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桁違いの高得点でネイサン・チェンが全米6連勝の快挙「今日は氷の上で、心の底から楽しめました」 | 全米フィギュアスケート選手権2022 男子シングルス レビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部ヴィンセント・ジョウ
FSは間違いなく逆転目指して臨んだ。今季前半のスケートアメリカで、ネイサンの3年半に渡る連勝街道をストップさせた自負がある。全要素の基礎点合計ではネイサンよりわずか2点下回るだけの、極めて難しいプログラム構成を組んだ。4回転は5本を入れた。無念にも3つのジャンプ要素でミスを犯し、野望は砕け散ってしまったのだけれど。
それでも勇壮なステップシークエンスでFS「臥虎藏龍」を締めくくり、ジョウは自身5度目の全米表彰台と、2度目の五輪代表入りをつかみとった。
4位ジェイソン・ブラウンもまた、8年ぶり2度目の五輪へと向かう。銅メダルにはたったの0.38点足りなかった。FS冒頭で挑み、転倒に終わった4回転サルコウを、3回転で無難にまとめていれば、もしかしたらもう少し得点は伸びていたのかもしれない。
フライト決行による陸路での長距離移動、さらにはFS直前のコーチのコロナウイルス陽性もあり、決して最高の状態で試合に挑めたわけではなかったはずだ。それでもブラウンの上質な技術力は、決して揺らぐことはなかった。4回転以外のあらゆるジャンプは美しく着氷した。複雑でありながら滑らかなステップシークエンスやコレオシークエンスは、SP・FSすべてで出来栄え点「満点」の評価を勝ち取った。演技構成点だけなら、当然のように全参加中で最高得点を叩き出した。2位チェン以下に約5.7点もの差をつけたほど。傑作中の傑作、SP「シマーマン」では音楽解釈で10点満点も得た。
とにかく好パフォーマンスが多く、たくさんの笑顔と感涙に彩られた大会となった。5位カムデン・プルキネンは、これまで安定させられなかった4回転をすべて成功させ、SP・FSとも演技終了直後にガッツポーズが飛び出した。ジミー・マはSPをクリーンに力強くこなして6位入賞。26歳にして、生まれて初めてのISU国際選手権(四大陸)への出場権を手に入れた。
人生3度目の、そしてアメリカのパスポートを手に入れてからは初めての全米選手権を戦ったヤロスラフ・パニオットは、FS演技中に右スケート靴に問題が発生し、無念にも途中棄権に追い込まれた。しかしSPではディスコミュージックで、FSではプレスリーメドレーで、アメリカの観客を大喜びさせた。
11年間キャリアを積み重ねてきたロシアから、今季アメリカに移籍した29歳アルトゥール・ドミトリエフは、11位で初の全米選手権を終えた。FSではジュニア時代、2018年ロシア杯に続き自身3度目の4回転アクセルにもトライ。回転不足を取られ、片手もついたが、3年前のダウングレード+転倒に比べれば一歩前進と言えるのかもしれない。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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