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第75回全国高等学校スケート選手権大会(インターハイ)、フィギュアスケート競技が宇都宮市スケートセンター(栃木県宇都宮市)にて1月23日-26日の日程で開催された。宇都宮では久し振りのインターハイ開催だ。前回、このリンクで開催された2017年には、女子では坂本花織、三原舞依が出場していた。三原舞依が逆転優勝を果たしたことが今も懐かしく思い出される。今回、改装工事が完了したリンクでの大会開催となったが、リンク内が前回よりも遥かに寒く、選手達は対応に苦労したようだ。
優勝 島田麻央
優勝 島田麻央
ジュニアカテゴリーの大会で連勝記録を続ける島田麻央。ここでも貫禄の優勝だった。もっとも完璧な演技というわけではなく、ショート、フリー共に取材の場では反省の言葉が聞かれた。ショートプログラムではダブルアクセルでオーバーターンという、島田選手としては極めて珍しいミス。69.94と、スコアが70点を超えられなかった原因となった。
「すごく緊張していて、ダブルアクセルが練習よりも回ってしまって、それでオーバーターンになってしまいました」
今年の宇都宮スケートセンターはとても寒いリンクだった。多くの選手が苦労しており、島田選手にも影響があるのではと心配したのだが、「寒いのは苦手なんですが、演技が始まると何とか寒さを感じずに行けました」と、それほど影響はなかったという。ここまで、ジュニアグランプリファイナル、全日本選手権と大きな大会が続いてきた中、高校生のみの大会という、普段とは違う趣の大会に出場したことについて聞いてみた。
「大きい試合となると、1週間ほど前からずっと緊張感を持ちながら本番に向かうんですけど、今回は学校の代表として、いつもと違うメンバーと一緒に出るのですごく楽しみだったんです。ただ演技直前にいきなり緊張してしまいました」
6分間練習でのジャンプの感覚があまり良くなかったのだという。ルッツとループに違和感があり、そこに注力した結果、予期していなかったダブルアクセルのミスにつながったようだ。この大会、寒さ以外に多くの選手が苦労した点として氷上での練習機会の少なさが挙げられる。大会期間中、朝の公式練習以外に氷上練習がなかったのだ。近隣のスケートリンクはインターハイの他の種目で使っているために使用できず、ほとんどの選手は陸上で体を動かす程度の調整しかできなかった。3日間の女子予選のうち、島田麻央は初日に登場した。3日後の決勝まで極めて少ない練習量で過ごさなければならなかったのだ。
「朝の練習20分だけで、練習不足の状態で本番に行くので、そこがすごく不安ではあるんですけど、なんとか陸上でも体を動かしていい状態でいけるようにはしたいなと思ってます」
「朝の練習20分だけで、練習不足の状態で本番に行くので、そこがすごく不安ではあるんですけど、なんとか陸上でも体を動かしていい状態でいけるようにはしたいなと思ってます」
もっとも普段来られない宇都宮に来て、自由時間があることを前向きに捉えてもいた。
「宇都宮に来れたので餃子を食べたりとか、あとは日光東照宮に観光に行ったりとか、そういう風に充実した時間を過ごせたらいいなと思ってます」
その後、実際に日光東照宮を観光し、餃子も食べ、そして迎えたフリー演技、冒頭のトリプルアクセルを成功させ、4回転トウループはステップアウトとなったが、ここ最近では最も成功に近いジャンプを跳ぶことができた。
「(4回転は)少しフェンスに近く飛んでしまったので、もう少し手前で跳べれば耐えられたかなっていうようなジャンプだったので、感触的には良かったです」
この後、国スポでもう一度4回転をテストし、万全の状態で3月の世界ジュニア選手権に向かう構想だ。トリプルアクセルは成功が続いており、大技に関しては視界良好と言える。ただこの日は、演技後半の両手を上げてのルッツでまさかの転倒。ここは本人もとても悔しがっていた。今回、ショートプログラムでのダブルアクセルのオーバーターンなど、普段ならばしないミスが出てしまった印象だ。この点について聞いてみた。
「練習でもなかなかしない2つのミスでした。やっぱりミスしない分、練習の数も他のジャンプと比べると少なかったので、そこもしっかり練習していかなきゃいけないなっていう、いい経験にもなったなとは思います」
