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フィギュア スケート コラム 2021年12月31日

世界チャンピオンが母国で実力を証明。アナスタシア・ミーシナ&アレクサンドル・ガリャモフ組がナショナルチャンピオンの称号を射止めた。| ロシアフィギュアスケート選手権2022 カップル競技 レビュー

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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アナスタシア・ミーシナ&アレクサンドル・ガリャモフ組

アナスタシア・ミーシナ&アレクサンドル・ガリャモフ組

ペア

世界チャンピオンが母国で実力の証明を果たした。3月のストックホルムでペアとしては45年ぶりの世界選手権初出場・初優勝をさらった20歳アナスタシア・ミーシナ&22歳アレクサンドル・ガリャモフ組が、12月のサンクトペテルブルクで初めてナショナルチャンピオンの称号を射止めた。シニア転向以来2度目、2人で組んでから5度目、ミーシナにとっては6度目の挑戦だった。

「私達には成績を出す責任がありましたし、どんな小さなミスでさえも成績に影響すると分かっていたんです」(ミーシナ)

こう記者会見で振り返った通り、2人の両肩にかかる重圧は決して小さくはなかった。それでも「成績のことは考えず、自分たちのベストを尽くすことだけに集中した」。ショートプログラム(SP)でもフリースケーティング(FS)でもほぼパーフェクトな演技を実現させた。極めて難度の高いソロジャンプやスロージャンプを楽々とこなし、全てのエレメンツでレベル4+高い出来栄え点の評価。演技構成点もパフォーマンスや音楽解釈に10点満点をつけるジャッジが続出したほど。

民族音楽をモチーフにしたスヴィリードフ作曲のFS「吹雪/時よ、前進!」で、ロシア市民は郷愁と胸の高鳴りを覚えたに違いない。2人の練習拠点でもあるサンクトペテルブルクの観客は、スタンディングオベーションで若きペアの熱演を称えた。

同じリンクで、同じコーチの下で練習を積む19歳アレクサンドラ・ボイコワ&22歳ドミトリー・コズロフスキー組もまた、完璧なプログラムを2本揃えた。なによりSP「白鳥の湖(ブラックスワン)」は高貴に、FS「マラゲーニャ」は熱っぽく、見る者を物語の世界へと引きずり込んだ。

2シーズン前には国内選制覇や欧州選優勝を含む快進撃を見せた2人。しかしコズロフスキーのコロナ罹患や、成長期ボイコワのジャンプ苦戦で、長らく思うような滑りが出来ずにきた。演技後に見せたガッツポーズと感激の涙は、きっと辛かった日々の終わりを意味する。

「パートナーが誇らしいし、彼女もきっと僕を誇りに思ってくれているはず。これは苦難を乗り越えてきた僕らにとっての勝利です」(コズロフスキー)

12チームがハイレベルな戦いを繰り広げ、ペア大国ロシアは層の厚さを改めて思い知らせた。若き2組が上位2席を占め、今季ジュニアグランプリシリーズ表彰台をほぼ独占したジュニア4組を含む、新世代が群雄割拠する。創造性豊かな18歳ダリア・パブリュチェンコ&22歳デニス・ホディキン(4位)のFS「ブラックスワン」は、ボイコワ&コズロフスキーの同曲とはまた違う傑作に仕上がった。16歳ユリア・アルチェミエワ&20歳ミハイル・ナザリチェフ(5位)は、華やかで、独特の存在感を醸し出した。

そんな中で、すでにベテランの域に達した27歳エフゲーニヤ・タラソワ&29歳ウラジーミル・モロゾフが確かな実力と長い経験、そして今季から師事するエテリ・トゥトベリーゼから得た新しいインスピレーションを武器に、3位の座に食い込んだ。8年連続の表彰台。静かに流れる水のような、美しい大人のプログラム2本を揃えて。

アレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組

アレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組

アイスダンス

ヴィクトリヤ・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ組のリズムダンス(RD)は、まさにキレッキレだった。激しく踊りまくりながらも、高速かつ滑らか。技術点では当然のようにレベル4がずらりと並び、最終盤の2要素では出来栄え点でも満点がついた。演技構成点では全5項目中、パフォーマンス、構成、音楽解釈の3項目で10点満点。現役世界チャンピオンは、にこやかに、とてつもないパフォーマンスを繰り出した。

