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フィギュアスケート コラム 2026年3月19日

エガーゼが去年のリベンジを果たし悲願の初制覇!女子はケガを越えたペトロキナが2連覇を達成 | ISUヨーロッパフィギュアスケート選手権2026 男女シングル レビュー

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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前回大会のリベンジを果たしたエガーゼ

ミラノ五輪を約1ヶ月後に控え、2026年ヨーロッパ選手権はが持つ意味合いは、例年以上に大きかった。

男子シングルでは、ショートプログラム(SP)、フリースケーティング(FS)ともに首位のニカ・エガーゼ(ジョージア)が優勝。女子も同じく、2つのプログラムを1位で揃えたニーナ・ペトロキナ(エストニア)が頂点に立った。

一方で、男女ともに、2位以下は2日間で激しく順位が入れ替わるという大混戦。ミラノ五輪に向けた最終代表争い、長い長い五輪シーズン、怪我との戦いと復活――さまざまな要素が絡み合い、緊張感と重圧の中で、多くの熱演が繰り広げられた。

男子

ほぼノーミスで2本のプログラムを演じ上げたニカ・エガーゼは、天に向かって十字を切った。自身にとって初の欧州選制覇であり、母国ジョージアにとっても男子シングル初のユーロタイトル。またペアでもジョージア組が史上初の優勝を飾り、すでに2023年大会で初優勝の女子、今大会で史上最高位6位入賞を果たしたアイスダンスとともに、国として着実な進化を続けている。

「神様に感謝しました。すべては天から与えられたものだと思っています。本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。今回は、他の誰ではなく、自分自身と戦おうと思っていました。ただ、自分のやるべきことを、ここでやり遂げたかったんです」(エガーゼ)

ジョージアのグループが手がけた楽曲「ワルツ」に乗って、ショートプログラム(SP)を滑り終えた直後には、感激の涙が溢れてきた。4回転2本を含む3つのジャンプ要素は、すべて危なげなく成功させた。スピンやステップシークエンスでは思うようにレベルが取れなかったものの、「ポジティブな気持ち」で滑り続けた。得点は91.28点。全参加者の中で唯一、90点台に乗せた。

1年前のユーロではSP2位で折り返しながら、FSで8位と大きく順位を落とした。「あれは僕にとって必要な経験だった」と語るエガーゼは、極めて冷静に、フリースケーティング(FS)へと臨んだ。

プログラムは「人生2回目」という4回転ルッツ着氷で、勢いに乗る。その後さらに4回転を3本付け加えた。4回転4本をすべて成功させたのは初めてで、しかも得点が1.1倍となる後半に4回転を決めたのも、やはり初めて。最終盤のシークエンスではダイナミックにリンクを駆け巡り、近年磨いてきた表現力の成長も示した。

FSではパーソナルベスト(PB)となる181.72点を記録。総合でも自己最高を6.1点更新するPB273.00点をマークした。今季GPシリーズで初表彰台を経験した23歳エガーゼが、ISUチャンピオンシップで初めて表彰台――しかも最上段に立った。

「今日は本当に良い演技ができました。ベストを尽くそうと努力してきましたし、この2ヶ月、FSにもう1つ4回転を加えるためハードに練習を積んできました。ついに努力が実を結びました」(エガーゼ)

SPの最終滑走グループは、まるでイタリア選手権のようだった。イタリアは全参加国で唯一3枠を有し、しかも3人全員が欧州表彰台の経験者。また今季のGPファイナル4位でイタリア王者のダニエル・グラスルの五輪行きはほぼ内定していたが、残る1枠は、ニコライ・メモラとマッテオ・リッツォの今大会スコアで決する状況だった。

ただメモラにとって、今大会の目標はむしろ「自分の演技を取り戻すこと」だった。11月下旬に骨盤を痛めてナショナルを欠場し、いまだ鎮痛剤を手放せなかったという。痛みで4回転が飛べないのであれば、とプログラムを2本ともジュニア時代のものに戻し、より心を込めて滑ることに集中。2ヶ月ぶりの実戦を総合11位でまとめ、笑顔で大会を後にしている。

グラスルは回転不足を複数指摘されたものの、SP5位と好順位につけた。ところがFSは「キャリア最悪の出来」だった。最初から最後まで歯車が噛み合わなかった。転倒が3度あった。7つのジャンプ要素すべてで、出来栄え点(GOE)はマイナスの評価を下された。国際大会ではジュニア時代以来となる130点台に留まり、総合でも過去最低の13位に沈んだ。

