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頂点争いはアナスタシア・グバノワとニーナ・ピンザローネの一騎打ちか!? | ISU欧州フィギュアスケート選手権2025 女子シングル プレビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部ISU欧州フィギュアスケート選手権
長い伝統と高い格式を誇りつつも、常に新たな風が吹き込み、強い個性が花盛り。そんな欧州フィギュアスケート界の、2024/25シーズンの頂点を決める大会が、1月29日から4日間かけて繰り広げられる。
戦いの舞台はおなじみ、ここ10年で6度目のISUチャンピオンシップを迎えるエストニアの首都タリン。なにしろコロナ禍中の2022年に欧州選だけでなく、急遽、四大陸や世界ジュニアさえ引き受けたフィギュア界の救世主である。そもそも今大会も、クロアチア中止を受けてのこと。
ロシア不参加の影響で、近年のユーロはことさら熾烈で……時にサプライズを演出してきたが、果たして今年はどんな素敵な勝者が誕生するか。3月の世界選手権に向けて、さらには1年後に迫った冬季五輪に向けて、タリンでの真剣勝負から目が離せない。
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女子ディフェンディングチャンピオンのルナ・ヘンドリックス(ベルギー)は、長い休養を余儀なくされている。10月上旬に1試合出場した以外、すべての予定をキャンセル。現在は足首の手術を控えており、復帰は来シーズンと見込まれている。ゴージャスなヘンドリックスの滑りがしばらく見られないのは残念だが、4年に1度の五輪イヤーには、心身ともに完全に健康な状態で帰ってきてくれることを信じたい。
するとヨーロッパの頂点争いは、2年前の欧州女王アナスタシア・グバノワ(ジョージア)と、ヘンドリックスのいないベルギーを背負って立つ昨大会3位ニーナ・ピンザローネ(ベルギー)の一騎打ちとなるだろうか。
たしかに今季のグバノワは、ここまで少々苦しんできた。ただ今季4戦目となるGP中国杯フリーでは、ミスを最小限にとどめ、ついにプログラムを美しくまとめ上げることに成功している。
なにより過去2シーズンのグバノワは、欧州選に完璧に調子をあわせてきた。栄冠を勝ち取った2年前はもちろん、昨大会も銀メダルながら、より難しい構成で臨んだフリーでパーソナルベストを更新。この時のトータル206.52は、今大会参加者の中ではナンバーワンのスコアである。
ショート「マネー、マネー、マネー」が、アバの楽曲にも関わらず……びっくりするほど繊細で儚げなのは、まさにグバノワならではと言えそう。フリーの「Balder/Freya」はしなやかで、同時に力強さも兼ね備えていて。アルカイックなその表情は、いつだって見る者を魅了するのだ。
端正な滑りと、高く真っ直ぐなフリーレッグがひときわ目を引くピンザローネは、今季のショートでは、個性的なアレンジで「白鳥の湖」を演じている。また色味を抑えた、シックでセンスの良いコスチュームが多い印象だが、フリー「Escapes Within/Nocturne in D-flat Major "Un rêve"」では少し大胆に真っ赤なドレスに挑戦。昨秋18歳になり、成熟した女性の優雅さを全身にまとっている。
試合続きだった昨季の疲れを引きずり、実は今季序盤のピンザローネは、右膝の故障も抱えていたという。だから少しゆっくりとシーズンを始め、代わりにGP2戦後にチャレンジャー大会を2戦転戦。ジャンプで回転不足を取られることが多かったものの、来る欧州選手権へ向けて、着実にプログラムの完成度を増している。
ちなみに1月19日開催のベルギー国内選手権は欧州選と日程が近すぎる……という理由で、なんと特別に、リモート(?)参戦。12月4日のゴールデンスピンの演技を、ベルギージャッジ勢が独自に採点したのだとか。奇妙なやり方だが、ともかくピンザローネは無事に国内選2連覇を達成した。
スイスナショナル金銀の2人、2年前に欧州3位に飛び込んだキミー・レポンドと、昨大会4位リヴィア・カイザーも、間違いなく表彰台乗りの実力を有している。特にレポンドは昨季は怪我に悩まされ、難しい日々を過ごしながらも、シーズン最後の世界選フリーで底力を発揮。4位に食い込んだ。武器は持ち前の華やかさに、長身を活かしたスピードやスケートの伸びやかさ。加えて今季はフリー後半により難しいジャンプを組み込み、勢力的な得点増に取り組んでいる。
次回の冬季五輪開催国イタリアは、このところ女子だけが目立つ成績を上げられずにいた。今季は幸いにもララ・ナキ・グットマンが、イタリア女子として久しぶりにGP大会で表彰台に立った。しかもその時マークした得点198.49は、今大会参加者の中では最も高いシーズンベスト。カロリーナ・コストナー以来6大会ぶりのメダルなるか。ともかくショート「イカゲーム」は、必見としておきたい。
また1年前はまさかのショート落ちを喫したが……本来の滑りさえ披露できれば、エカテリーナ・クラコワ(ポーランド)は間違いなくトップ5にふさわしい選手。
もちろん地元エストニアのニーナ・ペトロキナにも、大きな快挙が期待される。一昨年のユーロでは、いまだジュニアながら6位と健闘。さらに昨季は、GP大会で、母国に史上初のメダルをもたらした。ただ昨ユーロは左腓骨の骨折で、泣く泣く出場を諦めた……。男子アレクサンドル・セレフコが、エストニア人として初の欧州選メダリストとなってから1年。今年こそは、女子も、センセーションを巻き起こしたい。
J SPORTS 編集部
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