渡辺倫果選手「スケートは本当に楽しい」｜フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋

渡辺倫果選手

フィギュアスケートファンの“もっと選手の素顔を知りたい！”という熱い想いに応えるべくスタートした、「フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋」。シーズン9がいよいよスタートします！日本選手はもちろん、海外選手のプログラムも多数手掛ける振付師・宮本賢二さん（KENJI）が、ゲストを迎えて、楽しく、真剣にトークを繰り広げます！

今回のゲストは昨年の全日本選手権で6位となり、世界ジュニアにも初出場するなど一躍脚光を浴びた渡辺倫果選手です。今シーズン、シニアデビューを果たした渡辺選手は9月のロンバルディアトロフィーで見事に逆転優勝。その勢いのまま初めてのGPシリーズに挑み、躍進を誓います。そんな渡辺選手の素顔に迫ります！

KENJIの印象

今シーズン初めてKENJI先生とタッグを組んでいます。今までは怖いイメージを持っていましたが、スケートに対して熱心で面白いところもあるので、ギャップのある方だなと思っています。振り付けに対する集中力やこだわりは本当にすごいです。
でも基本的にアニメの話が多く、振り付けの時にもアニメで例えてくださったりするので楽しくできました。今回も楽しく、KENJI先生のことも深く知れたらいいなと思います！

対談スタート

KENJIの印象は？

──今回のゲストは渡辺倫果ちゃんです。よろしくお願いします。倫果ちゃんの私服姿はそんなに見いひんから、私服を着ていると、俺が気づかへんよね。
渡辺：はい。「こんにちは」って言っても「ああ」っていう感じです（笑）

──それぐらいいつもと全然違う感じですけど、今日はよろしくお願いします。改めまして「KENJIの部屋」は見たことある？
渡辺：あんまり見たことないんですよ。記事をちらっと見たことがあります。

──あんなり見たことない。記事でちらっと…見てよ〜。
渡辺：読むほうです。

──今回は、いろいろと聞いていくのでお願いします。倫果ちゃんと言えば、深海魚が好きだとすごく有名ですけど、どうですか。
渡辺：本当にダイオウグソクムシが好きです。

──ダイオウグソクムシが好きなんだ？
渡辺：母親はダイオウイカが好きなんですけど、私はダイオウグソクムシが好きです。

──ダイオウグソクムシってフナムシみたいな形のやつだよね？
渡辺：うーん…ダンゴムシみたいな形のやつです。フナムシってなんですか？

──えっ!？フナムシ知らないの？ごめん、そうや。あれは陸上の生物やから。フナムシっていうのは、グソクムシの陸上にいる版みたいな生物でダンゴムシよりグソクムシに似ている。でもごめん、深海魚じゃなかった。お母様はダイオウイカ好きで、先生はリュウグウノツカイが好きです。
渡辺：いいですね（笑）

深海魚好きの渡辺倫果選手

──グソクムシでいいの？
渡辺：グソクムシは小さいバージョンなんですよ。

──わかっていますよ。
渡辺：ダイオウグソクムシのほうが私は大きくて好きなんです。

──渡辺家ではダイオウが付く方がいい？
渡辺：ダイオウが付く方がいいです。

──なるほどね。好きな理由は？
渡辺：本当にかわいい。

──見た目？
渡辺：シルエットがかわいい。

──グソクムシって食べれるんやったっけ？
渡辺：聞いたことありますね。

──食べる機会があれば食べてみたいんです。リュウグウノツカイは立てるって知ってる？
渡辺：水族館にいますよね、多分。

──静岡の水族館にリュウグウノツカイはいるよ。深海魚水族館。もちろん、行ってます。シーラカンスもミイラ、標本か。ちゃんと見ていますし、メンダコとかもね。
渡辺：メンダコも好きです。かわいい。

──泳いでいるところがかわいいもんね。あと2時間ぐらい（この話題で）いけますけど、話を変えて、最近はゲストと年の差がすごいんです。こちらも上がっていますので。倫果ちゃんは今おいくつ？
渡辺：今年で20歳になります。

──20歳…やばない。半分以下。20歳になってやりたいことってある？
渡辺：特にやりたいことはなくて、本当にただスケートを頑張りたいなっていうくらいです。引退したら大学生っぽいことをやってもいいのかなって思うんですけど。