普段しないミスが出たことを今後の練習に生かすと話してくれた。世界ジュニアの前にこういった気づきがあったことは大きな収穫だろう。スコア、内容共に、本人にとって満足な結果ではなかったろうが、それでもここでは役者の違いを見せての優勝。来る世界ジュニア選手権、長かったジュニア時代の集大成として、前人未到の4連覇を達成し、満を持して来季のシニア昇格を迎えてほしい。そして本人も意欲を見せていた、来季のインターハイ3連覇も是非目指してほしいものだ。
2位 岡万佑子
2位 岡万佑子
今季、驚異的な躍進を遂げた岡万佑子。昨シーズンまでは国際大会未経験だったが、今季、ジュニアグランプリ初出場にしていきなり優勝。ファイナルまで駒を進め、全日本選手権ではジュニアからの推薦出場ながらショート、フリー共にトリプルアクセルを成功させ6位入賞。瞬く間に世界に名を知られる選手となった。初出場となった今回のインターハイでも、その魅力を存分に見せてくれた。ショートプログラムではループでステップアウト気味の着氷。想定していたほどには得点を伸ばすことができなかったが、独創的な振付と相まって観客を魅了する演技だった。
「全てのジャンプがちょっと危ないなっていうジャンプになってしまったのと、ループはそれを耐え切ることができず、ステップアウトみたいになってしまったところがすごい悔しいんですけど、それ以外は落ち着いてできたかなと思います」
ループジャンプについては、緊張や調整不足などではなく、練習でたまに軸が外れることがあるそうで、それが本番で出てしまった、ということのようだ。そして迎えたフリー、トリプルアクセルを成功させて全体をまとめることはできたが、細かなミスをしたことに不満が残った。
「アクセルを降りれたことはすごい嬉しいんですけど、2本目のルッツで回転不足を取られてしまいました。そこは悔しい部分でもあるんですけど、ひとまずまとめることができて良かったです。自分的には3フリップ+2アクセル+2アクセルとかも危なかったなっていうのはあるんですけど、なるべくミスのないように最後までつなげることができました」
完璧ではなかったとはいえ、トリプルアクセルを成功させ、全体的には素晴らしい演技だった。もっとも初出場となる世界ジュニア選手権では、個々のエレメンツで加点をもらえないことには上位入賞は覚束ない。
「ショートでも危ない部分だったりミスが出てしまったし、フリーではアクセルは決まっても、他のジャンプでとか回転不足があると、またそこから引かれたりしていくので、きっちり降りて、プラスをもらえるジャンプを毎回の練習からしっかり行って、毎回同じジャンプが飛べるように、もっともっと練習していく必要があるかなと思います」
取材の中で、トリプルアクセルへのこだわりについて語る場面が見られた。それにはチームメイトである島田麻央の姿勢が影響しているようだ。
「麻央ちゃんが大会でほぼほぼ毎回トリプルアクセルを着氷して、4回転にも挑戦したり着氷したりっていうのが自分にも刺激になっています。私は昨年の最後ぐらいにやっとトリプルアクセルが曲で決まるようになってきたので、そこからさらにもっともっと確率を上げれるようにして、麻央ちゃんに少しでも近づけるように頑張るのと、トリプルアクセル以外のジャンプは全て綺麗に加点のもらえるジャンプが跳べるようにしたいです」
岡万佑子は表現面でも特筆すべき選手だ。柔軟性に優れ、身体能力も高く、独創的な表現を見せてくれる。ところがそのための特別なことはしていないのだという。以前、柔軟性を上げるための練習は特にしていない、と聞いて驚いたことがあったのだが、現在もそれは変わらないとのこと。木下アカデミーの中で行われているバレエのレッスンは受講しているものの、それ以外は特に何も習っていないと話してくれた。天性の素質を、コーチ、振付師が理解し、それを生かす方向で指導してくれているのだ。まだ原石の段階でこれだけのパフォーマンス。将来どこまで伸びるのか楽しみでならない。
J SPORTS 放送情報
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第75回全国高等学校スケート競技・アイスホッケー競技選手権大会 フィギュアスケート競技 女子 決勝 フリースケーティング
放送日時:2026年2月14日(土)午後 5:30 ~ J SPORTS 4
3位 和田薫子
3位 和田薫子
