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まばゆいほどの記録と共に島田麻央が女子ジュニア最強を証明「浅田真央さんと同じ位置に立てて嬉しい」 | ISU世界ジュニアフィギュアスケート選手権2023 女子シングル レビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部島田麻央
浅田真央を約1か月上回る14歳4か月で日本女子最年少世界ジュニア金メダル獲得、初のトータル220点超で自己の持つ今季世界最高得点更新、フリースケーティングで3回転アクセルと4回転を着氷……。まばゆいほどの記録と共に、日本の島田麻央が、2023年ジュニア世界選手権の頂点に立った。
「浅田真央さんは名前の由来でもあるし、すごく憧れている選手なので、その選手と同じ位置に立てたことはすごく嬉しいです。自分にとって、一番、いろいろなことが詰まったメダルになったと思います」(島田)
圧倒的な技術力で、大会前から絶対的大本命として名を挙げられてきた島田だけに、SPもFSでも首位に立ち、2位以下に22点半以上もの大差をつけて優勝したことは、もしかしたら驚くべきことではないのかもしれない。それでも「なかなか調子が上がらなくて不安があった」と後に振り返ったSPで、恐ろしいほどに安定感のあるパフォーマンスを披露したことは、絶賛に値する。フライングキャメルスピンでレベルを取りこぼした以外は、すべてが文字通りパーフェクトだった。
音楽が鳴る直前まで、緊張しているようにも見えたFSも、冒頭から次々にジャンプを飛んでいく。鮮やかに決めた3回転アクセルは、自己最高のGOE加点(2.51点)をもぎ取り、続く4回転トーループは「q(4分の1回転不足)」がついたが、ぴたりと着氷してみせた。高配点のコンビネーションジャンプも、見ているコチラ側を一切ハラハラさせることもなく、すべてを危なげなく飛びきった。スピンもステップもすべてレベル4で、島田の言う通り「クリーンな演技」を実現した。
「今まで3Aと4Tが両方決まらなかったり、1つだけ決まったり……。練習でも思うように跳べなくて、辛かった時もありました。でも、今回は、両方跳べたのが嬉しかったです」(島田)
しかし、島田の快挙は、決して高難度ジャンプだけに頼ったものではない。たとえばコンビネーションスピンでは、GOE判定に「+5」がずらりと並んだ。SPはジャッジ9人中6人が、FSでは7人が満点をつけ、残るジャッジも+4をつけた。
またSPで0.29点、FSでは3.89点もパーソナルベストを更新したが、実はTES技術点自体は自己ベストをわずかな誤差程度だが下回っている。そう、今大会でひときわ得点を伸ばしたのは、PCS演技構成点のほうだった。SP「ライオンキング」の伸びやかで、瑞々しいスケーティングや、FS「ワイルドスワン」の、プログラムの細部まで気を配った、可憐で繊細な表現力が花開き、いまや「トータルパッケージ」の選手として世界に認められた。
演技終了直後、島田は嬉し涙を流した。トータル224.54点での初戴冠。今季参加した6つのジュニア大会をすべて勝ち取り、女子ジュニア最強の証明を果たした。
浅田真央が世界ジュニア制覇の翌年、年齢制限でトリノ五輪に出場できなかったように、14歳の島田も少なくともあと3シーズンはジュニアに留まらねばならない。つまり世界ジュニア4連覇……という前代未聞の快挙もありえる!本人も今後は「連覇」や「ユース五輪」を目標に、変わらず努力を続けていくと誓う。
同じく14歳……ただし3月生まれのため、ジュニア期間は残り2年……のシン・ジア(韓国)が、2年連続で2位の座に飛び乗った。SPは島田と同じく、スピンで1つだけレベルを取りこぼし、FSでは、ジャンプに1つ「!(不明瞭なエッジ)」マークがついただけ。やはりほぼノーミスでプログラムを2本揃えた。成功させたジャンプはいずれも極めて高いGOE加点で評価され、その柔らかく、女性らしい表現力も高いPCSに反映された。
強豪揃いのシニア韓国ナショナル選手権で、先輩たちを退け優勝を飾っているジアは、しかもSPの得点では島田に0.59差にまで迫った。3Aや4回転を持たないため、さすがにFSでは大きく水をあけられた。それでもプログラム後半に高配点コンビネーションジャンプを2つ組み込み、2つとも見事に成功させられたのは全参加選手中唯一。今の自分にできる最大限を尽くした。
表彰台の3番目の位置にも、14歳が立った。日本の中井亜美が、はつらつとした笑顔で銅メダルを勝ち取った。FS冒頭の3回転アクセルで珍しく転倒(今季のFSでは初)したことだけが悔やまれるが、残りすべてのエレメントはノーミスでまとめあげた。
「アクセル転倒はすごく悔しいです。それでも気持ちを切り替えて、その後のジャンプをすべて揃えることが出来たのは、自分が成長できた部分だと感じています。それに麻央ちゃんと2人でメダルを取れたことが、本当に嬉しかったです」(中井)
ジュニア世界選手権で、島田が日本女子として8人目のチャンピオンに上り詰めたのだとしたら、日本女子から2選手が表彰台に乗ったのは、2017年以来6年ぶり6回目の快挙。次の2026年ミラノ冬季五輪シーズンにシニア参戦年齢に達する中井にとっては、少なくともあと2回は、島田と共に世界の頂点を競い合うチャンスがある。
4位にはキム・ユージェ、5位にクウォン・ミンソルと、韓国勢が続いた。2月開催の四大陸選手権と順番も顔ぶれも異なるものの、今季開催されたISU国際チャンピオンシップ2大会連続で、トップ5を日本と韓国で完全独占したことになる。
両国に参加権のないシニアの欧州選手権で、銅メダルに輝いたキミー・レポンドは、2年連続ジュニア世界7位。ジャンプに苦しみ、SPは10位と出遅れたが、FSでは冒頭のエッジラー以外すべてを綺麗にこなし、順位を戻した。3月末にはさいたま行きも待っている。エストニアのニーナ・ペトロキナ(12位)や、フランスのロリーヌ・シルド(11位)やベルギーのジャド・オヴィーヌ(23位)と共に、シニアの世界選手権へと挑む。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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