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フィギュア スケート コラム 2022年1月18日

ロシア勢が表彰台独占!堂々金メダルのワリエワ「ただこの先も練習に励んでいくだけ」 | ISU欧州フィギュアスケート選手権2022 女子シングル レビュー

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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ロシア勢が表彰台を独占

ロシア勢が表彰台を独占

すべては収まるべきところに収まった。ロシアの女子3人が、予測通りに、2022欧州選手権の表彰台を独占した。今季すでに歴代最高得点と3度塗り替えたカミラ・ワリエワが金メダルに、昨季世界チャンピオンのアンナ・シェルバコワが銀メダルに、そして男子顔負けの4回転ジャンパーであるアレクサンドラ・トゥルソワが銅メダルに。

最終結果だけを見れば、ロシア女子はまさに無双で無敵。来る北京五輪でも3つのメダルを楽々と持ち帰ってしまうような……そんな未来が見える。

ただし今大会、ティーンエイジャーの3人が、決して完全無欠ではないことも露呈した。今大会女子シングル最年少の15歳、ワリエワさえいくつかミスを犯した。もちろん、それでもなお、4回転を武器に持つ彼女たちは、他国に割り込む隙など与えてはくれなかったのだけれど。

ショートプログラム(SP)でのワリエワは完璧だった。冒頭の3回転アクセルを含むすべてのジャンプを美しく決めた。柔らかい肢体を存分に利用して、スピンもステップも当然のようにレベル4を並べた。出来栄え点(GOE)はどれもほぼ満点に近く(レイバックスピンは満点)、現構成の上限53.96点まで……わずかに2.23点足りないだけだった。演技構成点(PCS)でジャッジたちが10点満点を並べるのは、もはや見慣れた風景だ。ロシア杯で叩き出した得点を3.03点も上回り、新たなSP歴代最高記録を樹立した。

シニアとして初の国際選手権タイトルを目の前に、さすがのワリエワも、少しナーバスになったのだろうか。恐ろしく高速でリンクを駆け巡るフリースケーティング(FS)「ボレロ」では、2度、数字に響く失敗をした。3回転アクセルでは、綺麗に着氷するも直後にバランスを崩し転倒。4回転を含むコンビネーションジャンプにも乱れがあり、シークエンス扱い+3本目ノーバリューで4点近く失った。また身体がぐらついたコレオステップシークエンスは、いつもに比べれば、GOEが伸びなかった。

カミラ・ワリエワ

「今日はすべてが上手く行ったわけではありません。今大会のFSではもっと感情を込めようと試みたのですが、ある意味で、それがパフォーマンスの邪魔をしました。でも、たとえなにかが上手く行かなかったとしても、たとえ今日の氷がスリッピーだったとしても、ただこの先も練習に励んでいくだけです」

幸いにも、15歳が軽々と稼ぎ出す大量得点の前では、こんなものは些細なミスに過ぎなかった。自己の持つFS歴代最高185.29点に遠く及ばず、(たったの)168.61点しか取れなかったとしても、それでもなお他のあらゆる選手のパーソナルベストを軽々と上回る数字なのだ。合計では259.06点を記録し、ワリエワが文句なしの欧州選手権初優勝を果たした。8大会連続で、ロシアの女子選手が金に輝いた。

シェルバコワは厳しい局面に立たされた。SPでのジャンプ転倒でコンビネーションに2本目をつけられず、大きく失点。まさかの表彰台の下(4位)で、SPを折り返す羽目になった。そもそも現役世界チャンピオンであり、今季グランプリ大会2勝ながら、地元ロシアでは五輪代表として果たしてふさわしいのか……などという論調さえ巻き起こっていた。

しかしFSでのシェルバコワは、自らが驚異的な集中力と精神力の持ち主であることを、全世界に見せつけた。プライドか、反骨精神か。陰鬱で妖しげなFS「巨匠とマルガリータ」を、いつも以上に鬼気迫る表情で演じきった。冒頭の4回転フリップを含むすべてのエレメンツをノーミスでこなし、首位ワリエワに迫るFS168.37点さえ叩き出した。1日の終わりには2大会連続の銀メダルを手に入れ、自らが代表入りに相応しい選手であることを証明した。

「辛い1日でした。頭の中にいろいろな考えが渦巻いて、不安にも襲われました。最後はただ自分のできる事を披露しようと努力しました。そして、すべての終わりには、ポジティブな物事だけが残りました」

そして、いつものように、表彰台の3番目の場所にはトゥルソワの姿があった。昨季の世界選手権や一昨季グランプリファイナルに続いて、欧州選2大会連続の銅メダルを射止めた。

SPの3回転アクセルはどうしても成功させられぬままた。超絶難構成であるFSの4回転5本挑戦も、本番では4本しか飛べなかった。うち成功は2本だけ。1本は転倒+4分の1回転不足、もう1本は転倒+ダウングレードと、フラストレーションのたまる出来だった。しかしトゥルソワは、「3回転アクセルを拒むことは、私にとっては敗北」と、今後も一歩も後退しないことを宣言する。「得点や順位なんてどうでもいいんです。私にとって大切なのは、ノーミスで演技をやり切ること」と、あくまでジャンプ求道者としての態度を貫き通す。

終わってみればロシア女子による2大会連続の欧州表彰台独占だったが、SPでルナ・ヘンドリックスが2位に食い込んだことは、決して小さくないサプライズだった。

もちろんヘンドリックスは、グランプリ大会イタリア杯でも、シェルバコワを退けSP1位に立っている。伸びやかで成熟した技術・表現力に加え、自信を味方につけた22歳は、今大会SPでもノーミスの演技を実現。「スモール」メダルではあるけれど、銀色の栄誉を与えられた。

自他共に予想していたとおり、4回転を飛ぶロシア女子に、FSで逆転された。残念ながら2度の転倒もあり、自己最高位の欧州4位に、本人としても完全に満足することはできなかった。それでも人生2度目の五輪に向けて、大きな一歩を踏み出せた。

「良いFSが実現できていれば、4位で終えられたことをもっと喜べたはずなんです。あまりにもなーバスになりすぎました。でも、今後は、自分と自分のポテンシャルをもっともっと信じることができます」

なにより国内選手権の女子参戦はわずか2人だけ……という小国ベルギー出身のヘンドリックスが、恐ろしく層の厚いフィギュアスケート超大国をほんのわずかながらも揺るがしたことは、心からの称賛に値する。しかも自分より上の3人がロシアだったのだとしたら、自分よりも下の3人もまた、ロシア出身だった。

ロシア生まれのポーランド人エカテリーナ・クラコワは、人生2度目の欧州選で5位と躍進。特にFS「チャップリンメドレー」は、小さな喜びや希望の光がまるで目に見えるかのような優れた表現力で、心温まるストーリーを綴り上げた。モスクワっ子のアゼルバイジャン代表オリガ・ミクティナは2大会連続の6位に、2季前まではロシア所属・今季からジョージア所属のアナスタシア・グバノワは、所属国変更により手に入れた初の選手権大会を7位入賞で終えた。

文:J SPORTS編集部

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