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フィギュア スケート コラム 2025年1月24日

全米3連覇へ視界良好なイリア・マリニン。トルガシェフへの期待も高まる | 全米フィギュアスケート選手権2025 男子シングル プレビュー

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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イリア・マリニン

全米フィギュアスケート選手権2025 男子シングル

全米チャンピオンという、名誉あるタイトルをかけて。

シーズン前半戦のクライマックス、グランプリファイナルで、アメリカは男子・女子・アイスダンスと3つの種目を制覇し、改めてレベルの高さを証明した。そんな世界屈指のフィギュアスケート大国の頂点を巡る戦いが、2025年1月23日から26日まで、中西部カンザス州のウィチタで開催される。

全米フィギュアスケート選手権はまた、シーズン後半戦のISUチャンピオンシップに向けた代表選考大会でもある。特に今年3月の世界選手権は、米国のボストンで開催される。才能や個性にあふれた選手たちが、4色のメダルーー金・銀・銅・錫(ピューター)ーーとUS代表チーム入りを目指して、今の自分に出来る最高の演技を披露してくれるはずだ。

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孤高のクワッド・ゴッドが、全米3連覇へと突っ走る。史上初めて4回転アクセルを成功させ、初戴冠となった昨世界選フリーで5年ぶりに歴代最高得点を塗り替え、2連覇を果たした今季GPファイナルのフリーでは、前代未聞、4回転を全6種7本組み込み……常にフィギュアスケートの新しい可能性を示し続けてきた20歳のイリア・マリニンに、今全米、おそらく敵はいない。

昨シーズンの12月から、7試合連続負けなし。ただ今季のマリニンは、必ずしも、理想的なジャンプを飛んできたわけではない。特に世界を驚愕させたクワッド6種7本構成だが、その7本すべてに「q(4分の1回転不足)」や「<(2分の1回転不足)」のマークがついたし、転倒もあった。そのせいかフリーだけなら、3本の4回転を完璧に成功させた(+高い演技構成点を記録した)鍵山優真に首位の座を譲った。

思い起こせば、2023年全米のフリーでも、マリニンはジャンプに苦しみ……アンドリュー・トルガシェフに0.4点差で負けたのだった。恐ろしく高いジャンプ構成だからこそ、それだけ失敗のリスクも大きい。

むしろシーズン前半戦のマリニンは、エレメンツの精度や表現力の向上に力を注いできた。その成果こそが、GPファイナルでのショート「Running」だろう。難易度の高いジャンプが、プログラムの流れを断ち切ることはなく、絶妙なボディバランスと徐々に増していく疾走感とで、苦悩からの解放を巧みに描き上げた。2つのスピンで全体1位の出来栄え点を獲得し、演技構成点はパーソナルベストを昨季より1.69点も更新した。

だからこそ今全米では、フリー「I'm Not a Vampire」でより完成度の高い演技を見せてほしい。重厚でノーブルで、そして熱っぽいヴァンパイア役は、マリニンに良く似合う。もちろん、五輪後のルール改正でジャンプ数が制限される前に、6種7本のすべてを完璧に飛びこなす機会がやってくることも期待しつつ。

芸術性の塊のようなジェイソン・ブラウンが、用具変更による問題で、開幕直前に欠場を決めたのは残念だった。昨12月で30歳になった大ベテランには、できるだけ長く競技生活を続けてほしいものだ。……それにしても、過去11年間で8個(ピューターも入れると9)のメダルを持ち帰ってきたジェイソンの不在は、すなわち銀以下のメダル争奪戦がとてつもなく熾烈になるということ!

前半戦のパフォーマンスを見れば、自ずとトルガシェフへの注目が高まる。フランス大会3位と、GPシリーズで初めて表彰台に飛び乗っただけでなく、その翌週、代理出場のNHK杯ではパーソナルベストを9点以上も塗り替えた。本人も今や「メダルを獲って世界選に行きたい」と公言する。

かつて右足首の手術・リハビリで丸々2シーズンを棒に振ったトルガシェフは、昨季も秋に軽く体を痛めた。だからこそ「回復優先」と、4回転はあえて回避することも多かったという。幸いにも今季は、4回転にも思い切り挑戦できている!昨季から継続のショート「L'enfer」の、重力や努力を感じさせない脱力ムーブメントは独特で、一方フリー「シェヘラザード」はドラマチックで雄大だ。

昨年の全米3位のカムデン・プルキネンは、果たして調整が上手くいっただろうか。今季のGPシリーズは、ことごとくジャンプに苦しめられた。昨夏、大学生スケーターから社会人スケーター(金融系企業で企業戦略コンサルタントに)となり、両立の日々は決して簡単ではないはずだ。ただ本来なら、2022年世界選5位……フリー3位に食い込んだ実力者。エレガントでノーブルな表現力も定評が高い。

2年連続ピューターメダルのマキシム・ナウモフにも、少々振るわなかった前半戦からの巻き返した期待される。11月末の試合では、フリーを昨季使用した「トスカ」に戻した。それに燕尾服で舞うショートの「Steppin' Out with My Baby」は、なんとも粋なのだ。

フリーにタキシード姿で登場するのが樋渡知樹。2020年の3位以来、全米表彰台から遠ざかっているけれど、得点源である4T+3Tをきれいに決めることさえできれば、自ずと扉は大きく開かれるに違いない。同じく日系アメリカ人としては、昨年に続き遠藤悟空も参戦。さらに今年は、ブラウンの代替として、篠原泰良にも急遽出場権が与えられた。1年前にジュニアで全米2位の成績を収め、今季もジュニアGPに出場した18歳にとって、初めてのシニアのUSナショナルとなる。

やはりシーズン前半戦はジュニアとして転戦し、ジュニアGPファイナルを制したジェイコブ・サンチェスも、いよいよシニア全米デビュー。いまだ公式戦で4回転を成功させたことはないが、気持ちいいほど滑らかなスケーティングは大きな武器。実はGPファイナル前に、すでにシニア大会(チャレンジカップ・タリントロフィー)に出場し、シニア国際大会初出場・初優勝と成果を持ち帰っている。今大会でもあっさり表彰台に駆け上がってしまうかもしれない。

文:J SPORTS編集部
J SPORTS編集部

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