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フィギュア スケート コラム 2025年4月18日

三浦璃来/木原龍一組が2年ぶり2度目の四大陸選手権制覇!「このメダルは僕たちの5年間の成長の証」| ISU四大陸フィギュアスケート選手権2025 ペア レビュー

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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ISU四大陸フィギュアスケート選手権2025 ペア

2度目の四大陸選手権を制覇した三浦璃来/木原龍一組

自分たちにとって始まりの場所へ、三浦璃来/木原龍一(日本)はチャンピオンとして帰ってきた。2020年2月、2人で戦った初めての国際試合であり……初めてのISU選手権の地ソウルで、2年ぶり2度目の四大陸選手権制覇を成し遂げた。

「5年前にまったく同じ会場で四大陸に出場して、正直、今日のような結果が残せる日が来るなんて想像できていませんでした。このメダルは僕たちの5年間の成長の証であり、そしてまた5年間成長していくスタートなのかなと」(木原)

ショートプログラム(SP)の「Paint It Black」では、三浦/木原組は群を抜く完成度を誇った。サイド・バイ・サイドのジャンプ(3回転トーループ)にひとつ「q(4分の1回転不足)」がついただけ。それも出来栄え点(GEO)のマイナスは今季最少に食い止めた。一方で丁寧でポジションが美しいリフトや、ドラマチックで緊迫感疾走感あふれるステップシークエンスでは、キャリア最高に近いGOEを稼ぎ出す。演技構成点(PCS)は当然のように、満場一致でナンバーワン評価を得た。

得点は2位以下に4.41点差をつける74.73点。2位から4位までの3組が0.66点差で並ぶ拮抗状態を横目に、りくりゅうは悠々トップで大会を折り返した。

「5年前は記者会見なんて夢のような話で、2人でいつか出たいね、と目標にしていたことでした。今日こうして実現できたことが嬉しいですし、明日のフリーも、この嬉しい気持ちを忘れずに滑りたいです」(木原)

決して完璧ではなかったが、フリースケーティング(FS)「アディオス」もポジティヴな材料に溢れていた。今季挑戦している難しい組み合わせの3連続コンビネーションは、2本目に予定通りの回転数が入れられなかった(2Aが1Aに)。それでもジャンプ自体はすべてそつなくまとめた。2本のスローではむしろ、着地で耐える意志の強さが光った。

圧巻だったのは、プログラムの締めのコレオシークエンス。コーチのメーガン・デュハメルの「たとえ疲れていてもしっかりパフォーマンスをしなければならない」との教えを守り、まさしく迫真の演技を披露し、強く、大胆に、男女の緊迫した関係性を見事に描き出した。あまりに熱を込めすぎて、フィナーレ―のポーズを普段とは逆向きで決めてしまったほど!

「コーチの前でしっかりやろうと最後まで力を込め、最後のターンもいつも以上に速く回ったんです。でも速すぎて、どちらを向いているのか分からなくなってしまいました。本来ならばジャッジの方々の目を見て終わるはずだったのに、なぜかコーチと目が合ってしまいました」(木原)

キス&クライで浮かべていた苦笑いは、シーズンベスト(SB)の142.59点という高い得点が発表されると同時に、嬉しい驚きの表情に変わる。144.35点のパーソナルベスト(PB)を持つりくりゅうだが、これまで140点超えたのは世界選や五輪といったシーズン最高峰の戦いのみ。本人たちが言う通り「細かいミスがありながらも(四大陸で)140点台に乗せることができた」のは、間違いなく、三浦/木原組の土台レベルが確実に上がったことの証明だった。

5年前の初挑戦は8位で終えた三浦/木原組は、いまや押しも押されぬトップペアとして大会の頂点に君臨する。総合217.32点で、2年ぶり2度目の優勝を射止めた。ちなみに初優勝時の2年前は、続く世界選手権でも……初優勝をさらい取っている!

