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【田村岳斗】
1979年5月28日生まれ。
プロスケーター&コーチとして活躍する男子フィギュアスケーターの第一人者。
高校3年時(1998年)に長野五輪出場。全日本選手権優勝2度の実績を持つ。現在は、関西を拠点に、未来のメダリスト育成に務める。
2012-13の田村岳斗対談に登場するのは、 織田信成選手。実は織田選手との対談は、3年以上前から企画されていたのですが、ようやく今回実現。同じ関西大学のリンクで顔を合わせている同士、他では聞けない話も登場します。Vol.1は、4回転ジャンプ&コンポーネンツについて。対談プレビュー編と合わせてお楽しみください
■プレビュー編はこちら→◯
「僕、めちゃくちゃタフでポジティブなんです!」
田村:今後、4回転に関していえばSPで1つ、フリーで2つ、3つは必要になってくると思うんだけど、普段の練習を見ている限りでは十分できそうに見えるよね。
織田:確かにみんなやってくるでしょうね。朝の公式練習で、この選手大丈夫かな?という選手でも、今は本番で必ずやってきますからね。フェルナンデス君は、スケートカナダの朝の公式練習でびっくりするぐらいコケていて。でも、本番でしっかり決めてきたんです。フェルナンデス君みたいに、調子がよくても悪くても4回転を決められる力は必要ですね。
田村:ノブの4回転は決まるとすごいんだけど、フェンスが近過ぎない? この前もドカーンって行ってなかった?
織田:2本目を跳んでいる時に、空中で壁が近いなと思ってたんですけど、降りた瞬間、この長い足のせいかドーンと行ってしまって...。
田村:...(苦笑)。ノブはジャンプの前は、どんどん加速していって、他の選手と比較してもはるかにスピードがあるし、ジャンプの幅もあるから距離も使うとは思うんだけど。
織田:テイクオフの位置が奥過ぎるんですね。だったらもう少し手前で跳べよって話ですね(笑)。
田村:ノブに欠けているとすれば、距離を測る能力だね。
織田:やっぱり数字的なものが苦手ってことですね。僕、文系なんで(笑)。最近はなるべく奥からスタートするようにはしています。
田村:ノブは失敗を引きずらないタイプかな?
織田:自分で言うのも変ですけど、めちゃくちゃタフでポジティブなんです。ネットでネガティブ診断というのをやったことがあるんですけど、ネガティブ要素がほとんでなくて(笑)。落ち込んでいる時ですらポジティブですよ。
田村:それはスポーツをやる上で大切だよね。嬉しい時よりも、落ち込む時の方が圧倒的に多いから。
織田:ただ、ポジティブなだけで、負けた悔しさを次に活かせてないのかなというところはあります(笑)。
田村:反省は必要だよね(笑)。
織田:前半で失敗すると、なんとかしようと思ってトリプルトゥのコンビネーションを跳んでしまって。
田村:でも、それは体力があるノブだから跳べるのであって、普通の人は後半であのコンビネーションはなかなかできないよね。跳ぶ余裕がない状態になるから(笑)。
織田:ジャンプで失敗すると、なんとかリカバリーをしようと焦ってしまうんです。そこで頑張った割には...。
田村:0点になってはダメだよね。
織田:ハイ、0点は...、痛いです。
田村:ギリギリの勝負になると、1点2点で順位が変わってくるから。でも、今シーズンの演技構成はうまくいっているわけだね。
織田:ハイ、構成点は低いんですけど、クリーンに滑り切ることを考えています。
田村:ケガをしてから何か変わったところはある?
織田:柔軟をよくやるようになったんです。もともと体の柔軟性の左右差があったり、筋肉のバランスも悪かったのですが、大分バランスが取れるようになってきました。
田村:それによってジャンプ以外の表現力もずいぶん上がってるね。
ところで、J SPORTSから、"コンポーネンツに関して、どのように考えていますか?"という質問があるんだけど?
織田:スケーティングスキルとトランジッションに関しては、本当に技術的な物だと思うので、スケーティングスキルは練習していけばどんどん伸びていくものですし、トランジッションもいろいろ入れていくことができるのですが、僕が試合に出ていて感じたことは、ジャッジは、技術的なものもそうですが、それをいかに見せてくれるかを期待しているところががあると思うんです。ジャッジの方がよく言われるのが、プロジェクションといって、氷の上でどう自分を反映させて、それを曲と合わせてどう見せるのかなんです。
だから、手を出すことも気持ちを込めてだったり、目線を常に上げてアピールしたり...。そういうことが求められると思って今は取り組んでいますね。特に疲れてくると、目線が下がってきたりするので、どんどん体力を上げて、演技の最後になっても指先1本までしっかりと表現したりできるように考えています。
田村:コンポーネンツは本当に難しいよね。
織田:コンポーネンツの5~6点の差は、ジャンプ1つ分くらいですからね。練習をするにもどう練習をすればいいのか...。
田村:地味な練習だよね。
織田:1つ1つ、演技をする上で大げさにするぐらいにやっていかなければいけないのかなと思っています。
田村:演技する曲はコミカルな感じとシリアスな感じとどっちの方が好きなの?
織田:僕はコミカルな感じですね。そもそも僕の表情がいつもニヤニヤしているので(笑)、楽しそうな曲だと楽しそうに見えるんですけど、シリアスな曲だとあんまりしっくりこないみたいで。
田村:演技じゃなくてノブそのまんまだね(笑)。
次回、対談Vol.2のテーマは、織田選手のプライベートです。
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