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フィギュア スケート コラム 2021年1月19日

【レビュー:全米フィギュアスケート選手権2021 アイスダンス・ペア】コロナ禍に訪れた、美しく、贅沢で、至福のひととき。ハイレベルな争いに世界が熱狂!

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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全米選手権2021 アイスダンス 表彰式

全米選手権2021 アイスダンス 表彰式

アイスダンス

まるで世界選手権やグランプリファイナルの表彰台争いを見ているかのような、贅沢で、至福のひととき。ハッベル/ダナヒュー組とチョック/ベイツ組という世界でもトップクラスの2組が、氷上で個性を競い合い、接戦の果てになんと9年連続で全米選手権のメダルを分け合った(前者は10年連続表彰台)。

「国内選であれ他の大会であれ、いつだってお互いが手ごわい敵だということはよく分かっています。去年は私たちが彼らを祝福し、今年は彼らが私たちを祝福する番でした。このライバル関係は引退するまで続くのでしょうね」(ハッベル)

1位 マディソン・ハッベル/ザカリー・ダナヒュー
RD2位89.66 FD1位134.90 トータル224.56

ダイナミックで、パワフルで。RD「バーレスク」では身体ポテンシャルの高い2人が、持ち味をたっぷりと披露した。しかも10月末スケートアメリカと比べても、題材にふさわしく、セクシーさも大幅UP。ハッベルの黒いシースルー衣装にはドキドキだ。

また「今大会はスケーティングの質を見せられたと思います」とハッベルが語るように、TESもPCSも1つを除いてすべてほぼ最高レベルを得た。その例外というのが課題のフィンステップで、スケートアメリカではレベル4+オールYだった評価が、レベル3+YTYYに下がったことで点数に響いた。チョック/ベイツ組との差はわずか0.44ptながら、2位でRDを折り返した。

FD「ハレルヤ」は、2020年初頭から世界中を覆い尽くしている重苦しい空気を、まるで浄化するような作品に仕上がった。プログラム冒頭のコレオグラフィックキャラクターステップシークエンスで、見る者は静寂な世界に一気に吸い込まれる(レベル4、しかもGOE+5の満点!)。さらに珠玉なのは、シンクロもスピードも見事すぎる後半のツイズル。回転のたびに、感情さえクレシェンドしていく。

「今年は一生懸命練習を積み、たくさんの苦労を重ねてきました。でも私達にとっては本当に生産的な年でもありました」(ハッベル)

そしてFDではチョック/ベイツ組を2.07pt、トータルでは1.63ptの僅差で上回り、ハッベル/ダナヒュー組が2年ぶり3度目の全米トップに返り咲いた。昨季も基礎点の変更が行われたため、単純には比較できないが、FDとトータルは全米選手権における歴代最高得点だった。

ところで長年の良きライバルの2組、昨季まで全米優勝回数は2-2で引き分けていたが、これにてハッベル/ダナヒュー組が3回と1つリード。引退のその時まで――2人は2022年北京五輪を最終目標に掲げているから、もしかしたら全米対決は残すは1回かもしれない――、両カップルの素敵な接戦は続く。

2位 マディソン・チョック/エヴァン・ベイツ
RD1位90.10 FD2位132.83 トータル222.93

フランスやカナダ、特に世界チャンピオンのパパダキス/シゼロン組が今季はいまだ公式戦に参加できていない現状を見ると、2人が今季初めての大会参戦を無事に終えられたことは本当に幸いだし、2人の演技を見られた我々だって幸せだ。文字通り「シャンパンの泡が弾けるような」フィンステップも、エキゾチックな妖艶さムンムンのFD「エジプシャン・スネーク・ダンス」も、もちろんハッベル/ダナヒュー組とのハイレベルな接戦も、すべてが尊かった。

正確な足元、計算されつくした丁寧で滑らかな動き、そして磁石のように自然に引きつけ合う2人の距離感。ほぼ非の打ち所のなかった今大会で、唯一の問題はFDのシンクロナイズド・ツイズルでベイツが、軽くバランスを崩したこと。本人曰く「今思い返してみてもなにが起こったのか分からない」そうだが、同エレメンツでハッベル/ダナヒュー組に2.62pt差をつけられた。ほんの小さなミスが、つまり2つのカップルの順位に大きく影響した。

「でも言わせてほしいのは、あなたを最高に誇りに思っていること。だって今大会にたどり着くまでの道が簡単ではなかったことを、私は知っていますから。私たちは本当に素晴らしい仕事を成し遂げました」(チョック)

