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【24/25シーズン予習スペシャル】「スピンの変更点は難しい」 | フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部24/25シーズン予習スペシャル
フィギュアスケートファンの“もっと選手の素顔を知りたい!”という熱い想いに応えるべくスタートした、「フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋」。元アイスダンサーであり世界を股にかけ活躍するコレオグラファー(振付師)宮本賢二が日本を代表するトップスケーターたちをゲストに迎えてお届けします。
今回は、ルール改正SP。岡崎真さん、中野友加里さん、無良崇人さんをゲストに迎え、ルール変更のポイントや見どころ、日本選手のライバルとなる各国注目選手について、元選手、コーチ、審判、そして振付師の視点で語り合います!
こちらでは番組の書き起こしコラムを全4回に分けてお届けします。2回目は、スピンに関する大きな変更点についてを話します。
J SPORTS オンデマンド番組情報
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フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋 【24/25シーズン予習スペシャル】
配信期間 : 2024年10月29日午後9:00 ~
難解なスピンの変更点
レベルの特徴「難しいブレード」
KENJI:次に各エレメンツの変更点を見ていきたいと思います。まずは最も変更の多かったスピンです。
岡崎:まず新しい特徴が増えて「難しいブレード」というものが仲間入りしました。スピンを回りながらトウやヒールを使うことによってひとつレベルが上がる。その特徴としては、単体でやる前に難しいポジション変更で使っていたり、難しい出方で使っていた選手が過去にいました。それを例に習って、単体でやっても点数をあげられるようにしようかというところで、ISUも考えて新たに投入したのかなと思います。これは増えたものなので、やれる子はやればいいと思いますが、大変なのは難しいバリエーション。違うものをやればやるだけ何個でもレベルが取れていたんですけれども、ひとつのスピンの中で2回しかカウントされない。例えば難しいバリエーションを左右の足で2個ずつ4回やっても、そのうち2個しか取れない。これまでレベル4が取れていても、レベル2しか取れないことが起きます。
KENJI:それは大変ですね。実際にレッスンしてみて、どうですか?
無良:いろいろできる子はできるので「こっちに回そう」「あっちに回そう」である程度良かったんです。でも、言葉は悪いですが男子はスピンが下手くそな選手も多い。体が硬いので、難しいバリエーションと言っても、バリエーションを持っていない。パズルのように組み替えて、組み替えてってやるのが大変でした。
KENJI:例えば、トウとヒールを教える時はやってみせるの?
無良:僕も挑戦はしてみたんですけど、足首をぐねりそうになってやめておこうと思いました。
岡崎:ヒールは特に膝の靭帯を痛めないかなと不安がある。ある程度コントロールもいりますし、1回静止したような感じにどうしてもなるので、負担もどうなんだろうなと。コーチ目線としては心配もありますよね。
中野:このブレードの特徴をやった場合、GOEに関しては特に変更はないんですよ。だから、レベルを取るための特徴になります。スピンの項目でGOEのプラス項目として「創造的」とかがあるんですけれども、それは「創造的」にはならないのかなと思います。
難しいバリエーションに関する制限2
