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【プレビュー:全米フィギュアスケート選手権2021 男子シングル】5連覇の快挙に挑むネイサン・チェン。ブラウンとジョウはどの色のメダルを手にするのか。
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部ネイサン・チェン
今年2021年はUSフィギュアスケーティング、つまり全米フィギュアスケート連盟の設立100周年にあたる。この記念すべき年に、最も期待されるのは、やはりネイサン・チェンによる全米選手権5連覇だろう。もしも達成されれば、シングルでは2002年ミシェル・クワン以来の、男子シングルでは1950年ディック・バトン以来の快挙となる。
新型コロナウイルス禍の中で、もちろん、いつなにが起こるか誰にもわからない。ただすべてが予定通りに進行されれば、チェンの5度目の全米獲りを阻むものなどほとんどないはずだ。なにしろ2018年世界選手権から11大会連続負け無しで(団体戦を除く)、プログラムを落としたことさえ、2018年フランス杯SP3位以降一度たりともない。
すると注目は3点に絞られる。1つ目はやはり、どんなジャンプ構成で臨むのか。本人のコメントによると、圧倒的な優勝を飾ったスケートアメリカの時と、ほぼ同じ構成で全米選手権を戦うとのこと。ちなみにスケートアメリカでは、SPでは4回転は4T+3Tと4Fの2本。またFSでは4F+3T、4S、4T+1E+3F、4T+3Tとの構成を予定したが、本番で4Sは2Sとなった。4回転ループは練習での成功率が低いため、今回も飛ばない方針のようだ。またコレオステップの時間を少し延ばした、とも発言している。
2つ目の注目点は、どこまでスコアが伸びるか。現在SPの歴代最高得点は羽生結弦が2020年四大陸選手権で記録した111.82で、FSはチェンが2019年グランプリファイナルで出した224.92。トータルスコア335.30もまた、同大会でチェンが叩き出したものだ。また今季に限って言えば、全日本選手権で羽生結弦がマークしたFS215.93とトータル319.36が最高得点となる。もちろん国内選手権のスコアはあくまで「参考記録」にすぎない。それでも同じ大会での直接対決が難しい上に、試合数の少ない今季だからこそ、貴重な判断材料となるはずだ。
そして3つ目は..やっぱりコスチューム!ネイサンの衣装と言えば、近年はやたらと不思議度が高い。しかもシーズン中に衣装が何度かバージョンアップを遂げたりもする。ただ10月末のスケートアメリカではSP「アストゥリアス」では珍しく白シャツ+黒ジャケット姿で登場し、FS「メタモルフォシスII」はマオカラーの青シャツだった。今季はこのまま極めてシンプルな衣装で突き進むのだろうか?それとも文字通りメタモルフォシス(変身)するだろうか。
ジェイソン・ブラウンとヴィンセント・ジョウが、果たして銀・銅・錫のどの色に収まるのかは、文字通り本番のお楽しみ。
2015年全米王者のブラウンにとっては、実に11ヶ月ぶりの競技会となる。グランプリシリーズは練習拠点のカナダ大会にアサインしたが、中止に追い込まれた。新型コロナ禍で先の見えない日々に心身ともに疲れ、12月には「練習をしたくない」と生まれて初めて思うほどに追い詰められたという。全米出場という希望が、全米という大きな目標へ向けてのトレーニングが、心のリハビリになったに違いない。
昨四大陸選手権の銀メダル獲得で再証明した通り、4回転など飛ばずとも、ブラウンは世界トップクラスのスケーターだ。その秀でたスケーティング能力と優れた芸術性は、むしろスケート界の至宝とも言える。だからこそ今季の新プログラム初披露が待ち遠しい。たしかに9月末にバーチャル大会のIPSポイントチャレンジに参加しているが、あまりに遠くからの撮影で、逆にお預けをくらった気分になったファンの方が多かったようだ。曲目はSP「シナーマン」とFS「10番街の殺人」。疾走感あふれるかっこいい作品に仕上がっている。
昨シーズン中の悩める日々から、昨全米で完全に吹っ切れたのはジョウだった。2017年世界ジュニア王者にして2019年世界選手権3位の実力者は、1年前の錫メダル=4位こそが「キャリア最大の勝利」とさえ語る。さらに今大会直前には、北京五輪メダルを目指すと高らかに宣言。
つまりジョウにとって、この全米こそが目的達成への第一歩となる。だからジャンプでも、表現力でも、積極的に攻める。スケートアメリカではSPとFS合わせて5本の4回転を組み込み、フリーで2本の回転不足(うち1本は転倒)も取られたが、4回転ルッツ+3回転トーループの大技は見事に決めた。SP「ヴィンセント」は柔らかく情熱的で、一方ミーシャ・ジーの振り付けたFS「アルゴリズム」は、前衛的で刺激的。新しいヴィンスの世界の広がりを感じられるはずだ。
もちろん一昨年4位、昨年3位と全米のステップを着実に上がってきた樋渡知樹が、もう1つ上の段に飛び乗る可能性だってある。ジュニアとしては世界の頂点に立った(2019年)。バレエジャンプやクリムキンイーグルを使いこなす技巧派の、さらなるブレイクスルーの機会が待たれる。
ところで4位の選手までメダルをもらえるのが全米選手権の特色だが、日本ならこの場合はきっと5番目まで表彰するだろう。そして「五金」と言えば金・銀・銅・錫・鉄。つまり轍メダル候補には全米ジュニア歴代王者のアレクセイ・クラスノジョン、カムデン・プルキネン、マキシム・ナウモフ等々が挙げられるだろうか。ウクライナチャンピオンなら経験のあるヤロスラフ・パニオットも、人生2度目の全米選手権にやって来る。残念ながら昨大会5位アンドリュー・トルガシェフは、怪我や練習環境の変更による準備不足を理由に欠場を選んだ。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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