9年連続の表彰台に、人生6度目の全米シルバーメダル。もしも3月末に世界選手権が予定通り開催されたなら、5年ぶり3度目の表彰台も十分に射程圏内だ。

3位 ケイトリン・ホワイエク/ジャン=リュック・ベイカー
4位 キャロライン・グリーン/マイケル・パーソンズ

メダルの色は3年連続で変わらなかったが、ホワイエク/ベイカー組はスケーターとしての挑戦を成功させた。RD「サタデーナイトフィーバー」でいつもの通りファンに楽しい時間をくれた後、FD「ハート・オブ・グラス」では自分たちと深く向き合った。去年までの「特定のキャラクターを作り上げる」作業を止め、今年の2人は「自分たちの内側から湧き上がるなにか」を表現することにこだわったそうだ。つまり自らの分身とも言える作品を、「本当にやりがいがあった」と語るプログラム構築作業を、スコアという目に見える形で評価してもらえたのは大きな成果に違いない。FD127.27ptは、2年前の全米で出した最高スコアを7点近く上回る。

結成2年目のグリーン/パーソンズは、それぞれ前パートナーと全米ジュニア金メダルの経験はあるが、シニアとしては初めての全米表彰台。連携面ではまだまだ進化の途中だが、個々の技術力はすでにトップレベル。RDのフィンステップではチョック/ベイツ組と並び「YYYY」の最高評価さえ得た。

それにしても、さすが世界屈指のアイスダンス強豪国アメリカ。表彰台に乗らなかったカップルたちの演技も、いずれも負けず劣らず楽しいのだ。全米シニアデビューのセザネク/イェホロフ組の一体感に感心したり、いまだ結成7カ月マクナマラ/スピリドノフのポジションの綺麗さを堪能したりと、それこそ見どころはもりだくさんであった。

全米選手権2021 ペア 表彰式

全米選手権2021 ペア 表彰式

ペア

1位 アレクサ・シメカ・ケネリム/ブランドン・フレイジャー
SP1位77.46 FS1位150.64 トータル228.10

結成10カ月目の2人が、またたく間に全米トップペアの座に駆け上がった。夫クリスと一緒にすでに3度の全米タイトルを獲得してきたケネリムにとっては4度目の、幼馴染のヘイブン・デニーと頂点に上り詰めたフレイジャーにとっては2度目の、そして新しいパートナーと手にした初めての、金色のメダルだった。

スケートアメリカ優勝で早くも成功への第一歩を踏み出していた2人は、さらにペアとしての完成度を上げてきた。高くスムーズなツイスト、安定感のあるスロージャンプ。サイド・バイ・サイドは微妙なタイミングのズレこそあったが、ジャンプ自体は両者ともに危なげなし。たとえばケネリム夫妻組はソロジャンプが鬼門と言われてきたが、今大会の新ペアに技術的な穴はなかった。

単なる「実力者同士」や「相性の良さ」という言葉だけで、快挙の理由を結論づけてはならない。「とてもハードに練習してきました。ここに来るために私たちがどれほど練習してきたのか、言葉では表現できないほどです」とケネリムが語るように、れは2人の強い意志とプロフェッショナリスムの賜物に違いないのだ。

SP、FSともにペアの歴代大会最高得点をマークし、当然トータルでもケネリムが1年前に夫婦で記録した216.15ptを大きく塗り替える228.10pt。キスクラで笑いが止まらないのも当然だろう。

もちろん同スコアも、特殊な条件下で行われた今季のスケートアメリカのスコアも、あくまで参考記録扱い。いまだISU国際スケート連盟公認の国際大会の出場機会がない新ペアは、世界選手権の出場基準となるミニマムスコアを有していない。2位ペアと共に、3月末開催ストックホルム大会の代表に選ばれたが、まずはISUによる特別ルールが発動が待たれる。

2位 ジェシカ・キャララン/ブライアン・ジョンソン
3位 アシュリー・ケイン/ティモシー・ルデュク
4位 オードリー・ルゥ/ミーシャ・ミトロファノフ

2年連続の銀メダルで終えたキャララン/ジョンソン組は、少し後悔の残る大会となった。サイド・バイ・サイドジャンプで毎回ミスがあり、FS最後のリフトではひやりとさせられる場面も。ただし高く華やかなツイストはSP、FSともに文字通りパーフェクトなレベル4+GOE満点。また印象的なデススパイラルは、今大会で唯一、2本ともにレベル4に認定された。「地元に帰って、次のシーズンに向けて練習再開!」とキャラランは語ったが、その前に、予定通りに開催されれば、初めての世界選手権行きを控えている。

SPは不完全燃焼の演技で4位に甘んじたケイン/ルデュク組。FSでも転倒や着氷の乱れはあったもの、そんなミスなど忘れさせるほどの、心を引きつける演技を見せてくれた。「私たちにとっては大きな勝利」とのケインの言葉通り、本人たちとしてもガッツポーズの飛び出す納得の演技。FS2位、トータル3位で5年連続の全米表彰台乗りを成功させた。

そして2018年全米ジュニアチャンピオンのルゥ/ミトロファノフ組が、3度目のシニア挑戦で初めてのメダルを手に入れた。確かな技術力に裏打ちされた、フレッシュでチャーミングな18歳と23歳。次なる目標は、もちろんアメリカを背負う代表ペアとして世界の舞台に立つことだ。

文:J SPORTS編集部

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