争い』での向き合い方

SVリーグコラム by 坂口 功将
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亀山拓巳(東京グレートベアーズ)

クラブ創設3季目にして初のチャンピオンシップ進出を決めた「大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)」男子の東京グレートベアーズ。戦況に応じて繰り出す、カスパー・ヴオリネン監督の巧みな選手起用はチームの特徴の1つだ。それを実現させているのは、特に選手層が分厚いアウトサイドヒッター陣と言える。

今季の顔ぶれでいえば、トッププレーヤーとして第一線に立ち続ける柳田将洋、即戦力ルーキーとして非凡な才能を披露している後藤陸翔、そしてポルトガル代表でキャプテンを務めるアレックス フェレイラに、抜群のジャンプ力とパワフルなアタックが持ち味の戸嵜嵩大、今季かぎりで引退を表明しているも豊富な経験を備える星野秀知…と実に多彩だ。そして、そこに食い込んでいるのが入団2季目の亀山拓巳である。

中学生時代は日本製鉄堺ブレイザーズのジュニアチーム「堺ジュニアブレイザーズ」で過ごし、大阪・常翔学園高校では大黒柱を担った亀山。順天堂大学を卒業後、東京GBに入団した。

内定選手として合流した時点で東京GBはまだ創設1年目。「ほとんど情報がなかったですからね(笑)。入団先を考えるにあたって個人的に不安はありました。ですが、このチームでバレーをやらなかったら絶対に後悔するだろうと思いましたし、大学時代からのハングリー精神は自分の中にも残っていたので『ここでプレーする』と決めました」と当時の心境を振り返る。

活動休止となった前身のFC東京から一転、プロクラブとして新たな歴史をスタートさせた東京GBは、スポーツエンターテイメントの最先端をいく様々な取り組みで国内バレーボールシーンを席巻。そのチームに身を投じた亀山は目を丸くさせていた。

「キービジュアルの撮影は緊張しますし、表情の作り方も周りからは『まだまだ甘い!!』なんて言われますから(笑)。それに大学時代は、周りの目を気にしたことなんてなくて。東京GBは選手の皆さんがバレーボール以外の私生活でも高い意識を持っています。その様子を見ると、『あぁ、プロなんだ』と実感しますね」。

メンバー争いに挑む亀山拓巳

いざプロ選手として一歩を踏み出すにあたって、目指したのは「自分が試合に出て、チームの勝利に貢献できるようなキーとなる選手」。その2023-24シーズンではさっそく開幕戦からスタメンで起用されると、以降もコンスタントに出場機会を獲得した。

「(2022-23シーズンの)内定選手での出場は1試合だけでしたが、それでも試合に出る楽しさを感じましたし、2023-24シーズンに向けてはマサさん(柳田)の加入もあって、チーム内競争という点でも刺激になりました。負けられない気持ちがとても強くて、『やってやるぞ』って」。

そんな闘志が、入団1年目から亀山を支えていたのである。だが、2023年も年末を迎えたタイミングで試合中に足を負傷。全治3ヵ月の診断が下され、その後はプレーすることが叶わなかった。

復帰を果たして臨んだこの2024-25シーズンは、SVリーグの始動に伴って外国籍選手のオンザコートルールの拡大もあり、フェレイラが加入、さらには後藤の台頭もあり、チーム内競争は前年以上に激化することに。

亀山は途中交代でコートに送り出されるシチュエーションが増えた。なおかつ、状況としては相手にリードされている場面が多い。東レアローズ静岡とフルセットの激闘を演じた3月22日のゲームはまさにそうだった。その試合後、亀山は言葉に力を込めて、こう語っている。

「そういった難しい状況での起用は今季少なくなったので。いつもどおり…とまでは言いませんが、自分にできることに集中して、2枚替えで一緒に入ったセッターを信じる気持ちでプレーしました」。

亀山拓巳のアタック

その試合では打数こそ3本も、しっかりと2得点を挙げている。劣勢をはね返すかのように、自身の役目を務め上げる姿があった。その頑張りを、カスパー監督も評価していた。

「このチームには、いい選手がそろっていますから。バラエティ豊かですし、それぞれの特徴を活かした起用を考えています。狙いとしてはオフェンス力を高めることが一番に、そのうえでエネルギーを発してくれる選手を送り出そうと。亀山や戸嵜はシーズンを通してプレー時間はそれほど多くありません。ですが、彼らがハイレベルな選手であることは確かです」。

入団1年目は監督から安定感を求められ、守備が自分の強みと自負する一方で、「それだけに偏っていてはレギュラーを取るのは難しいですから。アタックの効果率も高めて、攻撃力とうまく兼ね合いを図っていくことが課題です」と向き合っていた亀山。今はまさに激しいチーム内競争のど真ん中にいながら、その一員としてリーグを戦っているわけだが、そこでは思いを強くして臨んでいる。

「自分の良さを磨かなければ、チーム内で切磋琢磨するにも、いざ試合に出るときにも、発揮する武器がないことになるので。まだまだできないこともありますが、それをできるように意識して、試合では自分の強みを出す気持ちで頑張ります!!」。

レギュラーシーズンは残りわずかだが、きたるチャンピオンシップでもその力が求められる時間帯はきっと出てくる。勝利に貢献するキープレーヤーへ、今こそ。

文/写真:坂口功将

坂口 功将

スポーツライター。1988年生まれ、兵庫県西宮市育ち。
「月刊バレーボール」編集部(日本文化出版)で8年間勤めたのち、2023年末に独立。主にバレーボールを取材・執筆し、小学生から大学生、国内外のクラブリーグ、そしてナショナルチームと幅広いカテゴリーを扱う。雑誌、ウェブメディアへの寄稿のほか、バレーボール関連の配信番組への出演やイタリア・セリエAの解説も務める。

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