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【プレビュー:全米フィギュアスケート選手権2021 ペア・アイスダンス】コロナ禍で迎える新しい時代のはじまり。選手たちが織りなす珠玉の演技に酔いしれたい。
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部前回大会で表彰台に上ったアイスダンスの選手たち
フィギュアスケートの全米ナンバーワンを決める戦いが、1月14日から4日間に渡って、「バブル」の中で行われる。
本来であれば2021年全米フィギュアスケート選手権は、カリフォルニア州サンノゼで開催される予定だった。ただし万全を期した新型コロナウイルス感染防止対策のため、会場はネバダ州ラスベガスのオーリンズアリーナに変更。そう、10月下旬にGPシリーズのスケートアメリカが執り行われた会場であり、ここなら競技会場と隣接のホテルとをひとつの大きな泡に閉じ込めることが可能となるからだ。
今回も選手や関係者はCOVID−19検査を経て一旦バブルの中に入ると、会期中は外界との接触を一切遮断して競技会に挑む。スケーター1人/カップル1組につき帯同が許されるコーチは1人だけ。家族の同伴さえ不可で、もちろん観客の入場も許されない。代わりにファンや家族やペットの顔写真付きカードボードが客席にずらりと並び、静かな、しかし熱い応援の念を送る。
◎ペア:新しい時代の始まり
アメリカ国内のペア勢力図は、まさに書き換えられている最中だ。2020年に3つの実力派ペアが解散したせいでもある。2月にはアレクサ・クニエリム/クリス・クニエリム組が、3月にはヘイヴン・デニー/ブランドン・フレイジャー組が、そして12月には元四大陸金メダルのタラ・ケイン/ダニエル・オシェイ組が。
残念な知らせだったが、これは新しい物語の前触れでもあった。4月1日にアレクサ・クニエリム/ブランドン・フレイジャー組の結成が発表されたのだ(もちろんクニエリム夫婦は相変わらずラブラブで、夫クリスは現役を引退し、妻アレクサをコーチとして支えている)。新型コロナウイルス禍にも負けず、練習を重ねてきた2人は、デビュー戦となるスケートアメリカで見事に優勝。たしかに今シーズンのグランプリシリーズは特殊な仕様ではあったが、2人にとっては、前パートナー時代を通しても初めてのGPタイトルとなった。
一方で全米トップの座ならクニエリムは3度、フレイジャーは1度、前パートナーと共に射止めてきた。つまり見慣れた顔の、しかし新しい全米ペア王者が誕生するのかもしれない。とにかく「すぐに互いの信頼とコンビネーションを築き上げることが出来た」とクニエリムが語ったように、10月末の時点ですでにダイナミックなスロージャンプや高いツイスト、さらには安定感たっぷりでなめらかなリフト動作は披露ずみ。あれから2ヶ月半。きっと新生カップルはさらなる進化を遂げているはず。
2年前の全米王者アシュリー・ケイン/ティモシー・ルデュクは、自分たちこそがこの国で「最も強い」ペアであることを再証明したいと誓っている。長身の2人が作り上げる世界観は、スタイリッシュで時にユニセックスなコスチュームも含めて、極めて独創的。たとえば今季のフリーの楽曲は、多くのチャンピオンたちを輝かせてきたラフマニノフの「ピアノ・コンチェルト第2番」だけれど、「先人にオマージュを捧げつつ、自分たちのスタイルも付け加えたい」と語る。
昨シーズンから本番でスロージャンプでのミスが続いているせいか、今全米直前、ケインは自身のInstagramにスロー練習動画を投稿している。もちろん着氷は成功。いいイメージを持って大会入りできそうだ。
ただし近頃もっとも気になるのは、やはりジェシカ・カララン/ブライアン・ジョンソン組だろう。昨全米では2位に飛び込み、2人にとって初めてのシニア国際チャンピオンシップに出場(四大陸4位)。クニエリム組の解散発表により、3月の世界選手権行きの切符さえつかんだ。ご存知の通り直前に開催中止に追い込まれてしまったが……。
結成3シーズン目の今季も、レベルアップは止まらない。9月に行われたISPポイントチャレンジ(バーチャル競技会)では上記2ペアを退け堂々と優勝を飾り、スケートアメリカでも2位に食い込んだ。ますます進化したスピードあるリフトや、つなぎに工夫が散りばめられたペアエレメンツ、なにより優雅で気品ある動作。今大会でも画面の前のファンを魅了してくれることだろう。
