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フィギュア スケート コラム 2023年3月17日

観衆をわかせた日本の來田奈央&森田真沙也組は16位「最初から最後まで楽しんだ」| ISU世界ジュニアフィギュアスケート選手権2023 アイスダンス レビュー

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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來田奈央&森田真沙也組

來田奈央&森田真沙也組

トリノの悔しさを、カルガリーで見事に晴らした。ジュニアグランプリファイナルを銅メダルで終えたカテリナ・ムラズコワ&ダニエル・ムラゼク組が、ジュニア世界選手権では、念願の金メダルを勝ち取った。

「私たちは勝てる、と信じて世界選手権に乗り込みました。そのせいですごく緊張もしていました。成し遂げることが出来て本当に嬉しいですし、心から満足しています」(ムラズコワ)

大本命と目されていたJGPFでは、RDとFDでそれぞれ転倒があった。失敗の理由は、自己分析によると2つ。1つ目はRDのスカートが長すぎたこと。だから本大会に向けて、ムラズコワは真紅のドレスの裾を切った。

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少し短くなったおかげで、情熱的なドレスの舞は、これまで以上に深く正確なエッジワークが際立った。パターンダンスでは、今大会参加カップルの中で唯一、2つともに4つのキーポイントすべてでYes。さらにはPCS演技構成点のスケートスキルで、やはり唯一の8点台をマークした。

一方では女性がバランスを軽く崩し、RDでは今季初めて、ツイズルでレベルの取りこぼしも。パーソナルベストにわずか0.68点及ばぬ71.19点で、ムラズコワ&ムラゼク組は首位でRDを折り返した。

「JGPFであんなことがあったせいで、たとえ1位でも、ナーバスな気分は晴れませんでした。どんなことも起こり得るのだと分かっていたからです。だから、冷静に、ただ良い演技を心がけました。この先に大きな成功が待っている、なんて考えないように努めました」(ムラゼク)

トリノでの失敗の2つ目の理由は、「結果を出そうと意気込みすぎた」ことだったという。カルガリーでは、自分たちのパフォーマンスだけに集中した。16歳と19歳の兄妹は、アグレッシブに、壮大で疾走感あふれるFD「仮面の男」を演じ切った。あらゆるステップとスピンで最高点を叩き出し、PCSは全3項目すべてが8点超と、やはり全参加中唯一の好評価。

FDでは106.17点という高得点を叩き出し、今季初戦で出したパーソナルベストを、今季最終戦で塗り替えた。総合177.36点もまた、丸2年という短いアイスダンスキャリアの中で手にした最高得点だった。ムラズコワ&ムラゼク組は、チェコのアイスダンスカップルとして史上初めて、世界ジュニアチャンピオンになった。

次のオリンピックチャンピオン、と祖国チェコを早くも熱狂させている。チェコスロバキア時代には、1962年から1965年まで、エヴァ・ロマノワ&パヴェル・ロマン組(やはり兄妹)が4年連続で世界チャンピオンに君臨している。残念ながら、アイスダンスが五輪種目に採用されたのは1976年からでしかなく、ロマノワ&ロマン組が五輪を戦う機会はなかった。

「シニアでも同じような成績を繰り返したいと願っていますし、そのために努力をしていきます。ただ、来季シニアに転向するかどうかはまだ確定していません。とにかく僕らは、これまでと変わらず一生懸命練習していくだけです。すべての分野で成長していきたいと願っています」(ムラゼク)

ムラズコワ&ムラゼク組が年齢的にはあと2シーズンはジュニアに留まる権利を有するのだとしたら、2位から4位までの3組は、今大会こそが正真正銘ジュニア最後の試合だった。

1年前は6位で終えたハナ・リム&イェ・クァン組(韓国)は、今年は2位銀メダルに輝いた。JGPFで韓国アイスダンスカップルとして初の表彰台乗りを果たし、このジュニア世界選手権では、韓国アイスダンスカップルとして初のISUチャンピオンシップメダル獲得の快挙を成し遂げた。

「韓国に初のメダルをもたらすことが出来て、心から嬉しく思いますし、シーズンを通して厳しい練習を続けてきたことが本当に誇らしいのです」(リム)

