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フィギュア スケート コラム 2024年3月11日

三浦璃来&木原龍一組が4カ月半ぶりの試合で2位表彰台「『お互いがんばったよね』という思い」| ISU四大陸フィギュアスケート選手権2024 ペア レビュー

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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三浦璃来&木原龍一組/2023年世界フィギュアスケート選手権

三浦璃来&木原龍一組/2023年世界フィギュアスケート選手権

これは正真正銘、大偉業である。ディアナ・ステラート&マキシム・デシャン組(カナダ)が2024年四大陸選手権ペアを制し、2人にとって初めてのISUチャンピオンシップのタイトルを手に入れた。なによりステラートが……40歳にして、生まれて初めて国際選手権大会の金メダルに輝いた!

「結果については本当に嬉しく感じています。でも、自分たちのスケートに関しては、わくわくするようなものではありませんでした。自分たちにはもっと良い演技ができると分かっています」

まるで向上心の塊のようなステラート&デシャン組は、アスリートとして、決して手放しでは満足しなかった。クリーンなプログラムを、2本揃えられなかったからだ。

SPショートプログラムではサイド・バイ・サイドのジャンプで、男性側に転倒があった。FSフリースケーティングでは冒頭のツイストの「タイミングがずれ」、キャッチ時に女性側が腕を痛めた上に、「集中力が途切れた」。直後のジャンプシークエンスで、女性側の回転が欠け、続く3回転ジャンプでは男子側の着氷が乱れた。

それでも2人の意志の強さが、プログラム全体を通して際立った。ジャンプミスの直後に迎えた最初のリフトは、ステラート曰く「不安だった」。それでも「全力を注ごう」と毅然と挑んだ。凛とした美しいポジションを次々と展開し、演技に弾みをつけた。

「与えられた環境の中で、ベストを尽くして戦いました。たとえトレーニングだったとしても、同じようにやったでしょう。通し練習時には、なにがあろうとも、私たちは演技を止めないんです。今日のような状況に立ち向かうために、私たちは練習を積んできたんです」

おかげでFS「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」の後半は、いたるところにちりばめられた工夫を、存分に披露できた。そしてプログラム最終盤の3回転スローを、ステラートが歯を食いしばり着氷を成功させると、優勝を力強く手元へ引き寄せた!

「決して簡単な大会ではありませんでした。ただ僕たちはここまで厳しい練習を積んできましたし、今後も世界選手権に向けてハードに練習を続けていくのみです」

たしかにSP69.48点とFS129.32点、トータル198.80点は、今シーズンの国際大会でステラート&デシャン組が得たスコアの中では、最低の得点だった。特にFSはPB自己ベストより13点以上も低かった。2人は間違いなくリベンジに燃えている。そして3月中盤の世界選手権では……地元カナダで、最高の演技を2本揃えて、初めてのメダルをつかみとりたい。

2位に終わった三浦璃来&木原龍一組(日本)もまた、未来へと目を向ける。今季前半戦は木原の腰椎分離症の治療に費やし、この四大陸選手権は、4カ月半ぶりの試合だった。ディフェンディングチャンピオンとして連覇を目指すためではなく、来る世界選手権へ最初の一歩を踏み出すために、2人は上海へと乗り込んだ。

「ミスがありました。完璧なパフォーマンスはできませんでした。ただ怪我なく終われて本当に良かった。これだけの短い練習期間にもかかわらず、ハードな練習で本番に臨めたことは、自信にもつながりました」

ペアとしての練習を開始したのは、1月の第2週でしかない。しかもSPは2週間、FSにいたっては1週間しか練習できなかったという。それでも「試合に出られるレベルにはなった」と、三浦&木原組は出場を決意した。

だからこそSPでは、3回転を予定していたサイド・バイ・サイドのジャンプで、自身が2回転しか飛べなかったことに……三浦は満足できなかったのかもしれない。演技終了後の表情には、硬さが残っていた。

レベルもいくつか取りこぼした。それでも丁寧に、ひとつひとつ確認するように、各エレメンツをこなす姿が印象的だった。もちろん「りくりゅう」の強いケミストリーと、数年かけて築き上げてきたオートマティズムが、揺らぐことはなかった。SP「君はまだ立てるはずさ」に乗って、リフトとステップシークエンスでは全体で1番のスコアを得た!

