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誰が勝っても初優勝の歓喜!イタリアのギニャール&ファッブリ組が初戴冠を目指す | ISU欧州フィギュアスケート選手権2023 アイスダンス プレビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部シャルリーヌ・ギニャール&マルコ・ファッブリ組
ヨーロッパに新しいアイスダンスチャンピオンが誕生する。2015年から欧州の頂点を独占してきたパパダキス&シゼロン組は、五輪シーズン終了後に休養に入り、そんな無双のフランス組から金星を奪った数少ないカップルであるロシアのシニツィナ&カツァラポフ組も、国際舞台から遠いところにいる。
誰が勝っても、初優勝の喜びにあふれることだろう。それが12回目の欧州選挑戦で、ついに頂点に手が届くのだとしたら、感激はなおさら大きいに違いない。長い時間をかけて、ゆっくりと成熟してきたイタリアのシャルリーヌ・ギニャール&マルコ・ファッブリ組が、キャリア初のビッグタイトルをつかむためフィンランドへ飛ぶ。
一歩一歩。そんな言葉が2人にはよく似合う。初めての欧州選手権で11位に入ると、そこから9位、8位、6位、7位、6位、5位、3位、4位、3位……と、文字通り一段ずつヒエラルキーを上がってきた。シニア転戦13年目の今シーズンは、グランプリ大会で念願の金メダルを射止めた。フランス大会での感涙も乾かぬ間に、1週間後のイギリス杯でも優勝。人生2度目のグランプリファイナルでは、銅メダルを持ち帰った。
一年一年。母国開催の2026年冬季五輪まで現役を続行するかどうか、33歳と34歳の2人は決めていない。ただし、もしも、あと4年間続けるのなら……と先を見通した時に、なにか新しいチャレンジをしたくなった。それが「伝統的なラテンからの脱却」を目指して、グレイス・ジョーンズの楽曲を使用した今季のRDであり、「とにかくダークなものをやろう」と作り上げたFD「My Love Will Never Die」だという。
鮮やかなスピードと、伸びのある滑らかなスケーティング。喜びも悲しみも、熱く激しく力強く、まっすぐに描き上げる表現力。そんな魅力を持つ2人が、今季はRDもFDもブラックの衣に身をまとい、新しい世界観を模索する。ただし、やっぱり「シャルマル」らしく……ダークなプログラムの最後に示すものは「希望」なのだ。
金メダル獲得の絶好の機会だと理解しているし、金メダル獲得が可能だと分かっているからこそ、全力を尽くす。こうギニャール&ファッブリ組は宣言する。真摯な努力の積み重ねが、実る日が、きっとやってくる。
イギリスのライラ・フィアー&ルイス・ギブソン組にとっては、初めてのメダルチャンス。男性側のアイスダンス転向は22歳と決して早くはないものの、結成3季目の欧州選で素早く6位に飛び込んだ。今シーズン前半は、グランプリ大会で初めて2つのメダルを射止め、人生初のグランプリファイナルにも駒を進めた(4位)。
フィアギブといったら、トレードマークはノリノリに踊れるプログラム。2人が大きく頭角を現すきっかけは2018/19シーズンのFD、ドナ・サマーのディスコメドレーだった。その年の翌シーズンFDはマドンナの「ヴォーグ」でフレッシュな旋風を巻き起こし、さらに昨季はRDでキッスのメドレーをハードにクールに滑りこなした。
今季はさらにパワーアップ。RD「Vivir Mi Vida/No Me Ames」は、ラテンのリズムでアリーナ全体を熱狂の渦に巻き込むし、FDのレディ・ガガ「Born This Way/Million Reasons」も、パワフルに、ダンスの世界へと見る者を引きずり込む。スピード全開で気持ちよく踊りまくって、全種目通じてコームス&バックランド以来8大会ぶり(9年ぶり)のメダルを、母国英国に持ち帰りたい。
もしかしたら、最も行方がわからないのが、銅メダルかもしれない。昨季までしのぎを削っていたスペイン2組が、空白の3枠を残してリンクを去ったせいでもある(ウルタード&ハリャービンは引退、スマート&ディアスのスマートは年末にドイツのディックと新チーム結成、ディアスは引退)。
経験や知名度、実力の面なら、おそらくアリソン・リード&サウリス・アンブルレヴィチウス(リトアニア)が一歩リード。ただ地元の星ユーリア・トゥルッキラ&マティアス・ヴェルスルイス(フィンランド)は、欧州選と同じリンクで行われたグランプリ杯で、人生初のメダルを手に入れたばかり。母国ファンたちの応援に後押しされ、羽のようにふわりと優美な演技で、快挙を成し遂げてしまうかもしれない。
しかもパパシゼ不在を吹き飛ばすように、フランスのエフゲーニヤ・ロパレワ&ジョフリー・ブリソーやロイシア・ドムジョ&テオ・ルメルシエも台頭著しいし、チェコのナタリー・タシェレロワ&フィリップ・タシェレルも強烈に存在感を増しつつある。ジュニア時代は世界のトップを争ったマリア・カザコワ&ゲオルギー・リヴィヤ組(ジョージア)も、本格シニア転向3年目。大きく飛躍する可能性を秘めている。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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