岡崎:例えばレベル4を取るために、これをやっていないと4は取れないよという制限が今シーズンより前にかかっていました。4つ数えてレベル4というのが我々の中では習慣化してるから、4つあってもレベル3にしなきゃいけないという時期を過ごしてきて、やっとそれに慣れてきたかなと思ったら、また制限がかかってしまいました。例えば、そのひとつ前。スピンじゃなくてもいいんですけど、有名なキャノンボールというシットフォワードのポジション。それを1回やったのにも関わらず、チェンジエッジをするために、そのキャメルフォワードのバリエーションを使いながらやったとします。前までは取れていたんですけど、すでに使ってしまったユーズドとなる難しいバリエーションと一緒に実施された特徴はレベルとしてカウントされません。8回転のフィーチャーだったりチェンジエッジだったり、難しいポジション変更とかもそう。よくあったのは、フライングキャメルスピンで、キャッチフットのキャメルフォワードをすでにやっておいて、後のスピンのコンビネーションで難しいポジションを変更やるためにキャッチフットを使っているっていうのがあったから、それを使って、次のフィーチャーを助けているものについては取れない。それもまた考えなきゃいけないですよね。
KENJI:もう1回最初から言ってもらっていいですか(苦笑)。なんとなくはわかりますけど。
岡崎:難しいんです。ややこしい。チェンジエッジ、8回転、難しいポジション変更、難しいブレードフィーチャーもダメ。両方向のスピン、同じ足でのジャンプとか、ジャンプでの足替え、難しい入りとか出とか、フライングエントリーは関係ない。あとは、レイバックとサイドのポジション変更。あと、回転速度の増加もありました。だからヘアカッターをやりながら、インクリーススピードをやっていてもダメみたいなのもあります。
KENJI:それを得意としていた選手が大変ですよ。
岡崎: 1回しか使えない。それをひとつのスピンで同時にやったら同時には取れるけど、分けてしまうと、重複して使った時に、次のものが漏れちゃう。ISUからすごく大変な宿題をもらった感じですよね。
KENJI:まだそんなにちゃんと理解できてないですけど。
中野:私も勉強して思ったんですけど、本当にパズルですよ。これを使った、これは使ってないというのを自分で覚えていないと間違えてしまう。レビューはかかりますけど、間違えちゃいけないので、今回は大変ですね。
岡崎:さっきも言ったバリエーションも、2つしかやっちゃいけないわけじゃなく、何個やってもいいんです。その中で、これとこれを数えるというのを選手に有利なように選ばなきゃいけない。それが本当にパズル。その他にもスピンはウィンドミル、イリュージョン問題がありますよね。コミュニケーションとして、難しい入り、難しい出では取りませんよと出ました。でも、補足としてキャッチブレードに限って、もちろん135度開脚していないとダメなんですけど、それをやった場合に限り、難しい入り、もしくは難しい出方としてカウントしますよと、ハンドブックでフォローされていました。
無良:綺麗に上がっていればいいなと思うんですけど、中途半端に崩れてしまうと、それを綺麗とするのかどうか。そこはどうなのと思います。レベルが取れてもGOEでマイナスされないかなと。
中野:まさしく「ぎこちない美しさを損ねる姿勢」で引かれる可能性はあるのかなと。ただ、あのまま出るのは難しい。難しければ、きっと取ってもらえるのではとも思います。
KENJI:バリエーションで女性はできても、男性ができないものも多い。女性がしているものを男性がしたら得点は高くなりますか?
中野:変わらないですね。やれる選手はやれるので。ドーナツスピンもできますし、ビールマンもやれる選手はできる。
岡崎:だから男子だからこのぐらいで取る。逆に女子だからこのレベルじゃ取らないっていうのはないですし、同じような感じで見ていますから。
中野:今時の男の子は体が柔らかかったりしませんか。
無良:柔らかくなっている選手は多いなと思いました。昔みたいに本当に汚いキャメルスピンをやる選手は少なくなったなと思います(苦笑)。
中野:キャメルも厳しくなりましたもんね。膝の位置が厳しいので。
岡崎:臀部と膝で見るので、お尻よりも高くないとだめ。男子はジュニア時代に女子よりもシビアにキャメルの足替え、フライングキャメルを交互にやらないといけない。女子は、フライングシットかフライングキャメル。必ずキャメルをやらなきゃいけない。課題化された時期を過ごしていくので、以前に比べると、鍛えられる選手が増えてきたのかなと思います。
「難しい入り方・出方」に関する制限
KENJI:左足ロッカーカウンターでのスピンは難しい入り方になるんですか?
岡崎:それこそステップシークエンスでやる。明確なエッジワークで入れる。
KENJI:スリーターンチェンジエッジは?
岡崎:ロッカーカウンターを飛ばずにしっかり明確なエッジで入ったら取れます。
KENJI:バックエントランスで右足フォワインブラケット。バックアウトブラケットそのままだといけます?
