人気ランキング
コラム一覧
「特別な瞬間」シゼロンが新パートナーと欧州王座に帰り咲き!ペアはメテルキナ/ベルラワ組が初戴冠の喜びに沸く | ヨーロッパフィギュアスケート選手権2026 ペア&アイスダンス レビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部初優勝を果たしたアナスタシア・メテルキナ/ルカ・ベルラワ組
オリンピックイヤーならではの、華やかで、緊迫感あふれる欧州選手権。2026年1月、イギリスのシェフィールドに強豪カップルたちが集結し、威厳あるヨーロッパチャンピオンの称号をかけて競い合うとともに、1ヶ月後のイタリア行きに向けて最後の仕上げに臨んだ。
アイスダンスでは、かつてガブリエラ・パパダキスとともに大会5連覇を成し遂げたギヨーム・シゼロンが、新たなパートナー、ローランス・フルニエ=ボドリーとともに再び欧州の頂点に立った。一方のペアは、7大会連続で新王者が誕生。ジョージアのアナスタシア・メテルキナとルカ・ベルラワが、初戴冠の喜びにわいた。
ペア
2年前に銀を、1年前に銅を手にしたアナスタシア・メテルキナ/ルカ・ベルラワ(ジョージア)が、結成3年目で、最も美しい色のメダルに輝いた。世界ジュニア2連覇の2人が、シニアでは初のISUチャンピオンシップ制覇。1993年から参戦してきたジョージアにとっても、記念すべき初の欧州ペア金メダルだった。
「ジョージアにとって記念すべき日になりました。本当に嬉しくて、最高の気分です。良い演技が出来て、ホッとした気分でもあります」(ベルラワ)
鮮やかなスピードに、素晴らしいシンクロニシティ。独創性あふれるショートプログラム(SP)「ボレロ」を、メテルキナ/ベルラワ組はほぼパーフェクトに披露した。すべてのエレメンツをレベル4で揃えた。ツイストやデススパイラルを含むペアという競技の性質上、極めて難しい偉業も、2人にとっては今季3度目。しかもスローで3Fを、ソロジャンプで3Sを飛ぶメテルキナ/ベルラワ組は、基礎点自体で「歴代最高得点」をマーク。そこに平均して高い出来栄え点(GOE)と、やはり今季着々と上げてきた演技構成点(PCS)とを加えて、SP75.96点で首位に立った。
GPアメリカ大会やGPファイナルでは、フリースケーティング(FS)で順位を下げてきたメテルキナ/ベルラワ組だが、この日の2人は、プログラム序盤の失敗を引きずらなかった。サイド・バイ・サイドのジャンプで女性が転倒するも、「冷静に」を合言葉に、その後も自信あふれるパフォーマンスを貫いた。FSでも139.80点と文句なしの首位を勝ち取り、合計215.76点で堂々たる優勝を果たした。
「オリンピックでも、ルカと一緒に、いつか金メダルを獲得したいと願っています。それを達成する日まで、私たちは諦めません」(メテルキナ)
ディフェンディングチャンピオンのミネルヴァ・ファビアン・ハーゼ/ニキータ・ヴォロディン(ドイツ)にとっては、決して完璧な大会にはならなかった。
2位で迎えたFSでは、ナーバスになりすぎ、序盤のサイド・バイ・サイドとスローでミス。しかも挽回しようと力みすぎた結果、「体力を消耗してしまった」という。プログラム最後の、2人の代名詞とも言える印象的なリフトで、降ろす動作の最中にハーゼが転落。負傷がなかったのは幸いだったが、大きな減点は避けられなかった。
それでも各要素の完成度の高さは光った。特に両プログラムとも、冒頭のツイストは大会最高レベルの評価を得た。成熟した精緻な表現力も、高いPCSにつながった。GPファイナルを2度制した実力者は、FSだけなら3位に甘んじたものの、トータルでは2位を守りきった。
「FSの演技自体には満足できません。序盤のミスで流れが乱れ、それが最後のリフトの失敗につながったんだと思います。それでも私たちは力を合わせて最後まで戦い抜きました。銀メダルを持ち帰れることを、誇りに思います」(ハーゼ)
過去2年連続4位で終えてきたマリア・パヴロワ/アレクセイ・スヴィアトチェンコ(ハンガリー)は、とうとう表彰台に上がった。世界選最高位やGPファイナルでも最高位4位だった2人が手にした、初めての大きな勲章。ハンガリーのペアとしては、1957年以来69年ぶりの欧州メダルとなった。