昨シーズン、ジュニアグランプリファイナル、世界ジュニア選手権出場を果たすなど、飛躍を遂げた和田薫子だが、今季はジャンプの回転不足判定に苦しむ場面が多かった。元々回転不足の傾向があったのだが、昨シーズンはそれを克服したかに見えた。ところが昨シーズンの終わり頃から再び回転不足が表れてきた、との印象だ。今回も、ショートプログラムではコンビネーションジャンプの一つ目、3ルッツが回転不足判定となり、3ループにはqマーク(1/4回転の不足)が付いた。
「自分的には結構いいものはできたかなっていう感覚があったので、演技自体は納得してるんですけど、ずっと課題にしてる回転不足っていうのはなかなか抜けてなくて、そこで引かれてしまってる部分があるなっていうのはまた改めて実感しました」
もっとも以前の、明らかな回転不足だった頃に比べるとかなり改善してきているように見受けられる。
「最近、調子が良かったり悪かったりで、どっちに転ぶか分からないっていう感じでやってて、でもその中でも最近の1番いいものっていうのが今回出たかなっていうのはありました。課題は克服していかないといけないなって思うんですけど、大きなミスなくできたことは良かったんじゃないかなって思います」
和田薫子は1年生。今回が初めてのインターハイ出場だ。中京大中京高校CAN(通信)の代表として、島田麻央とのチームで出場した。
「初めてのインターハイは楽しもうって思って滑ってて、今回のショートは緊張もしなくて、すごい自分らしく滑れた感じがあって、改めてこの舞台に立って良かったなって思います。麻央ちゃんと一緒に出るから自分も頑張んなきゃいけないなっていう気持ちはすごいありますし、そっちの意味でのプレッシャーっていうのは少しあるんですけど、でも麻央ちゃんがすごくショート良かったので、刺激をもらって、今日絶対自分も頑張ろうっていう風に思えたので、そういうところがこの団体で出る楽しさっていうものなのかなって思いました」
中京大中京高校に進学したことで、中京の先輩方と一緒に練習する機会が増えたこともプラスに働いているようで、課題の克服に向けて成長を実感できている様子だった。迎えたフリー、120.30とかなり良いスコアを出すことができた。課題のジャンプは、後半のルッツで回転不足を取られたものの、他はクリーンな判定をもらうことができた。
「自分的にはフリーも納得のいくものができましたし、点数もそんなに出ると思ってなかったのですごく良かったです」
回転不足の改善を如実に感じられる結果となった。ジャンプの高さも以前より出てきたように感じられる。
「9月、10月頃、少し練習できない時があって、うまくいってなかった部分も多かったんですけど、ここ1週間ぐらい調子が良くて、その調子でここでも滑れたので、結構自分の感覚的にはジャンプは良くなってきてたのかなって思います。今回、久しぶりにすごい納得のいくものができたので、国スポにも繋げて、来シーズンまたもっともっといいものができるようにしていけたらいいなって思います」
来季の目標については、
「まだ特にそういうのは考えてないんですけど、今シーズン反省したことは絶対同じことを繰り返さないようにしていきたいなって思いますし、たくさん学んだこともあったので、しっかり生かしていけたらいいなって思います」
来季はジュニアグランプリでも良い結果を残し、昨シーズンのようにファイナルまで進んでもらいたいものだ。彼女の一番の魅力はスケーティングの素晴らしさだと思うが、ジャンプの回転不足があるとそういった長所が隠れてしまい、なかなか評価されないことがとても残念だった。来季こそは美しいスケーティングで再び世界を魅了してほしい。
4位 高木謡
4位 高木謡
今季、浮き沈みの激しかった高木謡だが、インターハイでは十分に素晴らしい演技をすることができた。ショートプログラムでは、3ルッツ+3トウを予定していたところ、セカンドをダブルに落とす場面もあったが、大きなミスはなく演技をまとめることができた。
「6分間の練習では行けるかなと思ったんですけど、やっぱり最初のルッツがちょっと詰まってしまったので3+2にしました。ちょっと悔しいです」
スピンは3つともレベル4を揃えることができたが、実はここに向かう調整過程は良くなかったのだという。
「2日前までちょっと体調を崩して寝込んでしまっていて、思うような練習ができなかったんですけど、その中でも気持ちのいい滑りができたのかなって思います」
高木謡の所属する高校、英明フロンティアは現在の校名になって初めてのインターハイだ。女子は3名の出場選手を揃え、学校別対抗の優勝を狙える立場で試合に臨むこととなった。