──そうか、大学生活はどうですか？
渡辺：大学生活。通信なので、そんなに学校に行かないんです。大学生らしいことができてないです。

──スケートをしてない時は何しているの？
渡辺：勉強です。課題に追われています。

──バイトもしてるよね？
渡辺：バイトしています。

──急にスタッフの人に「こんにちは」っていうと「おお、倫果ちゃんか」って思う時がある。リンクのお手伝いをしているんだよね。
渡辺：はい。

──じゃあ、苦手な科目。
渡辺：苦手な科目…中高の時は、社会は本当に嫌いでした。覚えなきゃいけないのが嫌いで…。

──なるほど。じゃあ得意な科目は？
渡辺：数学が得意です。

──そう。あれちょっと待って。今日すごく大人しい感じ。
渡辺：カメラがまわっているので、大人しくしないといけないかなって（笑）

──いつもこんな感じじゃないよね？
渡辺：でも、KENJI先生の前ではこんな感じだと思います。

──いつもよそ行きな感じなんだ？
渡辺：（笑）

オリンピックに行きたいと思ったのがスケートをはじめたきっかけ

スケートをはじめた当時の写真

──では改めて、スケートを始めたきっかけを教えてください。
渡辺：3歳の時にトリノオリンピックの荒川静香さんの演技を見て、「自分もこの舞台に行きたい」と思いました。3歳でも大きい舞台っていうのはわかっていたので、「この大会に行ってみたい」「綺麗だったな」というので親に「やらせてくれ」と頼んだのがきっかです。

──自分から頼んだんだ。実際リンクに行ってみてどうでした？
渡辺：小さい頃から飽き性なんですけど、でも、スケートだけは本当に楽しくて。ずっとやり続けて、今に至っている感じです。

──滑ったらすごく楽しくてという感じ？
渡辺：本当にただただ楽しくて、ずっとやり続けている感じです。

──ジャンプをして楽しいとか、スピンをして楽しいじゃなくて、本当にスケートが楽しい。
渡辺：はい。本当にスケートが楽しくてっていう感じです。見ているのも好きでしたし。

──通っていたスケートリンクがすぐ閉鎖をしてしまったの？
渡辺：はい。新横浜に移って、東神奈川と新横浜の両方でスクールをやっていました。拠点自体は新横浜だったんです。

──移動も大変やろうね。
渡辺：そうですね。毎回、親が片道1時間ぐらいのところだったので、送ってくれました。

──その辺は親に感謝だね。中学に入ってから3年生の時に東京から青森の学校に転校する。
渡辺：そうです。カナダに行ったのが中学3年の時だったので、青森山田中学に転校しました。

──スポーツに理解のある学校に転校した。
渡辺：はい。そうですね

──実際に青森に行くの？
渡辺：テストを受けに行きます。日本に帰ってきて試合をやって、青森に行ってテストを受けて、またカナダに帰る生活をやっていました。

──ベースはカナダ？
渡辺：はい。

──でも、カナダに行くのは、すごい大変やったんじゃない？
渡辺：全く英語が話せなかったっていうのもありますし、文化の違いで理解しがたいこもたくさんありました。

──例えば？
渡辺：いっぱいありすぎて全然覚えてないんですけど、一番衝撃だったのは「ラーメンをすすったらダメ」っていうのは鮮明に覚えています。

──いや、ラーメンはすすっていいんだよ。日本食やから。
渡辺：向こうで「ダメ」って言われたんですよ。「行儀が悪い」って。

──どうやって食べるの？
渡辺：静かに、パスタみたいに食べるんです。

──パスタみたいに（麺を）巻けないじゃない。お箸で。
渡辺：向こうの人はお箸で巻いてました。

──それは倫果ちゃんが「行儀が悪いよ」って。
渡辺：そう思うんですけど、向こうからしてみると音を立てることが行儀悪いよってなったりするんです。

──そういうことか。食べ物も違うもんね。カナダに行って最初は、英語も喋れんけれど、喋っていかないといけない。そこで最初に覚えたスケート場での英語は？
渡辺：「again」を覚えました。

──なんで「again」なの？
渡辺：ヘッドコーチに「again」と言われ続けて「もう1回なんだな」っていうのを覚えた感じです。

最初に覚えた英語は？

──頑張ったけど、できてへんかったんや。自分で言う言葉は？
渡辺：友達に最初に教えてもらったのが「wet」。最初は発音が良すぎてわからなかったんですけど、ウエットティッシュって言うなと思ったんです。それで「濡れている」っていう意味だと教えてもらいました。友達に単語などを教えてもらって、ちょっとずつ話せるようになったんです。