「自分たちの殻を破ろう」と、新たな振付師とともにプログラム全体の質の向上に取り組んできた努力が、数字として成果に現れた。SPでは今季ここまでPCSを2点近くも伸ばしてきたが、今大会はGOEも一気に1点以上アップ。3度目のパーソナルベスト(PB)を更新した。
一方、FSでは女性の体調不良もあり、特にプログラム後半にレベルをいくつか落とした。それでも、やはり新しい振付師とともに磨いてきた表現力で、21歳のパヴィロワと26歳スヴィアトチェンコは、「自分たちのストーリー」を氷上に美しく描き上げた。
「メダルを獲得できて本当に嬉しいです。ついに成し遂げました。ずいぶん時間はかかりましたが、このメダルは私たちにとって大きな意味を持ちます。この先も、すべてにおいて、努力を続けていきます」(パブロワ)
2023年銅メダリストのアニカ・ホッケ/ロバート・クンケル(ドイツ)は、シーズン序盤の男性側の負傷を乗り越え、「心から楽しめた演技」で4位入賞。また結成2年目のオクサナ・ヴイヤモーズ/トム・ブヴァール(スイス)は、体格差を活かしたダイナミックなエレメンツで魅せ、PBを大きく塗り替えるとともに総合5位と躍進した。
3年前の欧州王者サラ・コンティ/ニッコロ・マチ(イタリア)は、国内選手権で女性が膝を痛めた影響で、地元開催のオリンピックを見据えて欠場。表彰台に2度上がった経験を持つレベッカ・ギラルディ/フィリッポ・アンブロジーニ(イタリア)は、6位で、現役最後の欧州選を締めくくった。
アイスダンス
結成1年に満たず、公式戦わずか6戦目のローランス・フルニエ=ボドリー/ギヨーム・シゼロン(フランス)が、カップルとして初めての国際タイトルを勝ち取った。ほぼ出場するたびにPBを更新してきた2人は、今大会で合計222.43点を記録し、アイスダンス界全体の今季最高得点さえ塗り替えた。
「ただただ誇らしい気持ちです。ローランスのことも、僕たち自身のことも、そしてチームのみんなのことも、本当に誇りに思っています。心にしっかりと刻み込んでおきたい、そんな特別な瞬間です」(シゼロン)
フルニエ=ボドリーにとって2年ぶり、シゼロンにとって4年ぶりの競技シーズンでもあった。特に細かな規定の多いリズムダンス(RD)は、開幕直後から試行錯誤を続けてきた。12月中旬にフランス国内選手権を制した後にも、改めてRD「ヴォーグ」を作り直し。プログラム最終2要素の順番を入れ替えた。締めにリフトを配置するとともに、タイプもローテーショナルリフトに変更し、より華やかなクライマックスを演出した。リフト単体のGOEは、変更前より約0.5点も伸びた。
一方、シーズンここまで悩まされてきたコレオシークエンスは、最後から2番目に移したが、スコア表に「!」がつき得点はやや伸び悩んだ。「五輪に向けて細かく見直す必要があります」と、さらなる改良を誓った。
まるで海の奥深くへ潜っていくようなフリーダンス(FD)「ホエール」は、さらに完成度を増した。派手な要素や分かりやすい物語性に頼らずとも、目を離せない独特の世界観が広がる。すべてが滑らかに流れ、プログラム中盤のカーブリフトにはジャッジ9人全員がGOE満点を与えた。またPCSでは「コンポジション」で3人、「プレゼンテーション」では5人が10点満点をつけた。
RD86.93点、FD135.50点、合計222.43点で、フルニエ=ボドリー/シゼロン組はヨーロッパアイスダンス界の頂点に立った。2018年まで前パートナーと欧州選に参戦し、その後カナダ組として四大陸で2度表彰台に立ったフルニエ=ボドリーにとっては、人生初のビッグタイトル。もちろん世界選5勝、欧州選5連覇、五輪金メダルとすべてを手にしてきたシゼロンにとっても、新たなパートナーとともに得た最初の王位となった。
「ここまで歩んできた道のりを思うと、今日この場に立ち、この瞬間を経験できたことには、かけがえのない意味があります。素晴らしい気分ですし、胸がいっぱいです」(フルニエ)
昨季までユーロ3連覇を果たしてきたシャルレーヌ・ギニャール/マルコ・ファッブリ(イタリア)は、納得のシーズンベストを2本揃えた。キャリア14度目にして、最後の欧州選手権を、感涙の銀メダルで締めくくった。