スケートアメリカ3位のオードリー・ルー/ミーシャ・ミトロファノフ組や、かつて高橋成美とともに世界選銅メダルを獲得したマーヴィン・トランとオリヴィア・セラフィニのペアにも注目したい。また過去幾度となく全米表彰台に上ってきたソチ五輪代表ネイサン・バーソロメイが、いよいよ新パートナーのケイティ・マクビースとの(バーチャルではない)初めての公式戦に臨む。
アイスダンス:世界トップたちと共に贅沢なひとときを
世界各地でフィギュアスケート大会の開催が困難を極める中で、この全米選手権で、世界トップレベルのアイスダンサーたちの競演が見られることはまるで奇跡のようだ。しかも今季は珠玉の名プログラム揃い。このかけがえのない機会を、心から堪能しよう。
とりわけお待ちかね、マディソン・チョック/エヴァン・ベイツ組の滑りを、今シーズンついに初めて目にすることが出来るのだ。パンデミックの影響で準備やトレーニングに影響が出たとして10月末のスケートアメリカを欠場し、「全米フィギュアスケート選手権の準備に向けて100%集中していく」と宣言したディフェンディングチャンピオン。リズムダンス、フリーダンスともに昨季のプログラムを持ち越ししたこともあり、おそらくじっくりと演技を磨き上げてきたはず。つまりチョックの妖艶な美しさが最大限に引き出される大当たりプログラムにして、第1回ISUスケーティングアワードのベストコスチューム賞に輝いたFD「エジプシャン・スネーク・ダンス」を、再び楽しめるというわけである!
世界選の表彰台経験2回、四大陸選手権2連覇中のチョック/ベイツ組とモントリオールでのチームメイトであり、全米トップを争うライバルでもあるマディソン・ハッベル/ザカリー・ダナヒュー組は、すでにスケートアメリカで圧巻の演技を披露済み。
しかも新型コロナウイルス禍の影響でRD課題が昨季から継続されたため、RDプログラム自体も持ち越すカップルが多い中で、ハッベル/ダナヒュー組は完全なる新プログラム「バーレスク」を作り上げた。ダイナミックでゴージャスな2人の魅力が、あますところなく詰め込まれている。一方でFDはがらりと雰囲気を変える。2015/16シーズン、つまりモントリオール合流初年度にショートダンスで使用した「ハレルヤ」を、側近の世界選2大会で表彰台に上がった2人が、あの頃よりも繊細に踊りあげる。決して奇をてらわない、シンプルで質の高い動きが散りばめられた、美しい作品だ。
やはりモントリオール組のケイトリン・ホワイエク/ジャンリュック・ベイカー組に関しては、RD「サタデーナイトフィーバー」の継続こそ大正解。ただし中盤のスローパーとは曲を差し替え、リフトも作り変えた。おかげでますますキレッキレでクールなプログラムに進化している。コミカルさとシリアスさを完全に使い分けることのできる稀なカップルだからこそ、哲学的な風を感じるFD「ハート・オブ・グラス」もやはり2人の真骨頂と言いたい。参考記録ながらスケートアメリカではトータル200点超えを達成し、さらにステップを1つ上がる日も遠くはなさそう。
そのスケートアメリカでホワイエク/ベイカー組に次ぐ3位に入り、全米表彰台も期待されていたクリスティーナ・カレイラ/アンソニー・ポノマレンコは残念ながら欠場。トレーニング拠点でCOVID−19陽性者との接触があったとして、両人はPCR検査で陰性ながらも、出場選手や大会運営の安全のために自ら出場辞退を決めた。
また妹レイチェルの引退により、2019年6月にキャロライン・グリーン(やはり兄妹組を解散)とカップルを組んだマイケル・パーソンズ。そしてクイン・カーペンターの引退により、2020年7月にアントン・スピリドノフと新チームを結成したロレイン・マクナマラ。この2人の元世界ジュニア選手権チャンピオン&ジュニアグランプリファイナル覇者が、新たなパートナーと始めた新たな冒険も、絶対に見逃したくはない。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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