2024年1月の股関節手術を乗り越えてきた27歳リッツォは、SPでは3年ぶりに88点台を回復。表彰台までわずか0.28点差の4位につけた。

初出場から10年目のユーロで、リッツォはFSでも底力を見せた。後半のコンビネーションでダウングレードが取られた以外は、すべてのジャンプを申し分なく決め、情熱的かつ繊細なステップやコレオシークエンスで高評価を獲得。精緻なスケーティングと、リンクのフェンスを大胆に使った振り付けで、演技構成点(PCS)は3つの項目すべてで1位に。

トータルは2年ぶりに国際大会250点台に到達し、リッツォが銀メダルをつかみとった。「人生最後かもしれない」と語っていた欧州選手権で、人生4度目の表彰台乗りを果たし、正々堂々と自身3度目の五輪代表入りを決めた。さらにはグラスル不調で懸念されたイタリアの「次回大会3枠」さえ、確保した。

「今日は滑っていて本当に最高でした。ステップの一つひとつを楽しめました。自分になにができるのか、そして自分がどれだけの価値のある選手なのかを、みなさんに示すことができたと思います」(リッツォ)

表彰台の3番目の段には、ゲオルギー・レシュテンコ(チェコ)が飛び乗った。SPは第1グループでの滑走ながら、4回転を2本決め8位と好スタート。FSではさらに4回転を1本増やし、大逆転で銅メダルをつかんだ。

欧州選には過去3度参戦し、SP落ちが2度というレシュテンコにとっては、初めのISU選手権メダル。チェコ勢としては、キス&クライでコーチとして隣りに座っていたミハル・ブレジナの2023年銅メダル以来、実に13年ぶりの快挙だ。もちろん、この3月にチェコ・プラハで開催されるワールドでは、4度目の正直となる初のFS進出が期待される。

「言葉になりません。結果が出た瞬間、すべてが震えるような感覚でした。正直、順位のことはまったく考えていませんでした。ただ自分のやるべきことをやろうと思っていただけです。どういうわけか、すべてがうまくいきました」(レシュテンコ)

エストニアのセレフコ兄弟も、五輪1枠を巡り、氷上で火花を散らした。SPでは兄アレクサンドルが2位、弟ミハイルが3位と揃ってスモールメダルを獲得。しかも0.48点差の接戦だった。

異なる雰囲気をまといながら、いずれもシャープな魅力を放つ兄弟は、FSもまた1.73点差とわずかの差だった。ただ両者ともにジャンプに苦しんだ。転倒もあった。兄は10位、弟は11位でFSを終え、トータルではそれぞれ5位と6位に後退。2年前のユーロ銀メダリストのアレクサンドルが、弟よりも順位を1つ上回って、自身2度目の五輪行きを射止めた。

ディフェンディングチャンピオンのルーカス・ブリッチギーは、僅差で表彰台を逃した。FSでの転倒が響いたほか、SPのスピンミスや、FSのコンビネーションがダブル×2になるなど、細かいミスも痛かった。ただPCSはSP1位、FS2位と、エンターテイナーとしての評価は揺るがない。

また昨季世界ジュニア3位のアダム・ハガラ(スロバキア)は、5度目のユーロで初のトップ10入り。FSだけなら4位と躍進を見せた。

本来の実力さえ発揮すればメダル本命のはずのケヴィン・エイモズ(フランス)は、今回もユーロとの相性の悪さに泣いた。転倒が相次ぎ、人生3度目のSP落ち。過去優勝2回のアダム・シャオ・ヒム・ファ(フランス)が五輪準備のため欠場した影響もあり、次回大会は5年ぶりに、フランス男子は1枠のみとなる。

女子

「一発屋ではないということを証明したい」。1年前に祖国で初優勝を果たしたニーナ・ペトロキナ(エストニア)は、シェフィールドの観衆の前でも、毅然とした気迫あふれる演技を披露した。2つのパーソナルベストを並べ、2位以下に約25点もの差をつけて、圧巻のユーロ2連覇を成し遂げた。

「初優勝の時は、ある意味ショックでした。今回は優勝するため、そして『自分にはもう一度できる』と証明するために挑みました。エストニアでは『2度目の優勝はありえない』と言われていたので、それが可能だと示したかったのです」(ペトロキナ)

ペトロキナはまさに完璧だった。唯一、SP後半の3回転フリップに、「!(不明確なエッジ)」マークがついただけ。2本のプログラムともあらゆるジャンプを予定通りにこなし、すべてにGOE加点がついた。ステップやスピンは2日間ともオールレベル4で、FSではPCS3項目全てで8点台後半の評価を獲得した。

