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田村岳斗コーチ20/21シーズン振り返りインタビュー ~コロナ禍で迎えたアカデミーヘッドコーチ1年目のシーズン~
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部J SPORTS恒例田村岳斗コーチ(木下アカデミーヘッドコーチ)によるシーズンプレイバック。異例中の異例、コロナ禍の2020-21フィギュアスケート・シーズン、世界選手権の話を中心にさまざまな角度から振り返っていただきます。
コロナ禍で迎えたアカデミーヘッドコーチ1年目のシーズン
田村岳斗(木下スケ−トアカデミー ヘッドコーチ)
Q:世界選手権の話を聞く前に、アイスダンスの村元・高橋組のお話をお伺いします。
J SPORTSの「KENJIの部屋」に2人が出演。田村コーチの名前も出ていましたが、2人の結成を間近で見てきた田村コーチから見た2人の今シーズンの演技をどのように見ていましたか?
田村:NHK杯で2人がリンクに立った瞬間、親心というか心配しかありませんでした。同じフィギュアスケート競技であっても、カップル競技、特にアイスダンスはシングルとはまったく別もの。必要な技術も異なりますから。「本当にこんな短期間でアイスダンスできるの?」「リフト大丈夫?」そんな感じで見ていました。試合前、緊張しているだろうと「今の心境は?」「見どころは?」とか、ちょっとふざけたインタビュー動画を撮ってリラックスしてもらおうと思いました。もしかしたらそれが演技に影響したのかもしれません。今この場で「すみません」とあやまっておきます。NHK杯はリンクサイドのコーナーで見ていたのですが、高橋選手にはハラハラドキドキの連続。全日本の時は、公式練習で村元選手が膝にケガを負いながらの演技になってしまい、これもハラハラドキドキで、2人とも本当に心配させてくれます(笑)。それでも初シーズンながらなんとか乗り切ってくれました。組んでからの時間が短い分、試合に出場する中で成長したかったと思います。いくつかの試合が中止になったというのは2人にとって不運でした。でも、2人のおかげでアイスダンスの注目度は確実に上がりましたし、日本にも強いライバルがいることも改めて感じたはずです。まだまだこれからの2人ですが、あまり僕を心配させない演技を見せて欲しいですね(笑)。
Q:ここからは木下アカデミーのヘッドコーチとしてのお話をお伺いします。今シーズン、試合がなくなったり、無観客試合になったりの連続でしたが、選手やコーチにはなにか影響がありましたか?
田村:無観客試合の会場は、僕らにしてみれば昔のフィギュアスケート人気に戻ったぐらいの感覚です(笑)。今のフィギュアスケートブーム真っ只中の選手からすれば少しさみしくは感じたでしょう。中止になるかもと思いつつも試合が予定されている以上、しっかりと準備していくだけでした。
Q:選手にとっても難しいシーズンでしたが、木下アカデミーの選手が各年代で好成績を残しました。特に女子ノービスAで優勝、準優勝を含め多数の選手が入賞しました。
田村:全日本ノービスで島田麻央は高い得点(108.42)で優勝しました。ミスはありましたがこれだけの高い点が出て、推薦出場の全日本ジュニアでも3位に入りました。今年もまだノービスですので、自分のスコアが目標の1つになります。柴山歩は全日本ノービスで自分の最高得点を出さなければ表彰台はないという状況でしっかりと結果を出してくれました。あの状況でよくやってくれました。いちばんシビレた瞬間でした。全日本ジュニアでも4位に入り、手応えを感じたと思います。全日本ノービスで4位になった櫛田育良は将来的にペアの選手を目指しているのですが、100点超えのスコアと成績にはびっくりしました。高橋大輔選手もそうですが、シングルでもしっかりと結果を出せる選手が出てくることで、カップル競技の選手層の厚さにもつながっていくと思います。全日本ノービスでは5位の大門桜子は、たった1つの順位差で全日本ジュニア推薦出場を逃してしまいました。それでも他の選手たちを笑顔で祝福している姿があり、その立ちふるまいに感心しました。悔しくないわけがない。もし僕が同じ状況だったら、彼女のような態度は取れなかったと思います。周囲への気遣いを見て、僕も見習わなければいけないなと思いました。村上遥奈は、緊張からかエレメンツと関係ないところで転んで、一瞬戸惑って動きが止まってしまいスコアは伸びませんでした。予想外のことが起こっても、その後に影響しないような、強い精神力を付けなければいけないと思いました。
Q:全日本ジュニアでも男子で本田ルーカス剛史選手が優勝。女子は吉田陽菜選手が2位に入りました。
田村:本田のNHK杯、全日本ジュニアの成績には満足しています。ただ、彼はケガが多く、もっと上の成績を出すには一から体作りを見直す必要があります。
2位になった吉田陽菜は、フリーで素晴らしいトリプルアクセルを跳んでくれて、とても気持ちよかったですね。試合前からいい状態でアクセル以外の部分でもしっかりやってくれました。彼女はアクセルも持っていますし、4回転も跳べる能力は十分あると思います。
Q:シニアのカテゴリーでは河辺愛菜選手はNHK杯、全日本ともに6位。特に全日本では高いスコア(201.58)が出ました。
選手の様子が気になってこっそり覗く田村コーチ
田村:200点を超えたスコアはとても嬉しかったです。来シーズンは全日本で、ショートプログラムで6位以内に入った上で、フリーを最終組で滑って欲しいです。日本の女子の最終組は世界的にも実績のある選手ばかりですから、そこで雰囲気を感じて欲しい。それが次のステップにつながると考えています。
Q:シーズンを終えて、現在はどのような状況ですか?
田村コーチの怪しげな動きに生徒たちが集まってしまいました(笑)
田村:今は4月24日、25日に木下アカデミー京都アイスアリーナで行われる※ブルーム・オン・アイスの準備をしている最中です。今季は無観客だった試合も多かったのですが、今回は観客を入れてのショーになります。アカデミーは若い選手が多く、アイスショー慣れしていないので不安もありますが、各年代の全国大会でしっかりと結果を出している選手たちです。これから世界に羽ばたく選手たちが一生懸命がんばっている姿を多くの人に見て欲しいと思っています。
文:J SPORTS 編集部
BLOOM ON ICE
BLOOM ON ICE
木下スケートアカデミー創立1周年を記念して作られたアイスショー。今回が第1回となる。会場は木下アカデミー京都アイスアリーナ。詳しくはこちら。
田村岳斗(木下スケ−トアカデミー ヘッドコーチ)
プロフィール
田村岳斗(たむらやまと)
1998年長野オリンピック男子日本代表として出場。全日本選手権2回優勝。世界選手権4度出場。現役引退後は濱田美栄コーチの元でコーチに転身。現在濱田美栄コーチがGMを務める木下アカデミーのヘッドコーチとして次世代のメダリスト育成に務めている。
木下スケートアカデミー
J SPORTS 編集部
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