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住吉&渡辺も高評価獲得!金メダルのイザボー・レヴィト「メダルとは、これまで続けてきたトレーニングの結果に過ぎません」 | ISU世界ジュニアフィギュアスケート選手権2022 女子シングル レビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部イザボー・レヴィト
少女らしい愛くるしさと、貴婦人のような上品さを併せ持つイザボー・レヴィト(アメリカ)が、質の高いプログラムを2本揃えた。文字通りパーフェクトな演技でフリースケーティング(FS)首位につけたジア・シン(韓国)を、総合でわずか0.54点ながら上回り、美しい金メダルを手に入れた。
「メダルとは、これまで続けてきたトレーニングの結果に過ぎません。今日の私はただプログラムに入り込み、音楽が鳴り終わるまで、エレメンツ1つひとつに集中し続けただけなのです」
ショートプログラム(SP)「The Swan」は、まさに白鳥そのものだった。柔らかい肢体で、リンクの上に滑らかな曲線を描き出し、優雅な笑みをたたえながら、足元では複雑なステップを踏んだ。時にはかすかに羽を震わせ、時には大空を悠々と舞い飛ぶ。
3回転フリップで「不明瞭なエッジ」の判定が取られ、「時間違反」で減点(マイナス1)が課されたが、それ以外はことごとく高評価を得た。すべてのスピンとステップでレベル4を並べ、極めて高い出来栄え点(GOE)がプラスされた。演技構成点(PCS)では、参加女子の中で唯一の8点台がついた。しかも5項目中3つも!
自己最高72.50点を記録し、SPを首位で折り返したレヴィトは、FS「Russian Dance」ではまた一味違う魅力を振りまいた。バイオリンの音色に乗り、凛々しく、大胆に舞った。最後は溌剌と高速リズムを刻み、ポジティブな感情を爆発させた。またプログラム後半には、他の誰よりも配点が高いコンビネーションを2つ組み込み(3F+3Lo、3Lz+1Eu+3S)、果敢に攻める姿勢も見せた。
ただSP同様、3回転フリップに「!」マークがついた。高得点を出したジュニアグランプリ・オーストリア大会に比べ前半のジャンプ難度を下げたこともあり(3Lz→3T)、パーソナルベスト更新はならなかったし、FSだけで見れば、134.05点とジア・シンに次ぐ2位の得点だった。それでも、どの瞬間を切り取っても美しいスピンは誰よりも高いGOEで絶賛され、やはり8点台が2つ並んだPCSは、他選手の追随を許さなかった。
総合では206.55点で逃げ切り、15歳のレヴィトが、2022年世界ジュニアチャンピオンの座についた。実に2008年以来となるアメリカ女子の戴冠。ちなみに14年前にレイチェル・フラットが金メダルを獲得したのは、レヴィトがちょうど1歳の誕生日を迎える2日前のことだ。
韓国女子にとっては、2006年キム・ヨナ優勝以来となる、16年ぶりの表彰台乗り。ただ後に五輪女王へと上り詰めるヨナは、その前年の2005年大会に、初出場14歳で銀メダルを手にしている。そして2022年、同じく初出場14歳のジア・シンは、SP・FSともに非の打ち所のないパフォーマンスでやはり銀メダルに輝いた。
すべてのジャンプを軽々と飛び上がり、柔らかく丁寧に着氷した。質の高いスピンもステップも、ことごとくGOEでたくさんの加点を得た。「ちょっとナーバスになっていました」と振り返ったSPでは、パーソナルベストを2.1点塗り替えるに留まった。各エレメンツを完璧に実現しただけでなく、その前後に複雑なつなぎを組み込むことで密度の濃いプログラムを作り上げたFSでは、なんと20.5点も自己ベストを更新してしまった!
可憐でありながら、力強さも秘めるイザボー・レヴィトとジア・シンが素晴らしい接戦を繰り広げたのと同時に、2人の母国、アメリカと韓国もまた2022年世界ジュニア女子を席巻した。
というのも古豪アメリカは3位リンジー・トルグレンと6位クレア・セオで、近年成長著しい韓国は4位アスン・ユンと5位セーヨン・ウィとで、上位を完全に独占してしまった。間違いなく世代交代の時期に差し掛かっているアメリカでは、来季早くも、レヴィトやトルグレンが全米トップ争いを繰り広げるのかもしれない。一方の韓国は、ほんの数歳上の先輩たちと共に、とてつもなくハイレベルな群雄割拠の時代に突入してしまいそうだ。
住吉りをん / 渡辺倫果
日本女子だって胸を張っていい。順位だけを見れば、たしかに、望んでいたような結果ではなかったかもしれない。ただアメリカや韓国、さらには欧州の選手たちが今季序盤からジュニアグランプリ等で国際大会に出場してきたのに対して、渡航制限で動けなかった日本の2選手には、圧倒的に経験が足りなかった。
それでも総合8位で終えた住吉りをんは4回転を飛んだし、10位渡辺倫果は3回転アクセルに挑んだ。いずれも回転不足があり(住吉は4分の1)、転倒もした。ただ、いずれのジャンプも、日本の2人が今大会唯一の挑戦者だったことも特筆しておきたい。
また渡辺がSP冒頭で決めた2回転アクセルは、SP・FSを通して、全参加者中最高のGOEを獲得した。住吉はその成熟した美しい表現力で、やはりSPでは全体で3番目に高いPCS得点を稼いだ。世界の大舞台で、それぞれの得意分野で、手応えある評価を勝ち取っている。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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