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勝負の鍵は日本選手が握る。若き日本の3選手が世界に挑む | ISU四大陸フィギュアスケート選手権2023 男子シングル プレビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部佐藤駿 / 島田高志郎 / 三浦佳生
四大陸選手権が、あるべき場所に帰ってくる。コロナがいまだ猛威をふるった2021年シドニー大会は中止に追い込まれ、昨冬2022年は、ヨーロッパのエストニアが温かく手を差し伸べてくれた。そして2023年2月、アメリカ、アジア、アフリカ、オセアニアの4つの大陸から集結するチャンピオンたちの戦いは、アメリカのコロラド・スプリングスで幕を開ける!
ディフェンディングチャンピオンのチャ・ジュンファン(韓国)と、20018年王者ボーヤン・ジン(中国)が参戦を表明する男子シングルだが、間違いなく、勝負の鍵は日本選手が握る。
今季のグランプリシリーズで2度の銀メダルに輝いた三浦佳生は、ハイスコアを叩き出すポテンシャルを有している。特に生まれて初めてのGP大会@アメリカのSPでは、持ち味の凄まじいスピードで2本の4回転ジャンプを成功させると、94.96点のパーソナルベストを記録。同大会の総得点273.19点と並んで、これは今季世界4位=四大陸出場者中最高のシーズンベストでもある。
しかも17歳の三浦は、いまだ限界点には達していない。4回転3種4本にトライしてきたFSを、クリーンにこなすことさえできれば、さらなる高評価につながることは確実だし、スピンやステップにはまだまだ伸びしろを感じさせる。年末の全日本選手権でSP13位と大きく出遅れながらも、気持ちを立て直してFS「美女と野獣」で堂々2位(トータル6位)の好演技を見せたほどの、たくましい精神力もある。
1月中盤には「ジュニア向けに作り直したプログラム」でインターハイ優勝。3月の世界ジュニア選手権を見据えつつ……まずは1年前に人生初の選手権メダル(銅)をつかんだ四大陸で、さらに綺麗な色の栄光を狙いたい。
インカレ優勝、冬季ユニバーシアード5位、国体優勝……と、年を明けてから忙しく転戦してきた佐藤駿は、いよいよ初めての四大陸選手権へと乗り込む。
昨季GPフランス杯で2位初表彰台に飛び込んだ。肩の故障、さらには昨2月の手術で足踏みを余儀なくされても、進化は止まらなかった。今季のイギリス杯3位、フィンランド杯2位で、18歳の佐藤は高い実力を再証明してみせた。
持ち味は勇敢な積極性。常に難度の高いジャンプに挑み続ける。特にFS冒頭に組み込まれた目が覚めるような4Lzは、フィンランド杯でのパーソナルベスト180.62点、さらにはGPファイナル逆転4位の原動力。また今季は回避してきた4Fも、国体では改めてトライした。
2019年ジュニアGPファイナルを制し、2年以上もジュニア歴代最高記録を保持してきた。シニアでは初の国際選手権でも、佐藤は大きな成果を持ち帰ってくれるはずだ。
全日本銀メダリストの島田高志郎にとっても、シニア転向4年目にして、初めてのシニア国際選手権挑戦となる。
持ち前の伸びやかなスケーティングや、長い手足を柔らかく活かしたステップやスピンは、以前から評価が高い。SP「シング・シング・シング」のクールでジャージーな滑りも、FS「街の灯」の優しく繊細な表現力もまた、島田の魅力だ。しかも今季はSP・FSいずれにも4回転を2本ずつ投入するなど、ジャンプ面でも意欲的に攻めてきた。
チャレンジャー大会で自己2度目の表彰台、さらにはグランプリ大会で自己最高位の4位と、国際的な立場も着実に固めつつある。島田が作り出す世界観が、四大陸の観客を、すっかり魅了してしまうのは間違いない。
強く頼もしい日本3選手が立ち向かうのは、いまや美しき成熟期を迎えたジュンファン。1年前のタリンでは初めてのISU国際選手権タイトルを射止め、直後の冬季五輪でも5位入賞。艶のあるスケーティングはますます輝き、表現力は深みを増した。
今季はアクセルに苦しめられ、得点を取りこぼすことが多かった。それでも2度のグランプリ大会では着実に表彰台乗りを果たし、韓国選手権では貫禄の7連覇。長年母国を背負ってきた21歳は、おそらく大切なシーズン後半に向けてきちんとミスを調整してくる。SP「マイケル・ジャクソン・メドレー」とFS「007」と、とてつもなくかっこいいプログラムも2本揃っている。
母国で開催された冬季五輪を9位で終えて以来、故障等で試合から遠ざかっていたボーヤン・ジンにとっては、約1年ぶりの公式戦参戦。高く幅のある4Lzを自在に操る世界屈指の4回転ジャンパーが、本来の調子さえ取り戻していれば、きっと素晴らしい復帰戦になる。また中国男子として7年ぶりにジュニアグランプリ大会でメダルを獲得し、さらにジュニア&シニアの中国選手権を制した18歳チェン・ユードンも、初の大舞台へとやって来る。
ジュニアGPファイナルで世界の頂点を経験しながら、成長期で少々足踏みをしてしまった18歳の後輩スティーブン・ゴゴレフ(カナダ)にとっては初めての四大陸選手権で、キーガン・メッシング(カナダ)にとっては最後の四大陸選手権。シーズン終了後の引退を宣言している31歳は、2度の転倒があったGPフィンランド杯のFSを除けば……悔いのないシーズンを邁進中。2年連続ナショナルチャンピオンにも輝いた。カナダ国旗を大きくアリーナにはためかせる姿も、絶対に見逃せない!ちなみにアメリカのアラスカで生まれ育ち、若き日はアメリカ所属だっただけに、母国で滑る最後の公式戦でもある。
もちろん地元アメリカ人選手たちの健闘にも注目したい。直前の全米選手権で4位ピューターメダルを手にしたマキシム・ナウモフを筆頭に、5位ジミー・マ、6位リアム・カペイキスが、地元の誇りにかけて、好演技を披露してくれるはずだ。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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