世界選でも2度表彰台に立った実力者だが、シーズン序盤から得点の伸び悩みに苦しんできた。4年ぶりにGPファイナル進出さえ逃した。その結果を受け、RDはリフトを作り直すことで、GOEが目に見える形で改善。また本来得意とするステップ系も、丁寧かつ高速にこなし、今季なかなか得られなかったレベルを取り戻した。
FD直前の5分間練習では、ファッブリの右靴のフックが外れるアクシデントに見舞われた。靴革に穴を開けて紐を通す応急処置を施し、慌ただしく本番へ。不安で「体がすごく硬直してしまった」と振り返るが、幸いにも、音楽が流れ始めると同時に、自然に演技へ入り込めたという。誠実に積み重ねてきたキャリアの集大成として選んだFD「ディアモンティ」は、長い時間をともに過ごしてきた2人だからこそ表現できる深みと、凛とした気品にあふれた。
「氷に乗ってからは、ただ音楽に身を委ね、心を込めて滑り、その瞬間を楽しもうとしました。今夜の演技をとても誇りに思っていますし、この銀メダルを、まるで金メダルのように感じています」(ギニャール)
ライラ・フィアー/ルイス・ギブソン(イギリス)は、母国の大観衆を大いに盛り上げた。ユニオンジャック柄のドレスでスパイス・ガールズを舞い踊ったRDは、PBに迫る高得点を記録。パターンダンスタイプステップシークエンスでは、全参加組唯一のレベル4を獲得し、技術点だけなら1位の高得点を得た。
スコットランド民謡でアリーナを満たしたFDでは、残念ながらツイズルでミスが出た。それでも歓声と手拍子に背中を押され、素早く気持ちを立て直し、「蛍の光」とともに笑顔でフィニッシュ。RD2位から総合では1つ順位を落としたが、4年連続の表彰台、2年連続の銅メダルは守り抜いた。
「理想的な出来ではなかったので、正直とても悔しいです。でも、あれだけ早く立て直して、次の要素に集中できたことは、本当に誇りに思っています。ミスをしたからといって、地元で滑る喜びや楽しさまで手放したくはなかったんです」(フィアー)
昨大会2位のエフゲニア・ロパレヴァ/ジョフレー・ブリソー(フランス)は、FD開始直後に音楽が停止するハプニングに負けず(前述のファッブリの靴フックが発見されたため)、シーズンベストを2本揃えて4位入賞。8月上旬に早々とシーズンインし、五輪予選会を経て初のGPファイナル進出も果たしたアリソン・リード/サウリウス・アンブルレヴィチウス(リトアニア)は、RDではリラックスした演技でPBを更新。しかしFDではミスや転倒があり、トータル5位で大会を終えている。
また開催地シェフィール生まれのオリヴィア・スマートと、ティム・ディエクとのスペイン組は、RD10位と出遅れたものの、FDでは5位の好演。改めて名作「デューン」の、プログラムとしての完成度の高さを印象づけた。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
あわせて読みたい
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
ジャンル一覧
人気ランキング(オンデマンド番組)
-
【限定】第10回 全日本ジュニアスキー技術選手権大会 競技2日目
3月22日 午前8:55〜
-
【アフタートーク】いよいよ開幕!ISU世界フィギュアスケート選手権2026“まるごと”ヨミ解きスペシャル
3月22日 午後9:15〜
-
【限定】スキージャンプ FIS ワールドカップ 2025/26 男子 フライングヒル ビケルスン/ノルウェー(03/21)
3月21日 深夜12:55〜
-
【限定】第10回 全日本ジュニアスキー技術選手権大会 競技1日目
3月21日 午前9:25〜
-
いよいよ開幕!ISU世界フィギュアスケート選手権2026“まるごと”ヨミ解きスペシャル
3月22日 午後8:00〜
-
【限定】第63回 全日本スキー技術選手権大会 スーパーファイナル
3月8日 午前8:55〜
-
【先行】プレーバック!フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋 【三原舞依&坂本花織 前編】(2017年9月)
3月11日 午後12:00〜
-
スキージャンプ FIS ワールドカップ 2025/26 男子 ラージヒル オスロ/ノルウェー(03/15)
3月15日 午後11:55〜
J SPORTSで
フィギュアスケートを応援しよう!