しかもSP・FSともにベースバリュー、技術点、演技構成点、トータルセグメントスコアのすべてでPBを更新。SPでは「今季の目標だった」という初の70点超え(70.61点)を達成し、FSでは145.53点で、PBを一気に5点半以上も塗り替えた。トータル216.14点も、もちろん自己最高だ。

この2連覇までの道のりは、決して簡単ではなかった。昨季後半から右アキレス腱の炎症に悩まされ、10月上旬に手術。GPシリーズの欠場を余儀なくされた。11月末に復帰したたものの、国内選の時点では、いまだ3回転のルッツやフリップは飛べない状態だった。そこから1ヶ月、かつてないほどハードな練習を積み重ねてきた努力が、本番で見事に花開いた。

「プログラムを滑り始めた時、ものすごい歓声に包まれました。まるで1年前のタリンと同じようなエネルギーを受け取りました。だから自分にこう言い聞かせたんです。『観客を感じ、この瞬間を感じよう』って。今日はそのすべてを感じ取ることができました」(ペトロキナ)

2年前のユーロ女王ルナ・ヘンドリックス(ベルギー)にとって、今回の銀メダルは、完全復活を意味するものだった。

昨季は足首の靭帯損傷でシーズンを棒に振り、昨2月に手術。「以前のレベルに再び戻れる」という希望と、「スケートが大好き」という思いに支えられながら、長いリハビリに耐えてきた。

SPは必ずしも納得のいく出来ではなかった。伸びやかで滑らかな滑りは、PCS1位の高評価を得たが、肝心のジャンプで転倒があった。表彰台圏内にはわずか1.5点届かず、SP5位で折り返す。

一方のFSでは、後半のジャンプコンビネーションで着氷が乱れながらも、意地でも転倒しないという精神力の強さを発揮した。大きな肢体を柔らかく使ったゴージャスなコレオシークエンスは、今大会の男女通して最高のGOE加点を獲得。FS3位の得点で、出場した4大会連続となるユーロ表彰台乗りを成功させた。

「今日はとても緊張していました。でも、コーチが私の手を取って、目を見て、こう言ってくれたんです。『長いケガを乗り越え、ここまで来たことを、誇りに思う。氷に出て、楽しんで、全力を尽くしてきなさい』と」(ヘンドリックス)

ニーナ・ピンザローネ(ベルギー)はSP2位から最終的に4位へ後退し、3年連続のメダルは逃したものの、やはり復活を確信させたひとり。5月に足指を骨折し、GPシリーズを全休。「氷に乗れない時間が長かったからこそ、大きな大会で全力を尽くせたことがうれしい」と語った。

また4年前に表彰台に立ったキミー・レポンドも、昨季から苦しんできた足の故障のため、12月中旬にようやく本格練習を再開したばかり。10ヶ月ぶりの試合で総合7位に食い込み、笑顔で大会を終えた。

2023年にジョージアに史上初の欧州選タイトルをもたらしたアナスタシヤ・グバノワは、SPでジャンプに苦しみ、総合では5位に甘んじた。しかしFSでは持ち前の優美な表現力を披露するとともに、高い集中力ですべてのジャンプを着氷。FS2位のスモールメダルを手にし、選手としての品格を示した。

両プログラムとも4位のララ・ナキ・グットマンは、大会トータルで銅メダルに輝いた。FSでは冒頭で3回転ルッツでステップアウトし、コンビネーションにできないミスがあった。しかし「このチャンスを絶対につかまなきゃ」と気持ちを立て直し、後半に3Lz+1Eu+3Sを見事に組み込んだ。独創的なプログラムFS「ジョーズ」は観客を大いに魅了し、PCSの「構成」ではひときわ高い評価も得た。

「SPもFSも、演技自体には満足はしていません。自分のベストではありませんでした。ただメダルを獲得して思ったのは、最後まで戦い抜いたからこそ、このメダルにたどり着けたということ。それが一番うれしい点です」(グットマン)

グットマンは自身初の欧州表彰台に立つとともに、カロリーナ・コストナー以来7大会ぶりの女子メダルをイタリアに持ち帰った。またアンナ・ペゼッタは残念ながらSP3位から総合8位へ順位を落としたものの、6位サリナ・ヨースと合わせ、トップ8人にイタリア女子が3人入った。しかもイタリアは男子、アイスダンスでもメダルを獲得し、ミラノ五輪へ向けてポジティブな結果を残した。

文:J SPORTS編集部

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