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堂々たる王者となった「りくりゅう」の珠玉のプログラムに世界が酔いしれる | ISU世界フィギュアスケート選手権2024 ペア プレビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部三浦璃来&木原龍一組
ふたたび2人で滑ることができる喜びで、三浦璃来&木原龍一組(日本)はアリーナを満たしてくれるに違いない。ディフェンディングチャンピオンが本来の調子を取り戻し、自分たちらしい演技を披露しさえすれば、きっと新しい高みにたどり着ける。
2位に終わった四大陸選手権は、4ヶ月半ぶりの復帰戦としては大成功だった。昨季グランプリファイナル、四大陸選手権、世界選手権という主要国際大会で初優勝を飾り、年間グランドスラムを達成した「りくりゅう」として、納得できるレベルを取り戻すことができた。昨季は三浦の肩、今季は木原の腰と、故障に悩まされてきた2人にとって、怪我なく、笑顔で終えられたことがなによりの安心材料だった。
あれから、さらに1ヶ月半。上海では直前の2週間ほどしか通し練習ができなかったというSP「Dare You to Move」だが、モントリオールでは完成形を期待しよう。だって楽曲タイトルの意味は「君はまだ立てるはずさ」。三浦のドレスの爽やかな緑が象徴するように、明るい希望に心躍らせる素敵なプログラムなのだから。
フリースケーティングは、今世界選に向けて、結成2年目と3年目に使用した「Woman」に戻したようだ。ご存知、2人の成長に寄り添ってきた楽曲であり、このプログラムとともに三浦&木原組は2022年北京五輪で日本に初の団体戦メダルをもたらし、さらには直後の世界選手権で銀メダルを獲得した。静から動へとドラマチックにクレシェンドしていく珠玉のプログラムを、堂々たる王者となったりくりゅうが、さらに美しく磨き上げてくれることだろう。
日本ペアとして世界選初優勝を成し遂げた三浦&木原組が、当然ながら日本ペア初の連覇をかけるのだとしたら、ディアナ・ステラート&マキシム・デシャン組(カナダ)は、自らにとって初の世界選メダルを獲りに行く。
35歳で現役復帰を望んだステラートと、過去5人のパートナーとは長く続かなかったデシャンが、ともに力を合わせて5年目。今季はGPファイナルで初の表彰台を射止め、先日の四大陸選手権では、ついに初のISUチャンピオンシップタイトルを手に入れた。女性側は今季40歳の大台に乗ったけれど、「年齢などただの数字」と笑い飛ばすように、間違いなく今のこの瞬間こそが2人の全盛期。開催国カナダに8年ぶりの金メダルだって、もたらせるかもしれない。
三浦&木原組とステラート&デシャン組が大きく頭ひとつ抜け出すも、残りは予測不能。今季の全体的な傾向を見る限り、メダルの可能性を持つカップルは片手では足りないほど存在するけれど、同じ彼らが10位に終わる可能性だってあるのだ。
成績とパーソナルベストだけを考慮すれば、今季GPファイナル初優勝ミネルヴァ・ハース&ニキータ・ヴォロディン(ドイツ)と、昨ワールド3位サラ・コンチ&ニッコロ・マチ組(イタリア)が、銅メダル争いの最有力候補と言える。ただ結成1年目の前組は、欧州選手権でSP2位で順当に折り返しながらも、FSの転倒とリフトノーバリューで5位後退。後者もSPのわずかな失敗が響き6位に沈んだ。
つまりひとつのミスが大きく順位を左右する。結成2年目のルクレツィア・ベッカーリ&マッテオ・グアリーゼ組(イタリア)が、欧州選SP3位から一気に逆転優勝を成功させ、SP首位のアナスタシア・メテルキナ&ルカ・ベルラワ組(ジョージア)が、FSの転倒でトータル2位に終わったように。ちなみに35歳グアリーゼにとっては初めての欧州タイトルで、一方メテルキナ&ベルラワ組は直後の世界ジュニアで圧倒的な勝利を収めている。
またアニカ・ホッケ&ロバート・クンケル組(ドイツ)やリア・ペレイラ&トレント・ミショー組(カナダ)は、GP大会でそれぞれ驚きの初勝利をさらい、エリー・カム&ダニエル・オシェイ組(アメリカ)は初めての全米制覇に続いて、初めての四大陸表彰台に飛び乗った。
マリア・パブロワ&アレクセイ・シヴァチェンコ組(ハンガリー)は屈指の技術力を誇るものの、演技構成点が伸び悩み、そのせいかGPファイナル4位、欧州4位と大きな表彰台に縁がない。過去2年連続世界ジュニア銀メダリストのアナスタシア・ゴルベワ&ヘクトール・ギオトポウロス・ムーア組(オーストラリア)もまた、今季の国際大会4戦はすべて4位。エミリー・チャン&スペンサー・アキラ・ハウ組(アメリカ)はトップ5入りの実力を持つが、今大会が故障明けの復帰戦であり、不安は少なくない。
出場全24組中、16組だけがフリーへの進出権を得る。来る五輪「プレ」シーズンに向けて各国出場枠確保も非常に重要だからこそ、ツートップ以外も、戦が約束されている。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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