パーソナルベストが3つ並ぶ会心の演技だった。5.87点も塗り替えたRDは、首位組まで0.08点という僅差で、TSS技術点だけなら全参加者中トップ。1番目のパターンダンスでNoが2つとなった以外は、すべてのエレメンツをレベル4でまとめ上げ、中でもミッドラインステップシークエンスで今季初めて男女ともにレベル4を獲得した。

技術力の大きな成長で、リムの女優力とクァンのサポート力はますます光り輝いた。FD「死の舞踏」は、ぞくぞくするほど妖艶で、決して視線をそらすことができないマグネティックな魅力を放った。やはり4.06点も一気にパーソナルベストを更新。トータル174.39点は、なんと11.86点もの向上だった!

「FDの中盤から、自分たちの中では、良い滑りが出来ているという実感がありました。でも実際にどんなスコアが出るのかまでは分かりません。だから点数が発表された時は、最高の気分でした」(リム)

やはりジュニア最後のシーズンを、全戦全勝で突っ走ってきたナディア・バシェスカ&ピーター・ボマン組(カナダ)は、最後の試合では金メダルを逃した。1年目のジュニア世界選と同じ銅メダルで、4年間のジュニア生活の幕を閉じた。

RDではパターンダンスで、今季最悪レベルの評価しか得られなかった。さすがだったのは、他のすべてのエレメンツで、レベル4をしっかりと押さえたこと。しかもJGPFチャンピオンとして、地元カナダの大きな期待を背負う2人は、表彰台圏外のRD4位から逆転を成功させた。「強いプログラム」と本人たちが誇るFD「レッド・バイオリン」を、頭の先からつま先まで、美しく滑らかに演じ切って。

「僕らはただこの瞬間を楽しもうと努力しましたし、お互いに心の底から支え合いました」(ボマン)

バシェスカ&ボマン組は、わずか0.06点差で、3位表彰台に滑り込んだ。代わりにRD3位フィービー・ベッカー&ジェームス・ヘルナンデス組(イギリス)が、4位後退を余儀なくされた。

男性は父親を2週間前に亡くし、女性は前週3日間病気で寝込み、加えてカルガリーではロストバゲージで練習が思うように出来なかった……そんな苦境を感じさせないほど、2人は質の高い演技を見せた。高い技術力はレベルやGOEに反映され、ノーブルかつ情熱的な表現力は見る者を魅了した。トータルでは9.52点もパーソナルベストを更新し、特にFDは初めての100点超え。

ただ得点発表直後には涙ぐんだベッカーが、「少し入り混じった複雑な感情」と後に語ったように、FD冒頭のリフトは規定時間超過で減点1がついた。実は同じリフトで減点1を喫するのは今季4度目で、JGPFもRD2位からトータル4位に陥落していた。

2年連続全米ジュニアチャンピオンのリア・ネセット&アルテム・マルケロフ組は、初出場で5位。アメリカは8位と9位に食い込み、チェコ、カナダと並んで次回2024年大会@台北の3枠を確保した。また「目標はトップ10」と乗り込んできたセリーナ・フラジ&ジャン=ハンス・フルノー組(フランス)は、期待以上の6位に食い込んだ。RD6位のダリア・グリム&ミハイル・サヴィツキー組(ドイツ)は、無念なことに、女性の食中毒でFD棄権を余儀なくされた。

日本の來田奈央&森田真沙也組は、2年連続の世界ジュニア挑戦。RDで森田が転倒するも、起き上がった瞬間にツイズルに入ると、ユニゾンをピタリ合わせる……という見事な対応能力を披露。失点を最小限に抑え、しかもそのツイズルでは両者ともレベル4をきっちり取っている。一方のFDはミスなくまとめつつ、「レッド・ノーティス」のクールでコミカルな世界観をリンクの上に見事に再現。アリーナの観客を大いにわかせると共に、本人たちも「最初から最後まで楽しんだ」。JGP大会で銅メダルをつかんだ躍進のシーズンを、世界ジュニア16位で締めくくった。

文:J SPORTS編集部

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