人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

フィギュア スケート コラム 2023年3月16日

村上遥奈&森口澄士組は堂々の4位!頂点に輝いたバラム&ティウメンツェフ組「全ての人に、感謝します」| ISU世界ジュニアフィギュアスケート選手権2023 ペア レビュー

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
  • Line
村上遥奈&森口澄士組

村上遥奈&森口澄士組

伸び盛りのジュニアペアたちの多くが、シーズンを締めくくる大切な一戦で、自分たちに可能な限り最高のパフォーマンスを実現した。ショートプログラムでは14組中12組が、フリースケーティングでは10組が、そしてトータルでは11組が……パーソナルベストを塗り替えるという素晴らしい好演技続き。

中でもSPで3.18点、FSで3.36点、総合で6.69点も一気にPBを更新したソフィア・バラム&ダニエル・ティウメンツェフ組(アメリカ)が、結成2年目にして、ジュニア世界チャンピオンへと上り詰めた。

「信じられません。すごく興奮しています。クレイジーな出来事です。共に戦ったすべての選手におめでとうと言いたいですし、私たちにサポートの手を差し伸べてくれた全ての人に、感謝します」(ティウメンツェフ)

ダイナミックでありながら、丁寧で、真摯に。現世界王者アレクサ・シメカ・クニエリム&ブランドン・フレイジャー組(アメリカ)のリンクメイトでもあるバラム&ティウメンツェフ組は、2本のプログラムを、極めて高い完成度でまとめあげた。

高さのあるツイストに、ジュニアとしてはずば抜けた安定感と移動距離を誇るリフト。ステップもスピンも当然のようにレベル4で、なにより今大会で唯一、デススパイラルで、レベル4の評価を得た(FS)。FSのジャンプ&スローで小さな着氷の乱れがあった以外は、すべてをクリーンにこなした。

SPだけで2位以下を6点以上も突き放した。大会終了後にはその差は13.11点にも広がった。トータル183.47点を記録し、大差での優勝。ただし、14歳と20歳の若き2人にとっては、決して簡単な大会ではなかった。

FSの朝、チーム結成時から師事しているトッド・サンド氏が……心臓発作で病院に緊急搬送された。SPはリンクサイドで見守ってくれたコーチの、突然の事態に、同ペアは大きな衝撃を受けたという。

「でも、僕らは、トッドが教えてくれたことを思い出そうと努めたんです。眼の前のことに集中し、ただ彼が指摘してくれた修正点だけを考えました。今夜、僕らは、トッドのために滑りました」(ティウメンツェフ)

アメリカのペアとしては、ヘイヴン・デニー&フレイジャー組以来ちょうど10年ぶりの、世界ジュニア選手権制覇。トータルで183.47点と、ジュニアとしては今季最高得点を出したカップルには、将来が大いに期待されるが……残念ながら年齢制限の高い壁が立ちはだかる。「スペースX」の職員を夢見て工学エンジニアの勉学に励むティウメンツェフは、今季限りでジュニアを卒業し、一方で女子シングルとしてのキャリアも継続中(今季全米ジュニア8位)のバラムが、シニアとして国際試合に参加できるのは、来季から本格導入されるルールによれば2026/27シーズンから。

「ソフィアとパートナーを組めたこと、彼女と今シーズン一緒に戦えたことを、誇らしく思っています。今後も1日1日を生きていくだけです。この先はなるようにしかなりません」(ティウメンツェフ)

1年前の世界ジュニアを2位で終え、今季ジュニアグランプリファイナルではSP2位からの逆転優勝を果たしたアナスタシア・ゴルベワ&ヘクトル・ギョトポウロス・ムーア組(オーストラリア)は、今大会では圧倒的な大本命と目されていた。

しかし今大会は、SPの遅れが大きく響いた。男性がバランスをわずかに崩し、女性がデススパイラル体制に入れず。ノーバリューと判定され、少なくとも3点を一気に失ってしまった。

「SPの後、自分にすごく腹が立ったんです。だからFSでは100%を尽くそうと努力しました」(ゴルベワ)

3位からの逆転優勝を目指したが、残念ながら、FS冒頭に貴重な点数を落とした。決して得意分野とは言えない冒頭の3回転ツイストは、荒さが目立ち、レベル1に留まった。GOE出来栄え点もマイナス評価がついた。またサイド・バイ・サイドの3連続ジャンプでは、男性がパンク+転倒。

