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フィギュア スケート コラム 2025年8月5日

木下カンセープレゼンツ サマーカップ2025フィギュアスケート競技会 女子シングルプレビュー

フィギュアスケートレポート by 中村康一(Image Works)
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今週末、8月9日より“木下カンセープレゼンツ サマーカップ 2025フィギュアスケート競技会”(サマーカップ)が開催される。ローカル大会ながらシーズン開幕を飾る夏の競技会としてすっかり定着したこの大会、毎年ハイレベルな戦いが繰り広げられるが、特に今年のメンバーは強豪ぞろいだ。女子は坂本花織、樋口新葉こそ参戦しないものの、それ以外のミラノ・コルティナ五輪を目指す主要メンバーはエントリーしている。その他にも魅力的な演技を見せてくれそうな選手が多数。とてもそのすべてを紹介することは難しいのだが、以下に見どころを紹介したい。

2年連続で世界選手権に駒を進め、昨シーズンは3位、またグランプリファイナルでも2位と表彰台に上った千葉百音は、今回のメンバーの中ではミラノ・コルティナ五輪の代表争い最有力だろう。全日本選手権で表彰台を逃したことがとても悔しかったようだが、その反省もあってか、今オフはとても充実した練習が積めているようだ。シーズン初戦であり、本来ならば調整の意味合いも強い大会だが、十分に仕上がった演技を見せてくれるのではないだろうか。

今季、台風の目になりそうなのが河辺愛菜。既にみなとアクルス杯で今季初戦を戦っているが、鍵山正和コーチに師事することになった効果が現れているように感じる。以前からの持ち味である質の高いスケーティングに加え、所作がとても力強くしっかりした印象で、ジャンプの安定感も増していきそうだ。プログラムは特にショートが楽しい。出場を果たした北京五輪から4年、今回もオリンピックシーズンに合わせて調子を上げてきた。

昨シーズンはショートプログラムでミスが目立ってしまった松生理乃。今季は好評だった昨年のフリーをショートにリメイクした。このことでショートの安定感が増すことを期待したい。スケーティングは相変わらず滑らかで美しく、見ていて惚れ惚れする演技を披露してくれる。あと一歩の勝負強さが身に着けば代表争いにも加わってくることだろう。

吉田陽菜もオリンピックの代表有力候補の一人。今回のサマーカップで楽しみなのが、初お披露目となるショートプログラム、“キル・ビル”。素敵なプログラムに仕上がっているのではないかと期待感でいっぱいだ。状態は変わらず良さそうで、フリーは手慣れた過去のプログラム、鶴を演じたものを使用するとのこと。ISUの最優秀新人賞を受賞したシーズンのプログラムであり、国際ジャッジからの評価も高いものだ。トリプルアクセルが武器ではあるが、果たしてどんな構成で臨むのか、この点にも注目だ。

昨シーズンの住吉りをんは、冬季ユニバーシティで優勝するなど国際大会で活躍を見せた。ただ全日本選手権ではなかなか結果を残せず、そのために世界選手権出場を逃しているのだが、地力ではミラノ・コルティナ五輪の代表争いに十分絡んでくるはずの選手だ。4回転トウループへのこだわりは強いが、この大技がなくても十分に高得点を稼ぐことができる選手でもある。今季はシーズン序盤からローカル大会で意欲的に実戦を重ねている。勝負の年、どんな構成、戦略で臨むのかに期待したい。

今季はプログラム用音源の著作権問題があり、特にディズニー系がとても使いづらくなった。そのためなのか、渡辺倫果はショートプログラムの曲をシーズン直前に変更することを決断した。ただ今季に採用した“ロクサーヌ”。かつて滑った曲だが、とても彼女に合っているものなので、この変更は悪くないのではないだろうか。この時期にしては十分に仕上がっている様子で、サマーカップでもトリプルアクセルを入れた高難度の構成で臨んでくれるはずだ。

山下真瑚は今季初戦をみなとアクルス杯で迎えた。仕上がりはとても順調のようだ。ここ数年、練習では本当にいい演技ができていて、あとは試合でノーミスをするだけ、という段階が続いているが、今季もこの点がポイントになるように思う。プログラムの世界観は今年も独特で魅力的だ。ショート、フリー共に素晴らしいので、サマーカップで多くの方に披露してもらえることが楽しみだ。

三原舞依の再度の復活にも期待したい。何度も逆境を跳ね返してきた選手であり、昨シーズンは右足首の怪我のために十分な演技ができなかったが、今季は期待してもいいのではないだろうか。神戸に新たな通年リンクが完成し、練習環境が大きく改善された。ジャンプ練習ができなかった時期にも地道に基礎練習を積んでいたようだ。今季のプログラムはショート、フリー共に過去に滑った安定感のあるもの。悲願のオリンピック出場に届くか、勝負のシーズンに臨む三原選手を応援したい。

中井亜美は、島田麻央と同学年ながら生まれ月の関係でミラノ・コルティナ五輪への出場資格がある。以前から本人も公言していたように、代表入りを狙うシーズンとなる。今回、楽しみなのがフリーのプログラム。使用予定だった“シンデレラ”を著作権問題のために断念。代わりに作るという新プログラムがどんなものになるのか、ここ、サマーカップがお披露目の場となる。作り立てで仕上がりはまだ進んでいないかもしれないが、今季の戦いを占う演技となるだろう。

三宅咲綺は今季からシスメックス所属となり、神戸に通年リンクが完成したこともあってさらなる飛躍が期待できそうだ。スピードのある大きな3T+3Tに加え、トリプルアクセルの手応えも良いようで、サマーカップでも挑戦してくるのではないだろうか。華のある素敵な選手で、全日本選手権の成績も年を追うごとに順位を上げている。今季のうちに大きく評価を上げても何ら不思議はない。

青木祐奈は、昨シーズン限りでの引退を仄めかしていた時期もあったが、現役を続行してくれたことはとても嬉しい。ノービス時代に活躍していた選手だが、その後不調が続き、ようやく調子を取り戻し活躍の場を得ることができたばかりだ。競技の続行には苦労もあるだろうが、少しでも長く続けてほしいものだ。今季初戦となったアクアカップの段階では、プログラムの仕上がりはまだまだだったようだが、そこから1ヶ月強。より仕上がった演技を披露してもらえることが楽しみだ。

他にも魅力的な選手が多数おり、本当に今年のサマーカップはレベルが高い。江川マリア、大庭雅、そしてペアからシングルに復帰した清水咲衣など、紹介しきれなかった選手が多数出場する。可能であれば、全員の演技を是非観てもらいたい。

文:中村康一(Image Works)

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中村康一(Image Works)

フィギュアスケートを中心に活躍するスポーツフォトグラファー。日本全国の大会を飛び回り、選手の最高の瞬間を撮影するために、日夜シャッターを押し続ける。Image Works代表。

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