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フィギュア スケート コラム 2023年1月26日

一気に進む世代交代。《メンタル最強》の15歳イザボー・レヴィトが表彰台の頂上を狙う | 全米フィギュアスケート選手権2023 女子シングル プレビュー

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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イザボー・レヴィト

イザボー・レヴィト

次のオリンピックへ向けて、新たな4年間がスタートした。昨冬の北京五輪を彩った3選手、マライア・ベル、アリサ・リュウ(いずれも引退)、カレン・チェン(休養)は、寂しいけれど、この冬サンノゼの氷上には戻ってこない。世代交代は一気に進む。もちろん、現役続行を決めたベテランたちも、存在感を見せつける。

すでに1年前、アメリカに、新しいスターが誕生した。確かな技術力と、麗しいパフォーマンスと、そしてとびっきりの笑顔とで、イザボー・レヴィトが初出場で3位表彰台に飛び乗った。春のつむじ風のように、さわやかな衝撃だった。15歳の少女は、今や優勝大本命として、2023年全米選手権に臨む。

ホールパッケージ。レヴィトはすべてを兼ね備えている。伸びやかなスケーティングも、自在に変化するスピンポジションも、しなやかで繊細な表現力も、見る者をたちまち虜にする。コスチュームもまた魅力的。今季のSP「Una noche mas」では大人の女性の色香をまとい、一方でFS「Dulcea Si Tandra Mea Fiara」は儚げな美しさを全身で体現する。

回転不足を取られることも多々あるが、難度の高いジャンプへの挑戦を続ける。なにより驚異的なのは、その安定感。たとえ転倒やミスがあっても、決して大きく崩れない。コーチ曰く「メンタル最強」で、調子の波は限りなく少ない。過去のデータによると、7シーズン前に1度だけ11位に沈んだ以外、すべての公式戦で表彰台に乗っている!

シニア1年目の今シーズンも例外ではない。昨季の世界ジュニアチャンピオンは、開幕2試合であっさり優勝をさらった。初めてのシニアグランプリ参戦さえ、すべて表彰台の上で終えた。アメリカ杯2位、英国杯2位。自らのルーツであるイタリアで行われたGPファイナルでは、SP5位と出遅れながら、FSで巻き返しやはり銀メダルを持ち帰った。

重圧を感じるタイプでもないという。なにより、すでに年齢別カテゴリーでは2度の全米チャンピオンに上り詰めたレヴィトにとって、「ナショナルはいつだってハッピーで晴れやかな舞台」なのだ。自分に課した目標は、ただ、魅せる演技をすること。

17歳のリンジー・トルグレンも、この先のアメリカを背負って立つ選手の一人。昨季はレヴィトと並び、ジュニアGPで次々と表彰台乗りを成功させ、ジュニア世界選でも銅メダルを勝ち取った。念願の本格シニア転向を果たした今季は、開幕直後からとにかくジャンプに苦しんでいる様子だったけれど……12月のチャレンジャー大会ゴールデンスピンで、初めてのシニア金メダルを獲得。自信を持って、3度目のシニア全米選手権へと乗り込む。

昨全米は4位ピューター止まりだったガブリエラ・イッゾは、さらにステップを上がりたいと願っているし、昨四大陸選手権4位のオードリー・シン18歳も、母国アメリカでの地位を確立したい。またイッゾ、トルグレン、レヴィトに続き、昨全米ジュニアを制したクレア・セオ16歳も、今年はいよいよシニア全米に挑戦だ。

5年前、19歳で全米初優勝を飾り、ブレイディ・テネルはシンデレラガールになった。しかし2度目の優勝を果たした翌シーズン、つまり昨季は2度目の五輪出場へ向けて、トライさえできなかった。右足首の故障で、昨シーズンは丸々棒に振った。

選手としては、苦しい日々を過ごしてきたけれど、人としては、大きく成熟したという。故障前と後とでは、本人曰く「まったく違う人間」。練習拠点をフランスのニースに大胆に移し、新天地で、完全なるゼロからの再スタートも切った。

今季の初戦、GP英国杯では、いまだに足が痛んだ。思い通りの演技も、思い描いていたような復活劇も、果たせず最下位に沈んだ。それでも、テネルの中に、諦める選択肢はなかった。GPフィンランド杯では8位と、浮上の兆しが見えた。12月のチャレンジャー大会で、ついにメダルが取れた。2年ぶりの全米選手権へ向けて、着実に調子を取り戻している。

1年遅れのディフェンディングチャンピオン。目標は最低でも表彰台。理由は四大陸選手権、さらには世界選手権への切符が絶対に欲しいから。もう一度、大きな国際舞台で輝きたいから。今月末でテネルは25歳になる。

アンバー・グレンもまた、昨季に苦い思い出を残す。2年前の全米で念願の表彰台乗り(2位)を実現させ、五輪行きの可能性を本気で信じ始めた。昨季を通じて、トリプルアクセルにも、果敢に挑み続けた。しかし肝心の昨大会、「自分にはどうしようもない理由」、つまりコロナ陽性で途中棄権を余儀なくされた。北京五輪への扉は閉じた。

23歳の今シーズンは、環境を一新。オリンピックトレーニングセンターのあるコロラドスプリングスに引っ越し、グレンは新たなコーチ陣の下で練習を積む。10月のアメリカ杯では3位に入り、生まれて初めてGP大会のメダルも獲得した。成績よりも、今は滑る喜びを重視しているという。もちろん、全米のメダルは、何ものにも代えがたい喜びのとなるはずだ。

讃えられるのは「健闘」ではなく、「成績」でありたい。そう強く願うのは、27歳のグレイシー・ゴールド。かつては全米選手権2勝の、光り輝く女王だった。しかし摂食障害に苦しみ、休養を余儀なくされた。試合からは約2シーズン半遠ざかった。それでも、引退の道は、選ばなかった。27歳で迎えた今季は、本物の復活シーズンだと考えている。まずは6年ぶりの全米入賞を狙う。

スター・アンドリューズは今季カナダ杯2位で、人生初のGPメダルに輝いた。昨5月に上室性頻脈の手術を受けたばかり。いまだ完治はしていないし、今季に向けたトレーニング再開も大きく遅れた。そんな中での、大きな成功。ずっと夢見てきた「五輪への道」を、早くも一歩踏み出せた、そんな実感を抱いたという。

またGPレベルの大会で黒人女性がメダルを獲得するのは、90年代序盤に活躍したフランス人スルヤ・ボナリーに次ぐ史上2人目の快挙だった。「だからこそ、より一層、このメダルは特別な意味を持つ」と、本人も喜びを噛みしめた。

2023年全米選手権には、もう1人、黒人女性選手が出場する。様々な肌の色を持つ選手にチャンスを与える「ダイバーシファイ・アイス基金」の強化プロジェクトに選ばれ、専門トレーニングを積んできたアレクサ・ガスパロットが、中西部予選会で2位終了。見事、全米選手権への切符を、勝ち取ったのだ!女子シングルで2人の黒人選手が出場するのは、23年ぶりだという。

文:J SPORTS編集部

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