──ごめんなさい。その「wet」を使う状況って…？氷が濡れているからってこと？
渡辺：いや、確か練習終わりで、自分が紙を濡らして、その状態を「wetって言うんだよ」みたいな感じで教えてもらったような感じです。

──特殊や。夏場とかに氷が溶けて、濡れてということでもなく。
渡辺：どういう状況だったか覚えてないんですけど、ティッシュを濡らしていたら「wet」って（笑）。

──確かに「wet」だもんね。お友達にはなんて呼ばれてたの？
渡辺：普通に「RINKA」って。Rなので舌を巻く感じです。

──難しいよね。Lでいうとリンカなのにね。
渡辺：Rなので。

──日本では難しい。
渡辺：Rの発音が難しい。girlはrとlが両方あるので難しくて。

──ちょっと言ってみて。
渡辺：嫌です（笑）

──なんで嫌なん？
渡辺：今でも苦手なんです。今でもできませんもん。

──じゃあ「日本から来ました渡辺倫果です」って英語で言って。
渡辺：Hello.I’m RINKA.I’m from JAPAN.

──めちゃめちゃ綺麗な英語やん。思っていた以上にうまい。「マイネーム イズ ケンジ・ミヤモト。アイ カム フロム ジャパン」ってなるんかなって思ったら、流暢な英語。カナダやとフランス語の人もいるでしょ？
渡辺：います。ケベック州から来た子とかもリンクにいたので。

──フランス語は教えてもらった？
渡辺：バレーとかのレッスンで使うバレー単語がフランス語で。それをちょっと教えてもらいました。「Merci」とか。

──お、上手！じゃあフランス語で自己紹介を。
渡辺：絶対できてないです。それはさすがにわからないです。

──ちなみにフランスに住んでたのでペラペラです。
渡辺：じゃあお願いします！

──今回はちょっと…倫果ちゃんのお話を聞くための回やから。
渡辺：でも学びたいので（笑）。

──Ca va？
渡辺：え？

──フランス語やん。
渡辺：どういう意味ですか。

──元気？
渡辺：…（何度かうなずく）

──俺が言っているから、ほんまかどうかわからないんでしょ？
渡辺：わからないです。

──それ、レッスン中もよく言われる。「先生、本気かどうかわからないです」って。「Ca va？」はちゃんとしたフランス語です。
渡辺：覚えました。

──「Ca va？」って言った後に肩をすくめればフランス人っぽくなる。どうぞ。
渡辺：いや、大丈夫です（笑）

恒例のかばんの中身チェック

かばんの中身チェック！！

持ち物1：パソコン＆ノート 

持ち物2：町田樹さん著の本＆ポーチ類

持ち物3：財布や消毒液など

持ち物4：携帯の音楽

倫果ちゃん試合前プレイリスト♪

──試合前に音楽を聞いたりするの？
渡辺：はい、がっつり。試合前はアップテンポなものや応援ソングみたいなものです。

──応援ソング。よく聞くのは？
渡辺：曲名がわからないんです。

──歌ってもらってもいいですか？
渡辺：いや、それは無理です（笑）

──わからんやん！
渡辺：歌だけはNGなんです（笑）。（プレイリストを見せて）ここらへんです。

──全然わからない…
渡辺：いい曲ばっかりです。

──アップテンポの曲を聞いて、（気持ちを）たかぶらせて、テンションをあげるんだ。
渡辺：はい。

持ち物5：お気に入りの写真

持ち物6：学生証

MFアカデミーの写真

──そのMFアカデミーの写真は？
渡辺：昔の写真です。

──誰？ちょっとカメラに向かって見せて。
渡辺：4〜5年前ぐらいの写真です。

──前だね。あんまりこだわった色はないんやね。
渡辺：特にないです。

──好きな色は？
渡辺：強いて言うなら紫です。

──紫はないやん。
渡辺：でも、ほとんどもらったものばかりなんです。財布もポーチも。

──もらったものを大事にしてるんや。誰にもらったの？
渡辺：赤いポーチは中庭（健介）先生にクリスマスプレゼントでいただきました。あとは、庄司理紗ちゃんやカナダの友達にクリスマスプレゼントでもらいました。ノートはファンの人にいただいたやつを使っています。

──大切に使っているんだよね。いいんじゃないですか。ありがとうございます。

文：J SPORTS編集部