残念ながら翌日のフリーダンス(FD)に、2人の姿はなかった。午前中の練習中に、カツァラポフがかつて痛めた背中に違和感を覚えたという。「ここで無理して3週間ダウンするより、万全な体制で五輪に迎えたい」と苦渋の決断。2年連続での国内選手権棄権となった。

昨大会に続き表彰台の頂点に立ったのはアレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン組。もちろん実力通りの結果ではある。ただしシーズン序盤に2人は揃ってコロナウイルスに罹患し、体力が落ち、準備も遅れた。なんとか間に合わせたグランプリシリーズでは、得点の伸び悩みに苦しんだ。

だからこそステパノワ&ブキンは急遽ニコライ・モロゾフをコーチ陣に迎え入れ、今大会に向けプログラムの修正に取り組んだ。こうして磨き上げられたのがFD「ロミオとジュリエット」。現代的で大胆かつ繊細な構成に、音楽解釈では10点満点の評価。なにより会場全体に鳴り響いた喝采が、2人に強い喜びと確信を与えた。

「あれほどの歓声を聞いたのはずいぶん久しぶり。自分たちは勝ったのだと実感させてくれたのは、間違いなく観客のみなさんです」(ステパノワ)

一方で過去2年連続で国内選表彰台に乗ってきたティファニー・ザゴルスキー&ジョナサン・ゲレイロは、実力通りの演技は不可能だった。ザゴルスキーのウイルス性髄膜炎で調整が遅れ、2人にとって今大会がシーズン初試合。それれもRDはさすがのキレのある演技で、4位に食い込んだ。

しかしFDは滑り込み自体が足りなかったせいもあり、序盤からミスが目立った。さらに演技後半にはザゴルスキーが膝から崩れ落ちる場面も。それでも、コーチから「体力的に無理になったら止めなさい」と言われていたにも関わらず、ザゴルスキーは最後まで滑りきった。ゲレイロもまた、パートナーを文字通りその腕で支え続けた。結果は8位陥落。

「ティファニーは英雄です。辞める選択肢だってありました。でも僕たちは五輪行きの切符のために戦いたかった。だから氷に出ていった瞬間、最後まで滑り切る覚悟を決めました」(ゲレイロ)

代わりに若き2組が表彰台に駆け上がった。RDではシニツィナ&カツァラポフ組と並び唯一、パターンダンスでYYYYが4つ並ぶレベル4の評価を得たディアナ・デイヴィス&グレブ・スモルキン組が、FDでも成熟した技術力を発揮。今季シニア転向したばかりの18歳と22歳の初出場カップルが、一気に銀メダルに輝いた。女子シングル界の重鎮エテリ・トゥトベリーゼの愛娘と、ロシア功労芸術家の称号を持つ俳優ボリスの息子は、これからきっとディアナとグレブとして名を挙げていくに違いない。

3位にはエリザヴェータ・クダイベルディエワ&エゴール・バジンが、RD6位からジャンプアップした。世界ジュニア選手権で銀メダルを持ち帰った19歳クダイベルディエワと、国内選銅メダル経験を持つ26歳バジンという実力者が、新たにカップルを結成して2シーズン目。「ようやく2人が互いに感じられるようになったんです」との手応えは、確かな成果につながった。それにしてもRDは能天気なほど楽しく弾け、FDはクダイベルディエワが思わず感極まって涙ぐんでしまったほど深く感傷的なストーリーを紡ぎ出す。今後も個性的なプログラム作りに期待できそうだ。

またRDをメダル圏内で折り返したアナベリ・モロゾワ&アンドレイ・バギンは、わずか0.1点差で4位。5位から7位まではここ数年の世界ジュニアメダリストのカップルが続いた。2022年北京五輪のその先の、2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪に向けたロシア国内での戦いは、すでに始まっている。

文:J SPORTS編集部

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