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ライバルたちも百花繚乱!日本が誇る「かおまい」が金メダルに挑む | ISU世界フィギュアスケート選手権2023 女子シングル プレビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部三原舞依・坂本花織・渡辺倫果
日本の誇る「かおまい」が、母国開催の世界選手権で、大きな栄光へと挑む。坂本花織はディフェンディングチャンピオンとして、三原舞依は今季のグランプリファイナル覇者として。狙うはもちろん美しい色のメダル。そして、できることなら、表彰台からの風景を2人で一緒に眺めてほしい!
小学生低学年からの仲良しで、現在は同じ中野コーチのもとで切磋琢磨を続ける2人は、すでに今シーズンここまで4度、表彰台を分け合ってきた。12月国内選手権は坂本が優勝し、三原は2位につけた。1月のユニバーシアードでは、立場は入れ替わり、三原が逆転で金を勝ち取り、坂本が銀に。さらに冬季国体は坂本1位・三原3位で、「最強コンビ」として兵庫県を成年女子優勝に導いたし、2月のチャレンジカップ@オランダでは、坂本が表彰台の最上段に、三原が2段目に乗った。
残念ながらGPFだけは、三原優勝・坂本5位と、喜びを共有できなかったけれど……。それでもSPは坂本が首位に立ち、FSは三原が首位。金色のスモールメダルは、揃って1つずつ持ち帰った。
坂本も三原も、日本という枠を超越した、フィギュアスケート界の宝もの。それぞれに放つ魅力は異なる。坂本が鮮やかなスピードと、切れ味鋭い大きなジャンプ、なにより強く美しくかっこいい表現者として我々ファンを痺れさせるのだとしたら、三原のあらゆるエレメントを繊細に、丁寧に慈しむ聖母のような姿は、見る者の胸を打つ。
昨五輪銅メダリストの坂本にとっては、2年連続人生4度目の世界選手権出場。一方で四大陸選手権で優勝2回+表彰台2回の三原は、2017年以来6年ぶりの世界一決定戦へと参戦する。つまり2人一緒に世界選手権にエントリーするのは、今大会が、正真正銘初めて。
他選手をパーソナルベストで17点以上も突き放し、いつでもどこでも凄まじい高得点を叩き出せる能力を有する坂本と、決して何ものにも信念を揺るがされることなく、今季参戦全9試合を表彰台で終え安定した強さを誇る三原。互いに励まし合い、支え合い、高め合うからこそ、この春のさいたまスーパーアリーナでは、きっと今まで以上にパワーアップした2人の姿が見られる。両者ともに自分らしい演技さえできれば、きっと、好成績は自然についてくる。
日本女子第3のエース、渡辺倫果もまた、大きな成績を持ち帰るポテンシャルを秘めている。20歳で迎えた今シーズン、生まれて初めて出場したグランプリ大会カナダ杯で、SPを6位で折り返しながらも……見事な逆転優勝を成し遂げたように。
渡辺の武器は、ご存知、トリプルアクセル。この大技にトライする勇敢な選手は幾人もいる。ただし今大会参加者の中で、公式戦で完璧に成功させた経験を持つのは、何を隠そう渡辺しか存在しない。初めての世界選手権へ向けた「大切なステップ」となった四大陸選手権でも、FSで、きっちりと3Aを着氷。標高の高い特殊な状況下でしっかりと戦い抜き、総合5位に食い込めたことは自信にしてもいい。
ちなみに日本で世界選手権が開催されるのは、2019年以来、史上8回目。1994年千葉大会は佐藤有香が、2007年大会は安藤美姫が、さらに2014年さいたま大会は浅田真央が、それぞれに栄冠に輝いてきた。前回2019年大会は惜しくも日本女子は4位から6位までに並んだため、今年こそ、という期待は否応なく高まる!
ライバルたちも百花繚乱。2月の四大陸選手権で1位、2位4位と上位を独占した韓国勢は、日本女子にとって手ごわい相手となりそう。コロラド・スプリングスの標高にも負けず、自己ベストの演技でSP6位からの大逆転優勝を果たしたイ・ヘインも、今季前半のNHK杯で坂本を地元で破り、見事に金に輝いたキム・イェリムも、トータルパッケージの滑りで必ずや上位へと飛び込んでくるはずだ。昨世界ジュニア3位キム・チェヨンも、今年はシニアの四大陸でSP3位。……TES技術点だけなら1位と、高いポテンシャルを証明済み。
欧州選手権では金メダルの絶対的大本命でありながら、惜しくも2位に泣いたルナ・ヘンドリックス(ベルギー)も、気持ちを切り替えて新たなメダルを狙っていく。しかも、いつだってベルギー女子として国の名をたった1人で背負ってきたけれど、今年は自身6度目の世界選にして、初めて後輩2人と共に日本へ乗り込んだ。ベルギー女子史上初……世界選2位、欧州選2位、グランプリファイナル3位と記録を打ち立ててきたヘンドリックスの、しなやかでゴージャスな滑りを、さいたまでは十二分に発揮してほしい。
また自他ともに「サプライズ」で欧州チャンピオンの座に駆け上がったアナスタシヤ・グバノワも、大きなタイトルを得て、いよいよポテンシャルを全開放といきたい。
一方の四大陸選手権では、やはり絶対的大本命のイザボー・レヴィト(アメリか)が、体調不良でSP2位のまま大会を棄権してしまった。まずは、今季GPF銀メダリストがベストの調子で日本に乗り込んでくれること、本来の伸びやかな演技を見せてくれることを願いたい。いずれにせよ、とびっきり可憐な表現力と柔らかなスケーティングで、日本のフィギュアファンのハートを射貫いてしまうこと間違いなし!
やはり四大陸をSP4位で折り返しながら、体調不良でトータル7位に沈んだアンバー・グレン(アメリか)も、初めての世界選こそは笑顔で締めくくりたい。ブレイディ・テネル(アメリか)もまた、2年ぶりの世界選帰還を、成功させたいと熱望している。四大陸では6位で終えたが、PCS演技構成点では、堂々全体トップの得点を記録した。ベテランならではの深みのある、そしてテネルだからこそ出せる、ノーブルで静謐な世界を、さいたまでも美しく創り上げるはずだ。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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