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フィギュア スケート コラム 2023年3月6日

17歳の三浦佳生が史上最年少優勝で歴史に名を刻む「自分自身を、誇りに思います」 | ISU四大陸フィギュアスケート選手権2023 男子シングル レビュー

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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三浦佳生

三浦佳生

今大会参戦の男子最年少と男子最年長が、2023年四大陸選手権男子シングルの表彰台の上で並んだ。17歳三浦佳生は、人生で初めてのISUチャンピオンシップタイトルに輝き、31歳キーガン・メッシング(カナダ)は、キャリア最後のシーズンに、やはり人生で初めてのISUチャンピオンシップメダルを手に入れた。

「お客さんはもちろん、僕の前に滑った(佐藤)駿とキーガン選手との、全員の力が集まった最終形態が、さっきの演技だったのかなと思ってます。まさに『パワー爆発』みたいな」(三浦)

小さなミスから、三浦にとって2度目の四大陸は、幕を開けた。ショートプログラム一発目のジャンプ、つまり4回転サルコウの着氷後、氷に軽く手を突いてしまったのだ。自ずと予定していた2本目をつけることが出来なかった。

全日本と状況は似ていたかもしれない。あの時も冒頭1本目で転倒し、プログラム後半のジャンプで再度の転倒があり……必須要素であるジャンプコンビネーションを欠いた。

しかしコロラド・スプリングスでの三浦は、これ以上のミスが入り込む隙を与えなかった。3回転アクセルを綺麗に決めると、後半の4回転トーループに、慌てず3回転トーループを付け加えた。しかも「リカバリー」と呼ぶにはあまりに質が高いコンビネーションは、GOE出来栄え点を含み17.78点。1つの要素で獲得した得点としては、三浦にとってはキャリア最多タイ得点……SPとしては最多得点となった。

「ミスの後、思い切りやるだけだと思い直しました。後半の4回転+3回転は、とにかく気合で乗り切ったという感じです」(三浦)

91.90点の高得点でSPを首位で折り返した三浦は、FSでも柔軟な対応力を発揮する。事前に大会側に提出した予定構成表に頑なにこだわることなく、スピードとフィーリングに乗って、次々と高く勇壮なジャンプを決めていく。SPでは失敗した4回転サルコウも、FSではきっちりと着氷を耐えきり、GOEのほんの小さなマイナスだけで切り抜けた。

なにより「美女と野獣」のビーストになりきった熱演は、アリーナ全体を陶酔させた。標高1800mの高地で、最後までダイナミックに表現し続けた。クライマックスのコレオステップシークエンスとスピンコンビネーションは、いずれも自己最高の評価を得た。音楽が終わった瞬間、成功を確信し、三浦は何度も、何度も拳を握りしめた。

「しっかり抑えるところは抑えつつ、緩急をつけながら滑ることができました。こういう演技をすることができた自分自身を、誇りに思います」(三浦)

得点はこれまでのパーソナルベストを一気に11.40点も上回る、189.63点。トータルの281.53点も当然パーソナルベストで、今季の得点ランキングでは2位という、とてつもないハイスコアを三浦は記録した。日本男子としては史上7人目(9度目)の四大陸選手権チャンピオン。しかも17歳8か月での四大陸制覇は、男子シングルとしては、あのネイサン・チェンを1か月抜いて史上最年少だった!

「正直に言って、これぞ、僕が競技を離れる最高のやり方だと思っています。次の世代にバトンを渡す。彼のようなファンタスティックな選手と共に表彰台に上がれたことは、光栄であり……素晴らしい担い手にこのスポーツを託します」(メッシング)

記者会見でこう三浦を絶賛したメッシングは、20年近いキャリアの終わりに、自己最高地点へと到達した。

決して「数字」は追い求めていなかったという。ただ「楽しむこと」「楽しませること」だけに焦点を当てた。だからSP冒頭の4回転トーループの転倒後も、「このせいでパフォーマンスを台無しにしてはならない」と、ひたすら最高の演技を心がけた。FSでは「地元」北アメリカでの最後の試合を、全身全霊で戦った。息が切れるのも構わずに!

「まるで世界の頂点に立っているような気分で、ただ波に乗って、最後まで駆け抜けたんです」(メッシング)

FSの188.87点もトータルの275.57点も、メッシングにとってはパーソナルベスト。そしてジュニア世界選で4位が2回、四大陸で4位が1回……と、あと一歩でチャンピオンシップ表彰台を逃してきた31歳が、念願の銀メダルをつかみ取った。

1位三浦、2位キーガンがSP・FS通して不動だったのだとしたら、3位の座には、佐藤駿が大逆転で駆け上がった。

SPを3位で終えた地元アメリカのジミー・マとの得点差は、約6点あった。しかも4位と5位には、四大陸優勝経験者のボーヤン・ジン(中国)とチャ・ジュンファン(韓国)がつけていた。

ただしジュンファンはジャンプミスが続き、北京五輪以来1年ぶりの本番だったボーヤンも、いまだ本来の調子とは程遠く、それぞれ総合4位と7位で大会を終えた。またSPでは自己ベストを9点近く更新したマは、FSでは一転、今季自己最低点。「メダルは考えなかった」と本人は語るが、冒頭から3つのジャンプを続けて失敗。まさかの総合9位に陥落する。

4回転トーループで転倒し、思い通りの成績が出せず、SP後は「申し訳ない」と失望を隠せなかった佐藤は、2日後のFSには気持ちを完全に入れ替えて臨んだ。三浦から「一緒に表彰台に乗ろう」と声をかけられ、奮起したという。

佐藤にとっては重要な得点源である冒頭3つのジャンプエレメンツを、まずは次々と決めた。特に大きく鮮やかな4回転ルッツは完璧。GOEだけで3.78点と、国際大会では自己最高タイの加点をもぎ取った。スピン後の4回転トーループも、やはり極めて高い加点で評価された。

後半はいよいよ標高の影響が脚に来たのか、「ステップの時は死にそうだった」と振り返った通り、レベルの取りこぼしも見られたが……フィニッシュと同時に右の拳を突き上げた。納得の演技で大逆転。やはり人生初のISUチャンピオンシップ表彰台乗りを果たした。

またイ・シヒョン(韓国)がSP14位から総合6位へジャンプアップを果たし、やはりSP12位と大きく出遅れたミハイル・シャイドロフ(カザフスタン)が、昨世界ジュニア2位の地力を発揮し、4回転3本で総合5位に食い込んだ。

島田高志郎は総合11位で終了。ただSPでもFSでも4回転2本に挑戦したし、残念ながら2回転止まりだったものの、SPのコンビネーションでは4回転ルッツさえ勇敢に試みた。なによりSPでは目標としていた「自分自身で楽しんで滑る」を達成できたし、FSではチャップリンのユーモラスな演技で、アリーナの観客をたっぷりと楽しませた。「素晴らしい経験となった」と、本人も断言する。

文:J SPORTS編集部

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