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絶対的大本命として島田麻央が金メダルを獲りに行く | ISU世界ジュニアフィギュアスケート選手権2023 女子シングル プレビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部島田麻央(左)と中井亜美(右)
かつて浅田真央が14歳で手にしたジュニア世界選手権の金メダルを、2008年生まれの14歳が、カルガリーのリンクへ獲りに行く。絶対的大本命として。今季ジュニアで負けなしの島田麻央が、「長期政権」へ向けて、大きなジャンプへと挑む。
トレードマークは3回転アクセル。今季前半戦のジュニアGP大会では、参戦した2戦とも、フリープログラム冒頭に完璧な3Aを決めた。
4回転さえも飛ぶ。昨季すでに国内公式試合では4回転トーループに3度トライし、3度全てを成功させた。今季は転倒や回転不足に悩まされているが、ジュニア全日本選手権では、4Tだけで基礎点9.5+GOE加点2.09=11.59点を叩きだした。
2つの高難度ジャンプの合わせ技で、JGPポーランド大会のFSでは148.87のパーソナルベストを更新。トータルでも217.67に達した。今シーズンの記録だけなら、現時点の世界最高得点。つまりジュニア選手ながら……シニア世界チャンピオンの坂本花織のシーズンベストを0.07点、シニアGPファイナル覇者の三原舞依のSBを0.25点上回る!
ジャンプだけではない。島田の強さは、他のエレメントでさらに得点を積み上げられること。質の良いスピンやステップは、ほぼ常にレベル4の評価を受ける。しかもプログラム最終盤に披露する高速スピンは圧巻。今季初戦のJGPオストラヴァ大会FSでは、ラスト2つのスピンエレメントで、GOE判定+4と+5がずらりと並んだ。
JGPファイナルではPCS演技構成点のスケーティングスキルで、10点満点中8.04点という、ジュニアとしては絶賛すべき得点も得た。つまり最強の「トータルパッケージ」で、島田はファイナル表彰台の最上段へと駆け上がった。
今年のジュニア世界選手権は、島田にとって、「シニアに向けたステップ」ではない。来季以降、シニア最低年齢が段階的に引き上げられるため、ジュニア時代は最低でもこの先3シーズン続く。幸か不幸かは分からない。ただ期待通りに島田が今大会チャンピオンに輝いた場合、それは「初」優勝であり、同時に「1回目」となるに違いないのだ。
中井亜美も同じく14歳。昨年末のシニア全日本選手権で話題をさらった。FS冒頭で、3回転アクセル+3回転トーループという大技を決めた上に、さらにもう1つ3Aを着氷。衝撃的なまでに強いプログラムで、SP8位から、一気に4位へと浮上した。
JGPポーランド大会では、嬉しい公式大会初優勝を飾っただけでなく、トータル205.90点という、極めて高いパーソナルベストも叩き出した。ただ島田と揃っての表彰台乗りが期待されたJGPファイナルでは、残念ながら、自慢のジャンプで苦戦。4分の1回転不足やエッジ不明瞭が指摘され、細かい減点がいくつもついた。わずか1.13点差で表彰台を逃した悔しさを、カナダの大舞台で晴らしたい。
シニアでも良き好敵手である韓国勢が、2023年ジュニア世界選手権でも、日本女子にとっては最大のライバルになりそうだ。中でも1年前にすでに同大会で銀メダルを獲得し、年末のJGPファイナルでも2位につけたシン・ジアは、やはり14歳。さらに美しい色のメダルを熱望しているはず。
しかも韓国ナショナルでは強豪揃いの先輩たちを退け……シン・ジアは堂々シニアの国内チャンピオンに上りつめた。ちなみにファイナル直前に国内戦へ出場していたため、トリノでは「ひどく疲れていた」と告白したものの、SPでは首位の島田からわずか0.55点差にぴたりとつけていた。
またJGP大会で表彰台に2度乗った14歳クウォン・ミンソルはもちろん、JGPは1戦のみの参加ながら、その1戦で表彰台に乗った13歳キム・ユージェも伸び盛り。特にキムは3回転アクセルを成功することさえできれば、一気に上位へ飛び込んでくるかもしれない。
彼女たちよりもほんの少しお姉さんの16歳キミー・レポンド(スイス)は、つい先日、初出場の欧州選手権でいきなり銅メダルに輝いたばかり。今季は前半からジュニアとシニアを半分ずつ転戦してきた。シニアの世界選手権出場のために日本にも上陸予定だが、その前にカルガリーで腕試し。細くてしなやかな肢体から繰り出されるスピンやステップは、常に評価が高い。
一方で18歳のニーナ・ペトロキナ(エストニア)は、今季はGP2戦、チャレンジャー大会2戦(表彰台1回)、さらに欧州選手権(6位)と、完全なるシニア選手としてフルに戦ってきた。1年前は9位だったジュニア世界選手権に、改めて挑戦する。
13歳のインガ・グルゲニゼ(ジョージア)も、最新の試合では3回転アクセル+2回転トーループを見事に決めているから要注目。昨大会覇者イザボー・レヴィトの後を受け継ぐべく、アメリカの3選手(昨季全米ジュニア優勝クレール・セオ、今季全米ジュニア優勝ソーホー・リー、全米シニア5位ジョゼフィーヌ・リー)にも健闘が期待される。
また2021年11月にブレードでふくらはぎの筋肉を傷つけ、ほぼ1年を棒に振った16歳カイヤ・ルイターは、再びスケートが出来る喜びを、母国カナダの世界選手権で噛みしめたい。昨シーズンはJGP表彰台に2度上がった経験もあるからこそ、成績も考えている。なによりトップ10入りでカナダに2枠以上をもたらせたら、と考えているのだとか。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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