「3人で力を合わせて表彰台乗れればと思ってます」
今回のインターハイと同時期に開催された四大陸選手権では、チームメイトの青木祐奈、中井亜美が大活躍だったのだが、その点について聞かれると、
「もうほんとに毎日一緒に練習していてすごく幸せですし、こんなに上手な選手と一緒に毎日滑れることがありがたいと思って、刺激にもなりますし、もっと二人みたいになりたいなって強く思います。アミーゴ(中井亜美)はMFアカデミーができたときからずっと一緒に練習してきたので、彼女がオリンピックに行くことがすごく嬉しいです」
そして迎えたフリー、高木選手はシーズンベストを更新する見事な演技で、最後のインターハイを締めくくって見せた。彼女の過去の演技の中でも、かなり上位に位置する出来栄えだった。
「すごい楽しく滑れたという一言で、お客様もたくさん来ていらっしゃったし、少し緊張したんですけど、あまり気負わずに滑れたかなって思ってます」
ショートの後には再び寝込んでしまったとのこと。体力面で不安を抱えながら挑んだフリーだった。勝負を分けたのは後半のジャンプ。明らかに疲れているのが見て取れる状態ながら、気合で頑張って降りていた。ここを耐え切ったことが良い結果へとつながった。
「久しぶりのフリーでドキドキしてたし、緊張もしてて、体力持つかなってちょっと不安もあったんですけど、そこはもういっぱい深呼吸して、自信を持って後半のルッツから挑めました」
このフリープログラムは、不本意な演技をしてしまったことも多々あったのだが、シーズン終盤に素晴らしい演技ができたことで良いイメージを持って来季に向かえそうだ。学校別対抗では優勝を飾り、最後のインターハイを最高の形で終えることができた。来季は、まだ決定はしていないようだが、国内大会はシニア、国際大会はジュニアとして臨む構想があるようだ。何よりも今季やり残してしまったジュニアグランプリでの活躍、そして世界ジュニアへの出場という目標がある。進路については未定だそうで、留学の可能性もあるのだとか。英語の勉強も頑張りたいと話してくれた。来季はスケートのみならず、よりパワーアップした姿を是非見せてもらいたいものだ。
5位 山田恵
5位 山田恵
山田恵も今季、大きく上達した選手だ。以前から高難度の3+3を跳ぶなど高いレベルの演技を披露していたが、GOE(技の出来栄え点)、PCS(演技構成点)での評価が思うように伸びず、なかなか上位に食い込めずにいた。それが今季、大きく改善され、ジュニアのトップクラスと互角に戦えるポジションにまで来たのだ。今回、ショートプログラムでは60.45という高得点を記録した。
「6分間ではもうちょっと寒すぎて、どうなることかと思ったんですけど、直前で手袋をつけるっていう選択して良かったです」
リンクの寒さへの対応がうまくいったようで、島田麻央、岡万佑子という実力者に続く3位スタートとなった。今季の充実ぶりについて聞いてみると、
「シーズン最初の方はサマーカップとかではあんまり良くなかったんですが、フリーを“アメリ”に変えて、ジャンプの調整も少しずつ安定してきたかなと思います。点数は、速報値を見て58ぐらいだと予想していたので、60点を超えて驚きました」
今季、夢の舞台だったという全日本選手権に出場することができた。来年も出たい、という思いが強くなり、それがモチベーションにつながっているという。そして来季、もう一つの目標を叶えるつもりでいる。ジュニアグランプリへの出場だ。
「まず来季、ジュニアグランプリに出場することと、できれば2戦もらってファイナルも行きたいです」
近畿ブロックでの取材の折にも話していたのだが、今季、木下アカデミーでともに練習する岡万佑子、金沢純禾がジュニアグランプリで大活躍をしたことは大いに刺激になったそうで、来季は自分も、との思いを強く抱くようになった。身長が高く、とてもスタイルの良い、氷上で映える選手だ。国際大会の舞台でも観客を魅了してくれることだろう。フリーでは、冒頭の3ルッツ+3トウで転倒。ルッツの着氷が良くなかったところに無理をして3Tを付けたことが裏目に出た形だ。
「こっちに来て練習で1度もミスしたことがなかったので、すごい焦りというか、悔しさも同時に来て、でも切り替えて頑張ろうと思いました」
コンビネーションをやめて後半でリカバー、ということも頭をよぎったそうだが、後半だとよりきつくなるので無理を押してセカンドジャンプを付けたとのこと。このミスでリズムが狂い、一つ目のスピンの辺りまでは影響が残ってしまったが、そこからは見事に立て直して見せた。
