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フィギュア スケート コラム 2020年12月23日

【プレビュー:ロシアフィギュアスケート選手権2021】選手だけでなく、コーチ達のプロフェッショナルな戦いにも注目!

フィギュアスケートレポート by セルゲイ・ヴォルコフスキー
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A.コストルナヤ選手、A.シェルバコワ選手、A.トゥルソワ選手

未曾有のコロナ禍にあっても、ロシアでは空前の女子フィギュアスケートブームが、更にレベルアップしながら続いている。
ロシアフィギュアスケート選手権が(12月23日〜27日)、ロシア南西部の都市、チェリャビンスクで開幕される。 今シーズンも、ロシアのフィギュアスケート界は、エテリ・トゥトベリーゼのチームを中心に回っている。

彼女の活躍で、ライバルコーチ達も躍進し、選手のレベルが一層上がったことで、昨年の主役たちも、超高速世代交代の波には抗えそうにない。
トゥトベリーゼチームからは、優勝候補筆頭の、今大会では4回転トウループに加え、トリプルアクセルも跳ぶ予定の昨季ジュニアグランプリファイナル・世界ジュニア女王のカミラ・ワリエワ(14歳)をはじめに、ダリア・ウサチョワ(世界ジュニア銀メダリスト・14歳)、マイア・フロミフ(世界ジュニア4位・14歳)、アンナ・シェルバコワ(ディフェンディングチャンピオン・16歳)の4人が出場する。
そのチーム・エテリからプルシェンコアカデミーに電撃移籍した、アリョーナ・コストルナヤ(17歳、残念ながら22日に棄権を発表)、アレクサンドラ・トゥルソワ(16歳)は、エテリコーチの元で培った力を、「自分の世界」を表現しながらプログラムへ昇華させる選手へと、新たな境地を開きつつある。

ベテラン勢では、「姐さん!」と呼びたくなる、半端ない貫禄のエリザベータ・トゥクタミシェワ。フィギュアスケート少女時代・シンドロームの中、24歳にしてトリプルアクセルを跳ぶ彼女は、正に驚異的な存在だ。20歳のスタニスラワ・コンスタンチノワ、18歳のソフィア・サモドゥロワ、エリザベータ・ヌグマノワ、アナスタシア・グリャコワ等も、お姉さんたちの底力を、ぜひ後輩スケーターたちに見せてやってほしい。
トゥトベリーゼコーチの現在の最強のライバルは、エフゲニー・プルシェンコではなく、今大会台風の目となるかもしれないソフィア・サモデルキナ(13歳)、アンナ・フロロワ(15歳)を擁する、セルゲイ・ダビドフではないだろうか。
長年のフィギュアファンにとっては、いぶし銀のスケートと演技が、何とも懐かしく思い出される名スケーターだ。アレクセイ・ヤグディン、エフゲニー・プルシェンコのロシア男子シングルの黄金コンビと同世代であったため、ベラルーシに移籍して活躍した後、コーチの道に進んだ。

5歳違いの両コーチは、経歴もまたよく似ている。
二人とも、選手時代は望んだ結果には手が届かなかったが、今は互いにコーチとして、優秀な若い選手たちを輩出し続けている。自身が上手くいかなかった分、教え子が上手くできるようにさせる力が身に宿るのだろう。
体型変化も無く、コーチの指導に素直に従い、ひたすら一生懸命にトレーニングに励む子供の年齢の生徒たちの方が、コーチ達にとっては指導し易いため、エテリチームには、技術的には現在世界一のソフィア・アカチエワ(13歳)の他にも、男子でも、4T-3T、4Tを試合で成功させた11歳のニコライ・コレスニコフや、アルセニー・フェドトフ(同じく11歳)が、ダビドフコーチの元では練習で5回転を成功させたという超有望な若手(!)も育ってきている。これからも、彼等の指導の元で、フィギュアスケートの技術革新は続いて行くだろう。

プルシェンコ&若手実力派コーチのセルゲイ・ロザノフも含めて、今回の大会は選手だけでなく、コーチ達のプロフェッショナルな戦いにも注目だ。
世界一ハイレベルなフィギュアスケート女子シングルの決戦まであと僅か。トップの座を射止めるのは誰か。すべての選手達を「全集中、氷の呼吸!」で見守りたい。
男子シングルは、コロナウィルスに罹患していたドミトリー・アリエフの欠場が非常に残念だが、アレクセイ・ミーシンコーチに移籍し、安定感が増したミハイル・コリヤダが最有力。4回転ループに挑むかにも注目のマカール・イグナトフ、アレクサンドル・サマリン等と、昨季世界ジュニアチャンピオンのアンドレイ・モザリョフ、同選手権銅メダルのピョートル・グメンニク等ジュニア勢の表彰台争いになりそうだ。

ペアは、更に熟成されてきたエフゲーニヤ・タラソワ/ウラジーミル・モロゾフ組に他の組との格の違いを感じるが、出場が危ぶまれていたアレクサンドラ・ボイコワ/ドミトリー・コズロフスキー組や、上り調子のアナスタシヤ・ミーシナ/アレクサンドル・ガリャモフ組、ダリア・パブリュチェンコ/デニス・ホディキン組、アポリナーリヤ・パンフィロワ/ドミトリー・ルィロフ組等がどこまで迫れるかが見どころ。

アイスダンスは、ヴィクトリヤ・シニツィナ/ニキータ・カツァラポフ組が欠場となり、ファンは落胆しきりだが、優勝候補のアレクサンドラ・ステパノワ/イワン・ブキン組をはじめ、ティファニー・ザゴルスキー/ジョナサン・ゲレイロ組、アナベル・モロゾフ/アンドレイ・バギン組等、新旧織り混ざった氷上のアーティストたちが、コロナ禍のクリスマスに、素敵な夢を届けてくれるだろう。

追記として。
セルゲイ・ヴォロノフが引退した。
32歳までのキャリアを支えたのは、一重に彼自身のフィギュアスケートへの愛だったと思う。
鷲のように降りてくる大迫力のジャンプや、ジュニアから引退までの、彼一流の、それぞれの時代のスケートを懐かしく思い出しながら、大の親日家の彼に、心から、「セリョージャ、スパシーバ!!アリガトウ!!オツカレサマデシタ!!」と伝えたい。

文:セルゲイ・ヴォルコフスキー

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セルゲイ・ヴォルコフスキー

1967年ロシア生まれ。モスクワ大学日本語学科を卒業。
日本人と結婚し、ソ連崩壊を機に日本に移住。フリーランスの通訳・ジャーナリストとして活動。日本文化への関心が高じ、ロシア語で俳句を紹介するブログも執筆。ソチ五輪を始めとするフィギュアスケートの国際大会で、記者・通訳としても活躍している。

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