それでもJGPFチャンピオンとしての意地を見せた。今大会参加したペア14組の中で、FSに3回転スローを2本組み込めたのは2組しかなく、しかも2本ともに完璧に成功させられたのは、このオージー組だけ。またシニア国際大会(CS大会ワルシャワ杯)でも優勝したことのある、成熟したカップルとして、PSC演技構成点では最高点を叩き出した。順位も1つ上げ、2年連続の銀メダル獲得に成功した。

「僕たちにとってベストな大会ではありませんでした。でも、これが、スポーツというものです。厳しいですね。でもコーチからは、『よくやった』と褒めてもらえましたし、僕らも最後まで戦い抜きました」(ギョトポウロス・ムーア)

ゴルベワ&ギョトポウロス・ムーア組は、 3月末には、シニアの世界選手権に初挑戦。目標は「トップ10入りとクリーンなプログラムを2本揃えること」なんだとか。

すでに欧州選手権で9位に食い込んだヴィオレッタ・セロバ&イワン・コフタ組(ウクライナ)と、国内選でシニア2位のオクサナ・ブリャモ&フラヴィアン・ジノー組(フランス)もまた、世界選手権参戦のためにさいたまスーパーアリーナに乗り込む。

そのセロバ&コフタ組は、2人で転戦を始めて5シーズン目 だけに、ペアとしての成熟度の高さを見せつけた。3回転ツイストは、全参加ペアの中で唯一、SP・FSともにレベル4を獲得。またジャンプに3回転は組み込まなかったものの(ジュニアGPでは成功済み)、代わりに工夫が詰め込まれたつなぎ動作や、オリジナリティあふれるステップやスピンで、「魅せる」プログラムを披露した。

やはりSP・FS・トータルすべてでパーソナルベストを塗り替えて、セロバ&コフタ組は3位表彰台に立った。ウクライナペアとしては、史上初めての世界ジュニアメダル。ちなみに大会前には2週間早めにカナダ入りし、「りくりゅう」こと三浦璃来&木原龍一組と同じリンクで練習を重ね、大いに刺激と学びを得たのだとか。

またブリャモ&ジノー組は最終的には5位で大会を終えたが、SPでは3回転スローを見事に決め、2位に食い込んだ。パワフルで、キュートで、いかにも「フレンチ」な雰囲気のプログラムを演じこなす2人は、元五輪金メダリストのブルーノ・マッソの説得で、3年前にカップル結成にこぎつけた。今試合直後には世界選代表入りの朗報を受け取り、シーズンが3月末まで伸びた。「究極の夢」は、もちろん、五輪金メダルだという。

そして村上遥奈&森口澄士組は、ジュニアGPファイナル4位に続いて、世界ジュニアでも4位の堂々たる結果を残した。特にSPは、パーソナルベストを一気に8点近くも塗り替え、総合得点も154.71点の自己最高だ。

シングルスケーターでもある2人は、ソロジャンプやソロスピン、ステップシークエンスを武器に、着実にスコアを重ねた。6位で折り返したSPでは、ステップシークエンスとソロスピンだけなら、全体で1位の高得点。またFSでは基礎点11.80点(3S+3T+2A+SEQ)という、今大会参加の女子シングル選手では誰一人としてトライしていない……男子でさえひと桁台しか成功させていない、極めて高難度のジャンプコンビネーションを飛んだ。

ペアエレメンツも、結成わずか1年2ヶ月ながら、急激に成長を続けている。シーズン序盤はレベル1しか取れなかった2回転ツイストも、今大会ではSP・FS共にレベル2に上がった。3度のスロージャンプはすべて問題なく成功させたし、ハンドトゥハンドのリフトも、やはり、プログラム2本ともレベル4。いずれも自己最高のGOE加点がついた。ペアとしての伸びしろを感じさせた。

ただ優勝したバラム&ティウメンツェフ組同様、村上&森田組も、年齢制限ルールのせいで来季以降しばらくは国際公式大会の転戦が不可能になる。それでも「自分たちの練習は続けていく」と公言する。再び2人で戦える日を待ちながら。

文:J SPORTS編集部

J SPORTS編集部

J SPORTS 編集部

 

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
フィギュア スケートを応援しよう!

フィギュア スケートの放送・配信ページへ