「(サルコウの)回転不足で悔しい部分もあるんですけど、まあまあ、60パーぐらいは立て直せたかなと思います」
今季は前述のとおり評価が高まったシーズンとなったが、自身ではどう捉えているのだろうか。
「まだまだ、もうちょっとですかね。全日本ジュニアは6位だったんですけど、来年は表彰台を目指しますし、全日本選手権も今年ショートは通ってもフリーが良くなかったので、来年はちゃんとノーミスできるように頑張ります」
そこに至る過程で、もちろんジュニアグランプリでの活躍も見せたいところだ。行きたい国などあるのか、聞いてみた。
「イタリアかフランスとか、ヨーロッパに行ってみたいです」
何か特別な思い入れがあるのかと想像したのだが、理由は食べ物だという。
「なんかパンとか食べ物が美味しそうだから」
そういう理由ももちろんありだろう。普通の高校生ではなかなかできない経験を、自身の努力で勝ち取る、素晴らしいことだと思う。国際舞台での活躍が今から楽しみだ。
J SPORTS オンデマンド番組情報
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第75回全国高等学校スケート競技・アイスホッケー競技選手権大会 フィギュアスケート競技 女子 決勝 フリースケーティング
配信日時 : 2026年2月14日(土)午後5:30 ~
6位 中尾歩
6位 中尾歩
全中の頃から毎年取材させてもらっている選手だ。昔からショートプログラムが苦手で、ショートで失敗してギリギリフリー進出、フリーで逆転して入賞、ということがとても多い。今年も残念ながら例年と同じ展開となってしまった。3ルッツ+3トウの予定が、ルッツで転倒してしまったのだ。6分間練習ではクリーンに跳べていただけに、もったいないミスだった。
「はい、分かんないです。やっぱり試合になると多分、緊張ですべての動作が早くなってしまって」
ルッツを跳ぶ前の動作がちょっと早くなってしまったのが原因だと分析していた。
「ここまで待ってから締めないと真っ直ぐになんないのに、まだ準備の時に跳んじゃったんで」
11月の全日本ジュニアでもフリーは素晴らしい演技だった。ショートを無難にこなせば上位に位置する実力を持つだけに、ここは大きなミスなく乗り切ってほしかった。
「なんでしょうね、ショートでの失敗がトラウマっていうか、思い出すっていうか。やっぱりショートで決めないと、この試合全体でいい結果とは言えないし、自分の満足もいかない。このショートが大好きだし、ショートの方がたくさん練習してきてるし、なんか思いも強いっていうか、ここでやり切りたいっていう思いがあるのに、その自分の気持ちにまだ勝てないのかな」
気持ちを切り替えて臨んだフリー。ここではすべてのジャンプを降り切る演技で大きく順位を上げ、6位入賞を果たした。堪えたジャンプ、回転不足判定はあったものの、ほぼノーミスの素晴らしい演技だった。ショートでの反省を生かしてジャンプに臨んだのだという。
「ルッツでは一呼吸置いてから跳ぶっていうのを意識して、前のめりにならないように気をつけました。3ルッツ+3トウを降りられて良かったです。そこで少しほっとしました」
中尾歩の演技は、本当にダイナミックで勢いがあり、観客を引き込む力を持っている。この日の演技も喝さいを浴びた。
「(大島)佑翼君とか応援に来てくれて、すごい声が聞こえました。上(スタンド)を見て頑張ろう、って力をもらいました」
ところで、中尾選手は都立高島高校に通っている。都立高校の勉強とフィギュアスケートを両立している選手は少ないのだが、この点について質問を受けると、
「(高校を選んだ)一番の理由は家から近いってことです。朝、起きれないんで。あとはやっぱり勉強もちゃんとしないとなっていう気持ちがあって、普通の高校生と同じように毎日6時間勉強して、たまには遊んで、学校でリフレッシュしながら、その分短い時間で集中して練習しています」
その練習時間が驚異的だ。平日は放課後に45分、土日で3時間程度だという。45分の練習で3ルッツ+3トウを跳べる選手など、他に聞いたことがない。さすがに少ない気もするが、学校生活との両立も含めて、これが彼女のペースなのだろう。演技のみならずスケートへの取り組み方も独特の個性を持つ選手だ。これからもその個性を大切に、笑顔いっぱいの演技を見せてもらいたい。
7位 永田桂都
7位 永田桂都