「まずは世界選手権に向けて、今大会の疲れを取って、それからいつも通り練習に励んでいきます。今シーズンは本当にいい練習を積めてきているので、世界選手権前も同じようにやって行けたらと思っています」(三浦)

ディフェンディングチャンピオンとして乗り込んだ大会で、ディアナ・ステラート・デュデク/マキシム・デシャン(カナダ)は、極めて僅差ながらSP4位に沈んだ。

「SPに限っては今季は比較的順調にいっていた(ステラート)」はずだった。しかし今回はジャンプに乱れがあっただけではない。なによりプログラムを締めくくるステップシークエンスとデススパイラルとで、レベルを取りこぼした。得点は今季初めて70点を下回り、昨季の世界チャンピオンにとっては受け入れがたい結果だった。

幸いにもステラート/デシャン組は、失敗をポジティヴにとらえる精神力を持っていた。「これぞ僕らに訪れた最高の出来事(デシャン)」と、完全に吹っ切ったのだという。

「本当にいい気分でした。FSはただ氷の上で、自由に滑って楽しみ、あらゆることに挑戦できました。これこそ今季の僕らに足りなかったこと」(デシャン)

FSはミスを最小限に留めた。デススパイラルでまたしてもレベルを落としたが、「要特訓」と本人たちは笑い飛ばす。なにより重視したのは、GOE加点のトータルやPCSという「質」の部分でシーズン最高を記録したこと。シーズンの途中でエレメンツの順番を大きく入れ替え、国内選手権直前にはリフトもひとつ作り直すなど、例年以上にプログラム作りに苦労してきたからこそ、ようやく手応えをつかめたと興奮する。

「今季は特にFSがここまでどうもしっくりいかず、なにかきっかけのようなものを欲していましたが、今大会でついに突き抜けられたような気がしています。次の試合への、さらには来シーズンへの、良い足がかりになるはずです」(ステラート)

得点自体もSBを一気に7点半近く塗り替え、やはり140点台に飛び乗った。連覇こそならなかったものの、納得の総合2位。3年連続3度目の四大陸表彰台乗り。しかも銅→金→銀と全色コンプリートを果たしたことになる。

カナダは7大会ぶりに2組を表彰台へ送り込んだ。銅メダルの位置にはリア・ペレイラ/トレント・ミショーがつけた。男性側は前パートナーとやはり四大陸銅の経験があるが、結成3季目の今ペアにとっては、ISUチャンピオンシップで手にした初めてのメダルだ。

今季は「心に訴えかける演技」と「シーズン後半を戦い抜く精神力強化」を特に目標に掲げてきた2人。つまり今大会で目標をいっぺんに実現した。韓国入りしてからのペレイラの体調不良とミショーのロストバゲージに、決して心乱されることなく、SPをノーミスで演じ切りPBを3点近く塗り替えた。FSも3連続ジャンプ以外はクリーンにまとめてSBを更新。総合点でも当然のようにPBを3.73点上回ったが、うち3.38点が、PCSの伸びによるものだった。

「今回の大会で氷上にいる間に得た感触の良さは、心から満足できるものでした。その上、自分たちの得た感触の良さを反映するようなメダルを獲得できたのは、ちょっとした嬉しい収穫です」(ペレイラ)

SP2位で折り返したエリー・カム/ダニエル・オシェイ(アメリカ)は、最終的には4位で大会を終えた。今季を通して女性側がジャンプに苦心してきたが、今回もFSの2度の転倒で順位を下げた。また全米チャンピオンのアリサ・エフィモワ/ミーシャ・ミトロファノフは、2人で戦う初めての四大陸で5位入賞。飛行機事故の犠牲者を多く出したボストンスケートクラブの一員として、SPとトータルでPBを更新する渾身のパフォーマンスだった。

やはり初めての四大陸挑戦だった日本の長岡柚奈/森口澄士は、7位と健闘。初めての大きな国際舞台でアピールを成功させた。しかもFSはジャンプでミスがあり、悔し涙を流しながらも、プログラム全体をきっちりまとめて6位。鮮やかなスピードと驚異的な移動距離を誇るリフトでは高いGOE加点を得たし、総合点ではPBを2点以上も更新した。PCSだけならプログラム2本とも順調にPBを塗り替え、特にスケーティングスキルはいずれも7点台がついた。

「悔しい部分もありますが、レベルはしっかり取れていますし、良いGOEももらえています。悔しかった部分は、次の世界選手権で絶対に成功させられるように、練習を積んでいくだけです」(森口)

文:J SPORTS編集部

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