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四大陸選手権王者の三浦佳生がリベンジ誓う「世界ジュニアでは優勝を目指す」 | ISU世界ジュニアフィギュアスケート選手権2023 男子シングル プレビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部三浦佳生(左)と吉岡希(右)
アメリかのコロラド・スプリングスで、シニアの四大陸選手権で金メダルに輝いた三浦佳生が、カナダのカルガリーで、ジュニア世界チャンピオンの座を狙う。なにより心に誓うのは、昨大会のリベンジ。「自分のせいで失った枠」を取り戻し、自らの後に続く日本男子勢に、絶対に3枠をもたらしたい。
1年前、代替として出場チャンスが巡って来たシニアの世界選手権は、直前の左大腿四頭筋肉離れのせいで後に辞退せざるを得なかった。一方で4月中旬に時期を移して行われた世界ジュニアには、痛みを押して出場敢行。全日本ジュニアチャンピオンとして、四大陸銅メダリストとして、三浦は責任を果たしに向かった。ただしSPは20位と大きく出遅れ、最終的な結果は13位。得意のジャンプはショートプログラム・フリースケーティング合わせて全10要素のうち、4つしか満足に決められなかった。それでも「自分にできるベストを尽くした」と、前を向く意志の強さを示した。
17歳で迎えた今シーズンは、シニアに専念してきた。海外のグランプリ大会に初めて乗り込むと、初戦アメリカ大会SPでいきなり1位に飛び込むセンセーション。なにより4回転2本を成功させ、自己ベスト94.96点を叩きだした。トータルでは2位に終わり、初めてのGPメダルも獲得。勢いに乗って次戦カナダ大会も同じくSP1位、FS2位のトータル2位で、その高いポテンシャルを再証明してみせた。
あまりに勢いに乗りすぎて、ジャンプの制御に苦しんだこともある。シニアの全日本SPでは、ハイスピードで突入した4回転で2度転倒し、そのせいでコンビネーションも入れられなかった。まさかの13位発進。しかしFSでは気持ちをしっかり切り替え……しかも冒頭2本のジャンプに苦しめられながらも、その後は次々と大きなジャンプを決めた。FSだけなら2位(総合6位)の好演技で、四大陸とジュニア世界選への切符をつかみ取った。
心技体のすべてを申し分なく揃えたのが、この2月の四大陸選手権だ。SPは冒頭4回転サルコウで乱れ、予定通りのコンビネーション(3回転トーループ)をつけられなかった。しかし全日本のミスは繰り返さず、後半の4回転トーループにきっちり2本目をつけた。また大舞台での最終滑走なら、GP大会で2度経験済み。緊張感に呑まれることなく、今回は演技後も1位を守り切った。しかもコロラドの高地で、疾走感あふれる熱演を披露しつつ、体力温存のため柔軟にジャンプ構成を入れ替える冷静さも。ともに表彰台に上った31歳キーガン・メッシング(カナダ)からは、「スケート界の未来」と絶賛された。
「世界ジュニアでは優勝を目指す」。四大陸選手権での初戴冠直後、三浦はきっぱりと断言した。たくさんの苦悩を乗り越えてきたからこそ、さらに強くなった。もしも有言実行となれば、2015年宇野昌磨以来8年ぶりに、ジュニア世界選で日本男子金メダリストが誕生する。
シニアGPファイナル5位(FS3位)の三浦とともに、メダル獲りに挑むのは、ジュニアGPファイナルで表彰台に上がった若き強豪たち。もちろん日本に銅メダルを持ち帰った吉岡希もその一人だ。
今季大きく成長を遂げた19歳。コロナ禍中の2020年NHK杯で、特別体制とは言いながら、吉岡はすでにシニアのGPデビューは果たしていた。ただしジュニアGPに正式に派遣されたのは、今季が初めて。……その初体験チェコ大会で、いきなりSP・FSともにパーソナルベストを叩きだし、優勝をさらう大活躍を見せた。さらには全日本ジュニアでチャンピオンに上り詰め、その2週間後にはJGPファイナルで3位表彰台乗り。目覚ましい快進撃で、初めてのISUチャンピオンシップ出場権を勝ち取ったのだ。
JGPファイナルまではSPは3回転のみ、FSには4回転トーループ2本という構成を続けてきたが、昨年末のシニア全日本選手権では、SPで4T+3Tのコンビネーションを決めた。非公認ながら80点超もマーク。世界の大舞台で、同じ成功を繰り返すことができれば、吉岡のメダルは見えてくる。
ファイナル金メダリストのニコライ・メモラ19歳は、4回転こそ持たないが、丁寧で質の高いスケーティングと長い手足を優雅に使ったムーブメント極めて評価が高い。なによりイタリア選手権のFSでは、強豪の先輩たちーー今年の欧州選2位マッテオ・リッツォや昨欧州選2位ダニエル・グラッスルーーを上回る衝撃を演出。同じくファイナル銀ルカス・ブルサード(アメリカ)も、4回転なしでも、極上スピンやシームレスなつなぎ動作で我々をたっぷり魅了する。
三浦と同じく今季はやはりオールシニア転戦で(シニアのGP大会2戦参戦)、カナダナショナルでは2年連続3位表彰台に上がった17歳ウェズリー・チウもまた、SP2位から悔しい表彰台落ちを喫した昨大会のリベンジを期す。また前半戦はジュニアGP転戦、年明けには欧州選手権参戦9位と、ジュニアとシニアを股にかけて戦ってきた18歳アンドレアス・ノアデバック(スウェーデン)や、直前のタリンク・ホテル杯で昨欧州選3位デニス・ヴァシリエフスに競り勝ち、優勝を飾った17歳アルレット・レバンディ(エストニア)の、素晴らしいパフォーマンスを楽しみだ。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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