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三浦璃来&木原龍一組が日本人ペアとして史上初めての金メダル「日本の若い人たちが、ペアをやりたい、と思ってくれるはず」| ISU四大陸フィギュアスケート選手権2023 ペア レビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部三浦璃来&木原龍一ペア
フリースケーティングの演技が終わった瞬間、多くの男性選手が氷に膝を付き、女性たちはパートナーを労るように肩を抱いた……。コロラド・スプリングスの、標高1800m超の過酷な環境下で、日本の三浦璃来&木原龍一組が圧倒的な強さを見せた。すでに歴史を幾度となく塗り替えてきた2人が、日本人ペアとして史上初めての、四大陸選手権金メダルを持ち帰った。
「2人で初めて四大陸選手権に出場したとき、『いつか記者会見に出られるような強い選手になりたいね』、とお互いに話し合っていたんです。だから、今回、こうして実現できたことを嬉しく思っています」
本番に向けての調整も、プレッシャーとの戦いも、決して簡単ではなかったはずだ。2ヶ月ぶりの試合だった。12月上旬に、日本人ペアとしてグランプリファイナル初制覇の偉業を達成した後、全日本選手権には移動のトラブルで出場が叶わなかった。しかも絶対的な優勝大本命としてアメリカに乗り込んだ。ファイナル銀メダリストにして、現役世界チャンピオン組が不在だったからだ。
SPはプログラム序盤のサイド・バイ・サイドのソロジャンプで、三浦に転倒のミスがあった。ただしすぐに気持ちを切り替えた。「減点1」を取り戻そうと、直後のエレメンツの精度向上を心がけたという。
その強い意志は、数字にしっかり現れた。直後のリフトではレベル4を得ただけでなく、今季ここまでの3戦を上回る高いGOE加点がついた。もちろんその後もノーミスでまとめ上げた。プログラム後半のスピンやステップシークエンスはレベル4+大きな加点で評価され、PCS演技構成点もいずれも8点台の高得点が並んだ。
FSでは新しい技も披露した。FSでは今季ここまでサイド・バイ・サイドには3T+2T+2Tを組み込んできたが、四大陸では3本目に2回転アクセルを飛んだ(3T+2T+2A+SEQ)。残念ながら1本目に4分の1の回転不足判定がついたものの、基礎点が一気に2点上がる大技は、1ヶ月半後の世界選手権では大きな武器になる。
その後も決して完璧な出来ではなかったかもしれない。レベルもいくつか取りこぼし、GOEの小さなマイナスは全部で3つついた。それでも、少し早歩きしただけでも息が上がるほどの高地で……FSの4分間を全身全霊で戦い抜いた。SP後の記者会見で「この標高はペア男子に最も大きな影響を及ぼすが?」と問われ、「でも空気はある。すべては気持ちの問題」と言い切った木原は、最後の瞬間まで、毅然とした態度を貫き通した。
音楽の終了と共に、木原は氷へと倒れ込んだ。本音も吐き出した。「空気が薄かった。本当にきつかった」。三浦は満面の笑みで、「でも龍一君はいつも倒れこむんですよ」と、常にパートナーが全力疾走であることを強調した。
三浦&木原組の頂点を脅かすものなど、今大会には存在しなかった。SPに続き、FSでも首位のスコアを叩き出し、トータル208.24点で金メダルを射止めた。
ちなみに四大陸選手権では、金メダルどころか、日本ペアのメダル獲得さえも初めて。また世界選手権(銀1、銅1)、世界ジュニア(銀2、銅1)を含むISU主催の国際選手権大会のペア種目において、日の丸が真ん中に掲揚されたのは、史上初めての快挙となる。
「日本人ペアとしてISUの大会で初優勝できたのは嬉しいです。2人で頑張ってきたことが、こうして結果として表れ始めた。そして僕らを見た日本の若い人たちが、ペアをやりたい、と思ってくれるはず。だからまだまだ頑張らなくちゃ」
歴史を作り続ける三浦&木原の、次の着地点は、日本開催の世界選手権。日本ペア史上初の「銀」を手にした、昨季の自分たちを超えることさえできれば……大きな栄光は約束されている。
全米&世界チャンピオンのアレクサ・シメカ・ケネリム&ブランドン・フレイジャー組が欠場する中、開催国アメリカペアとしての責任を、エミリー・チャン&スペンサー・ハウ組は立派に果たした。特にFSではパーソナルベストを更新する会心の演技で、2年連続の四大陸銀メダリストとなった。
「ついにベストのパフォーマンスが出せた、という喜びでいっぱいです。リンクの上で、2人が真の一体感を得られた。特別な瞬間でした」
ディアナ・ステラート&マキシム・デシャン組(カナダ)も、やはりFSでパーソナルベストを記録し、去年より1つ順位を上げ初の四大陸表彰台乗り。昨年12月から約8週間もの間、体調不良に苦しんできたという39歳ステラートにとっては、2000年世界ジュニア女子シングル銀メダル以来となる……23年ぶりのISU大会メダルだった!
「体調不良からの復活は、本当に大変でした。でも、私たちには、メダルのチャンスがあると分かっていたんです。だからこうして結果を出せたことは、本当に大きな意味を持ちます」
チャン&ハウ組とステラート&デシャン組には、3月の終わりには、それぞれカップルにとって初めての世界選手権挑戦が控えている。「最高の気分ですし、世界選へと乗り込む準備は出来ています」と前者は自信をみなぎらせ、「この結果は最高の踏み台になります!あとただシンプルに、自分たちのパフォーマンスを磨き上げていくだけ」と、後者もさいたまアリーナでの好演技を誓う。
今季からペア競技に転向した完全なるペア新人女性と経験豊富な大ベテラン男性……とういカップル2組も、高いポテンシャルを証明した。リア・ペレイラ&トレント・ミショー組(カナダ)は、総合4位で終え、いきなりメダル獲得の可能性さえ感じさせた。同じくエリー・カム&ダニエル・オシェイ組(アメリカ)は6位終了。いまだに安定感には欠けるものの、女性のひたむきな向上心と、元四大陸王者の男性の大きな包容力とで、さらなる成長を予感させた。両ペア共に、やはり次のステップは、日本の世界選手権だ!
またヴァレンティナ・プラザス&マクシミリアーノ・フェルナンデス組(アメリカ)は、持ち前のキュートさと豪勢なリフトとで大いに魅せ、2人にとって正真正銘初めてのISUチャンピオンシップを5位で終えた。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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