FSでは体力面の不安も残していた。4分半の最後までしっかりパフォーマンスを出しきれるかどうかを恐れていた通り、後半のスロージャンプでは転倒もあった。FSだけなら3位に過ぎず、トータルスコアはPBより33点以上も低かった。

「レベルのとりこぼしが本当に多かったですし、明らかに足が止まっていました。試合直後は一瞬ネガティブな気持ちも出てきたんですが、でも、むしろ『お互いがんばったよね』という思いになりました」

FS「お互いのいる幸運」の音楽が止まると、2人揃って、笑顔になった。三浦&木原組を特別な存在にしているスピード感は、今回も爽やかな風を感じさせた。PCS演技構成点のスケーティングスキルは、SPに続きFSでも不動の1位だった。開きかけの花びらのように繊細なプログラムが、きっとモントリオールでは大輪の花を咲かせる。そんな予感も抱かせた

銅メダルを巡る争いは、なかなかの接戦だった。SPを終えて、3位から8位までの6組が3.4点差で並んだ。誰が頭一つ抜け出すか分からない、つまり誰が獲ってもおかしくないという状況は、まさに今シーズンの世界的傾向とも言えるのだが……。そしてSP4位から逆転表彰台を実現させたのが、結成わずか2年目にして全米王座に飛び乗ったエリー・カム&ダニエル・オシェイ組(アメリカ)だった。

12年の長いキャリアの中で四大陸優勝の経験さえ持つオシェイと、若く瑞々しい魅力あふれるカムは、結成1年目から高いPCS評価を得ていた。さらに今大会では、ペアとしての技術点も大幅に伸ばした。スロージャンプこそSP転倒、FS1本目ステップアウト・2本目転倒とすべてにミスがあり、SPのステップシークエンスでは大きくレベルを取りこぼしたものの、その他のエレメンツはほぼクリーンな出来。特にFSではPBを一気に7点半以上塗り替えただけでなく、銀色のスモールメダルも手に入れた。

「今日の演技に満足しています。少しずつ成長し続けること、チームとしての自信を育てていくこと……これが今大会の目標で、まさしく目標通りのパフォーマンスが実現できました。良い方向へ向けて、大きなステップが踏みだせました」

世界ジュニアで2年連続2位、昨世界選8位と、すでに国際大会で目に見える結果を出してきたアナスタシア・ゴルベワ&ヘクトール・ジオトポウロスムーア組(オーストラリア)にとって、SP7位は失望だった。だからこそFSでは積極的に得点を獲りに行った。序盤のサイド・バイ・サイドジャンプを、今季ここまでの3T+2T+2T(基礎点6.8)から3T+2A+2A+SEQ(基礎点10.8)に入れ替え、パーフェクトに成功させた。TES技術点だけなら他を2点以上も引き離して首位に立ち、総合4位にジャンプアップ。「自分たちにはできるのだということを他者にも自分自身にも証明できた」と、たしかな手応えをつかんだ。

リア・ペレイラ&トレント・ミショー組(カナダ)は、シーズン前半戦が好調だったからこそ、5位以上の成果を求めていたはずだ。ただ結成2年目でしかなく、特に20歳のペレイラは、時差調整、ナショナル後わずか2週間の試合、シーズン途中のエレメント変更……等々であらゆる意味で「経験不足」を実感したという。すべては地元世界選への良い教訓となるはずだ。「SP後は悲しかったが、FS後の今は自分たちを誇りに思う」と前を向く。

別のパートナーと四大陸で3度メダルを獲得しているペンと、長い間「中国4番手」で大舞台のチャンスを持てなかった35歳ベテランのワンも、やはり結成1年目。SP・FSともにシングルジャンプで転倒があったものの、スロージャンプは見事としか言いようがない。特にFSの2本は、幅・高・質・着氷すべてを完璧に揃えた。地元中国の上海で、初出場総合6位と、満足の成績を収めた。

SP3位で折り返したチェルシー・リュウ&バラーズ・ナジ組(アメリカ)は、FSではジャンプにことごとく苦しんだ。2度の転倒もあり、順位も総合7位と後退。ただ結成1年目の2人にとって、初めての全米選手権で4位ピューターメダルを獲得した翌週に、初めての四大陸でSFスモールメダルを手にした事実は、この先に向けての励みとなったに違いない。

文:J SPORTS編集部

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