岡崎:「難しい」でしょうね。
KENJI:これ、内緒にしておこう。
スピンのGOEに関する変更点
KENJI:ではGOEに関しての変更点です。
全エレメンツ共通 GOEマイナス要件
中野:私が大きいなと感じたのが、音楽が演奏されていない時に、要素の全部もしくは一部が実行された場合、GOEがスピンのでき栄えから「-1〜-4」減点されてしまうことです。要約しますと音楽が終わっているのにも関わらず、スピンを続けている。おそらくそれはレベルを取るために続けていると思うんですけど、その場合は容赦なくGOEでマイナス1からマイナス4が引かれます。今までは、なんとなく音楽に合っていないという部分で、マイナス1からマイナス2。今年からマイナス1がマイナス3に変わっていったんですけれども、そこがより明確化されました。ですから、音楽が終わったらスピンも終えた方がいいですよというアナウンスなのかなとは思います。そして、1回転または2回転に満たない場合はマイナス1からマイナス2の減点。そして3回転以上は満たない場合はマイナス3からマイナス4の減点になってしまいます。大きな減点ですね。フライングスピンでは着氷時にフリーフットがタッチダウンしてはならないということで、タッチダウンした場合はマイナス1からマイナス3引かれてしまう。これはおそらくなんですが、転倒があった場合は、プラス5をされる方は少ないんじゃないかなと思うんですけれども、転倒や回転数が1回転または2回転に満たなかったり、3回転以上に満たなかったりした場合、または足替えが拙劣であったりだとかフライングが拙劣であった場合に、GOEの最高評価の起点はプラス2が上限となっています。そこがより明確化になった変更点です。このスピンで転倒があったというのは、例えばレベルを取るために最後の出の部分で例えばニースラをやった時にバランスを崩して体重の過半が行ってしまった。そしたらテクニカルからFallで来る。本当はプラス5をつけようと思ったんだけど、プラス2から引かないといけないという部分で気をつけなければいけないなと思っています。
KENJI:ニースラも難しいですよね。
岡崎:ニースラをする時の状態もあるので、必ずやったら取れるものではないんですけど、難しくなればなるほど、転倒のリスクも出てくる。でも最後の出の部分だけとニースライドをしくじって転倒になっちゃったけど、それまですごく回転が早かったり、軸取りも良かったり。プラス5をつける気満々だったのに、転倒をするとFがつくんですよね。ジャッジのスクリーンにもフォールインエレメントになる。マイナスにしなきゃいけないんですけど。でも、単純にマイナス5にするのではなく、プラスをつけようと思ってたから、最大プラス2からマイナス5してっていう措置が取れるようになったということですね。
中野:救済ではありますけどね。
KENJI:ニースラも氷の状態で変わりますよね。試合の状態の氷で練習もいきたいんですけど、いつもできるわけじゃない。対策はしているんですか。
無良:できるだけ6分間などで最後にやっておくという感じにしています。普段は1時間半滑ってガサガサの氷上になっているところでニースラをしているのと、綺麗な状態でニースラをしているのでは、転ぶかもしれないというのはありますから、練習をさせるようにはしています。
中野:ただ、スピンが終わってレベルをコールしようと思った時に、ニースラが入るとそれは取らない可能性があるんですよね。
岡崎:あくまでも出口なので、出口付近でやってほしいんですね。難しい出方の特徴を取る時に、スピンの最後のフェーズがタイミング的な問題でつながっている。さらにムーブメントとして難しさがあれば、それは難しい出方として取れるよねと、先程話していたんです。
無良:それで言うと、右足で回っていると、ニースラは1回左に出て右にしないといけない。その点で間が空いちゃうので「あまり使わない方がいいんじゃない」みたいなことは伝えることがあります。
スピンGOE要件の変更点
岡崎:足を替えてはダメとも書かれてないので、やっぱりあくまでもタイミング。出たように見えたけど、後付けだったか、ちゃんと終わりにくっついていたかというところ。ある程度、感覚的な部分もあるんですけど、ただやれば取れるというものでもなく。
KENJI:やった方がいいけど、取れなかったらかわいそうですよね。なので、1回体重をのっけてしてしまうとよくない感じなんですね。
岡崎:その表現も合っているかどうかわからないんですけど、同じことをやっているようでも、違うように見えるというか。でも、ちゃんと明確に、これはこういう理由だから取りません。これはこうだから取りますということは言えます。ルール上、説明はできないですけどね。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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