永田桂都が7位入賞を果たした。今季の好調ぶりをここでも発揮、大きな成長を見せてくれた。特にループが安定し、試合で降りられるようになったことが大きかった。
「自己ベスト、50点を目標にしてたのですごい嬉しいです」
ショートプログラムでは、3ループにqマークがついたものの、50.78と目標を上回ることができた。ループは決して得意なジャンプというわけではなく、直前まで不安があったというが、見事に成功させた。今季、調子を上げてきた理由として、練習環境の変化を挙げていた。
「高校3年生になって、学校も早く授業が終わり、早めに滑りに来たりできたので、練習時間が増えたのが良かったかなって思います」
この春から大学に進学する。環境も大きく変わることだろう。
「来年はシニアに上がるので、そこでもちゃんとフリーに進出したり、インカレとかにも出場できるように練習を頑張りたいと思います。全日本は、今のジャンプのレベルじゃ多分厳しいと思うので、ジャンプの種類をちゃんと増やして、スピン、ステップのレベルもあげられたらいいなって思ってます」
ループまでは習得できたが、ルッツ、フリップは練習でもまだできていないとのこと。この2種類の練習を今後の課題に挙げていた。私にとっては初めての取材機会だったので、スケートを始めた経緯から聞いてみた。
「姉がスケートをやっていたので、楽しそうだな、と思い私も始めました」
4歳の時に東神奈川のリンクでスケートを始め、ずっと佐藤操コーチに師事しているのだという。現在、チームメイトには西野太翔がいる。一緒に練習していて刺激を受けたり、ループジャンプを習得する際には技術的なアドバイスを彼からもらったのだという。迎えたフリーでは、最後のジャンプで転倒があったものの、ループを含む5本のトリプルジャンプを着氷。見事に入賞を果たした。
「思ったより点数が出ました。緊張せずに思いっきり挑めたのが良かったと思います」
今回、フリーは最終組に入ったが、他の5名は大舞台で活躍するすごいメンバーとなった。その中に混じっての6分間練習だった。
「朝の公式練習の時からもうすごいメンバーばっかりで、緊張もしたんですけど、このメンバーの中で滑れたのがすごく嬉しいなって思いました。皆、ジャンプを失敗してないし、ジャンプの種類もすごい多いので、自分も試合に強くなりたいし、ジャンプの種類ももっと増やしていきたいなって思いました」
今季、ショートプログラムの指定ジャンプがループだったこともあり、意欲的に取り組んで習得した結果、最後のインターハイで素晴らしい成績を収めることができた。来季は大学生になり、さらに上達した姿を見たいものだ。
8位 岩本愛子
8位 岩本愛子
昨年のインターハイで取材した折には「高校入学後、あまり練習が積めていない」との話を聞き心配していた選手だ。だが今年は切れの良い動きが戻り、目を引く演技を披露した。ショートプログラムではジャンプをミスしてしまい出遅れたが、フリーで挽回しての8位入賞だ。本人は、練習内容は特に変わっていないと話していたが、
「ショートが良くなかったので入賞は無理だと思っていて、緊張しないで気軽に行けたのかな、と思います」
と、フリーでの演技を振り返ってくれた。ジャンプはノーミス。回転不足もなく、GOEのマイナスもない美しいプロトコルだった。北海道を拠点とする選手だが、現在ペアの選手として活躍している長岡柚奈は、かつては一緒に練習していた先輩だ。
「一緒に練習してるときは、柚奈ちゃんに追いつけるようにって頑張ってきました。今、ペアですごい頑張ってるから、自分も頑張らないと、って思います」
来季の目標について聞いてみると、
「大きな目標とかはないんですけど、1試合1試合を大切にして、(フリーの)自己ベストが110点なんですけど、それを超えられるようにしたいです。そして全日本は出たいなって思います」
来季もおそらくジュニアだとのことで、その場合、全日本ジュニアで上位に入り、推薦出場を勝ち取る必要がある。そうなれば再び先輩の長岡柚奈と同じ大会で顔を合わせることになるだろう。その目標、是非とも叶えてほしい。
文:中村 康一 / Image Works
中村康一(Image Works)
フィギュアスケートを中心に活躍するスポーツフォトグラファー。日本全国の大会を飛び回り、選手の最高の瞬間を撮影するために、日夜シャッターを押し続ける。Image Works代表。
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