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【田村岳斗】
1979年5月28日生まれ。
プロスケーター&コーチとして活躍する男子フィギュアスケーターの第一人者。
高校3年時(1998年)に長野五輪出場。全日本選手権優勝2度の実績を持つ。現在は、関西を拠点に、未来のメダリスト育成に務める。
世界フィギュア男子が終わりました。男子はSPに引き続きすごい試合になりました。
最終組だけで20発以上の4回転が見られました。
その進化のスピードに改めて驚くばかりです。
この厳しい試合を逆転劇で締めくくり、
2014年大会以来世界チャンピオンに返り咲いた羽生選手、おめでとうございます。
そして、世界フィギュアで初の表彰台となった宇野選手、おめでとうございます。
羽生選手は、2連覇中だったチャンピオンにSPで10点以上差を付けられても
心が折れることなくフリーに挑んだことが今回の結果につながりました。
ジャンプはすべて素晴らしく、世界チャンピオンにふさわしい滑りでした。
2位になった宇野選手も最後までスピードが落ちることがなく滑りきりました。
最終組の6人の中で、唯一2日間ジャンプを1度も失敗しなかった
ボーヤン・ジン選手が3位に入りました。2年続けてのメダリスト。
同じ順位でも先シーズンより技術、精神力ともに進化しています。
ディフェンディング・チャンピオンのフェルナンデス選手は、
連覇中のプレッシャーと、滑り終えた選手たちのハイスコアのプレッシャーがあって、
最終滑走で滑るのは本当に大変だったと思います。
今回、負けたことは残念だったと思いますが、
勝ち続けることの重圧から開放されると前向きに考えて、
来シーズンに向けてほしいと思います。
パトリック・チャン選手は2種類の4回転をキメてきました。
ベテランの進化、スケートの美しさはさすがです。
ネイサン・チェン選手はフリーで4回転6発構成。
技術はもちろん、この構成をやれるスタミナに驚きです。
僕が今回の結果で注目したのは、
1位と2位の得点差が2.28、3位と4位の得点差が2.39というわずかな差です。
例えば宇野選手でいえば3回転ルッツ、
フェルナンデス選手で言えば、3回転フリップ。
彼ら4回転ジャンパーにとっては比較的簡単なはずの3回転のミスさえなければ...。
スポーツの結果にタラレバはありませんが、
それによって生まれたわずかな得点差が優勝かそうでないか。
表彰台に乗れるかどうかの分かれ目になりました。
もう1つ、今回の上位3人は、4回転3種類を持ち、
SP、フリー合計で5発以上を決めた選手でした。
来シーズンのオリンピックでメダルをとるには、
ここが最低ラインになってしまうのでしょうか?
宇野選手は、先シーズン終わった直後に4回転フリップ、
シーズン中に4回転ループを跳べるようになりましたが、どちらもわずか1年以内の事です。
この事実を踏まえると、来シーズンのオリンピックまでに
誰がどれだけ進化するのか僕には全く予想できません。
選手にとっては厳しい戦いですが、ファンの方にとってはますます目が離せない。
そんな来シーズンになりそうです。
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