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田村岳斗(木下スケ−トアカデミー ヘッドコーチ)
長期的なビジョンで選手育成を行なっている木下スケートアカデミーにとって、今後の展望はどのようなものがあるのだろうか? 最後に2022年北京五輪、さらにその先についてうかがった。
2022年北京五輪の先を見据えて
J SPORTS:木下スケートアカデミーは、将来的にフィギュアスケートのシングルだけでなく、ペアやアイスダンスも含め、団体メダルまで考えて作られたと聞きました。
田村:フィギュアスケートに団体種目ができて、メダルのチャンスが増えました。ただ、僕はペアとアイスダンスは専門ではないので、代表レベルで貢献できません。シングルで結果を出していくことが、団体で貢献できることになると思います。団体でメダルを取ることができたら、また日本のフィギュアスケート界も盛り上がるでしょう。
J SPORTS:アイスダンスの村元哉中・高橋大輔組についてはどのように感じていますか?
田村:シングルで実績も人気もある選手がアイスダンスに行くことは、とても興味深い。もともと高橋大輔選手は音楽表現が優れていた選手ですが、アイスダンスをやったらどうなるんだという期待感も大きいです。村元哉中選手も、日本のアイスダンス史上五輪最高位を獲得した選手ですから、すごく楽しみなコンビですね。二人のことをよく知っているので、実際に早く試合で見たいという思いです。高橋大輔選手の方が実績も年齢も上ですが、アイスダンスでは村元哉中選手の方が経験は長い。高橋大輔選手は自分からリードするタイプではないのかなと思っているので、どっちが引っ張っているのかなと想像するだけでおもしろいです(笑)。そして、アイスダンス日本チャンピオンの小松原美里・ティム・コレト組からすれば、簡単にタイトルを渡したくないでしょう。コンビが増えれば競争心も上がりますから、お互いを高めあえる関係になればいいですね。昨シーズンは、吉田唄菜・西山真瑚組と同じ国際試合が多く、スケジュールが合えば会場に応援に行っていました。一緒に食事をする機会も多く、吉田唄菜・西山真瑚組にも注目しています。個性的なコンビが登場することで、これからファンのみなさんもアイスダンスに注目するようになって、選手層の底上げにも大きく貢献してくれると思います。
J SPORTS:すでに今シーズンは多くの試合の中止が決定していますが?
田村:今シーズンはジュニアGPシリーズの多くがすでに中止となっています。海外の試合となると、こちらから海外に行くにしても、逆に海外から選手が日本に来るにしても、今までの入国状況とはまったく違うので、2週間以上隔離が必要な場合があるとも聞いているので、そんな状況では練習がしっかりとできない可能性もありますし、次の試合に行けないかもしれません。そう考えると、今シーズンの前半は海外の試合が厳しいのかなと予想はしています。いい方向に向かうと願っていますが…。そうは言っても来シーズン以降のことも考えて、国際大会に出るためには国内の大会に勝っていかなければいけません。国内の大会は、連盟・関係者のみなさんが尽力しています。他の競技のように無観客ということがあるかもしれません。どんな試合状況になろうと、国内の選手にも強い選手がたくさんいますから、いつ試合が再開されてもいいように、国内でしっかりと順位を取れるように練習をしていく。海外の試合がないからという気の緩みはまったくありませんし、選手たちもそれを理解しています。自分たちが感染してはいけないので、今できる最大の感染予防の努力をしていくしかありません。
J SPORTS:女子に関して、2022年以降、ルール変更のウワサが出ています。
田村:どんなルール変更があっても、僕らはそれに対応していくしかありません。
J SPORTS:それを踏まえて、ジュニア・ノービスでどのような指導方法を考えていますか?
田村:世界で勝つという点で言えば、今現在すでにトリプルアクセルか4回転のどちらかは必要なもので、練習でも取り組んでやっていかなければいけません。現ジュニア世界チャンピオンが4回転を2本入れて、確実に1本は跳んでいます。そうは言っても、個人の能力がありますし、同じ年齢であっても、体の作りや体力、体質などもありますから、無理にやらせるわけにもいけません。ケガの心配もありますから、それを見極めつつ、選手たちがチャレンジしていければと考えています。
J SPORTS:最後に、フィギュアスケートの試合を待ち望んでいる多くのファンに向けて、田村コーチからメッセージをお願いいたします。
田村:ファンのみなさんも昨シーズンの途中から試合が見られなくて、悲しい思いをしていると思います。今、世界中が大変な状況ですが、すべての選手や関係者が次のステップに向けて、いろいろ取り組んでいる真っ最中です。またリンクで再会できる機会が必ず来ると信じて、みんな一生懸命がんばっています。フィギュアスケートを通して、みなさんが笑顔になったり、次の日の活力になったり。そういう日々がまた戻ってきたら、リンクでも、テレビの前でも今まで以上に選手たちの応援をお願いします。そのためにも、それまではファンのみなさんも、自分自身の健康を第一にしてください。エネルギーをためておいてください。
(※インタビュー時は、詳細な大会スケジュールが決定前のものです)
文:J SPORTS 編集部
J SPORTS 編集部
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